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[総体]流通経済大柏、別格強さで11年連続全国も「全国で通用するような内容ではない」

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[6.22 全国高校総体千葉県予選準決勝 流通経済大柏3-0柏日体 東総]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技千葉県予選は22日、準決勝を行い、流通経済大柏対柏日体戦は3-0で流経大柏が快勝。11年連続11回目の全国総体出場を決めた。

 試合後、流経大柏主将のU-18日本代表候補SB石田和希(3年)は「決定機を決められたくらいですね。あとは自分らのサッカーは何もできていなかったと思いました」と満足感を全く見せなかった。ボールは圧倒的に支配していたものの、球離れが悪く、DFを背負ってなんとかキープするような場面が何度もあった。本田裕一郎監督も「(決定機を)キチンとものにしたことだけが収穫かな。攻撃のバリエーションとかというのはあまり良くなかった。ボール離れも悪いし、もっと速く動かさないとウチらしくない。みんな優勝したい、優勝したいと言っているけど、こんなのじゃダメだね」と首を振る。それでもほとんど隙を見せずに80分を戦った流経大柏が、実力派の柏日体をシュート1本に封じて全国切符を勝ち取った。

 立ち上がりから完全にボールを支配した流経大柏はMF小泉慶とMF西槙翼(ともに3年)を中心に両ワイドの幅を広く使って攻撃。八木勇太、清水航平の両CB間にMF登録の浅野章太(すべて3年)を配置する5バックで守りを固める柏日体は、無理にボールを追わず、アタッキングゾーンに入ってくる流経大柏を潰しにかかる。PAへ飛び込んでくるようなドリブルにも対応していた柏日体だが、流経大柏はFWジャーメイン良やFW森永卓(ともに3年)がDFを背負ってもなかなかボールを渡さず。ファウルを誘発してFKを獲得するとまたポゼッションを再開していた。

 加えて、U-18日本代表候補MF青木亮太(3年)のテクニックがやや渋滞気味だったPA付近を打開する。10分には個でシュートコースをつくり出した青木が左中間へ流れながら左足シュート。13分にはこぼれ球に反応した小泉が右足シュートを放つ。そして19分には小泉の絶妙なスルーパスでジャーメインが抜け出し、21分には敵陣でインターセプトした青木が独走。PAでDFをかわして放った右足シュートはゴールのわずか左外へ外れたが、確実に相手の守りを切り崩していた。

 そして迎えた24分、流経大柏は小泉の左CKを184cmCB三嶋廉士(3年)が相手DFの頭上からヘディングシュート。DFに当たってこぼれたボールを三嶋が「あそこ決められたのは良かった。武器なので自分の。チームが苦しい時にああやってセットプレーで点を取ることは大事」と自ら左足でゴールヘ突き刺して先制点を奪った。

 好守からのカウンターに望みをかけていた柏日体ゴールを破る一撃。ただ、その後も圧倒的にボールを支配した流経大柏はCB時田和輝(3年)までもがPAへ侵入してくるような分厚い攻撃を繰り出したが、なかなか2点目を奪うことができない。それでも後半2分、左中間から仕掛けたMF秋山陽介(3年)が寄せてくるDFを次々とかわしてゴールライン際までえぐると、中央へラストパス。これをニアサイドへ飛び込んだジャーメインが左足ダイレクトで合わせて2-0とした。

 このままでは全国の夢が潰えてしまう柏日体は前からプレッシャーをかけてショートカウンターを繰り出してきた。MF石井昂(3年)のインターセプトからFW金場雄大(3年)らが動き出し鋭くギャップを突いてくる。ただ高さで相手を圧倒した三嶋と時田ら流経大柏守備陣は崩れず。柏日体は20分、石井のFKのこぼれ球を金場がゴールヘ押しこむもオフサイドの判定で追撃することができない。

 逆に流経大柏は23分、カウンターから森永と秋山が敵陣左コーナー付近までボールを運ぶと、クロスのこぼれ球を森永が再び中央へ入れる。これをファーサイドの青木が冷静に頭でゴール左隅へ沈めて3-0。終盤は交代選手が上手く噛み合わず加点することはできなかったが、快勝で11年連続の全国進出を決めた。

 流経大柏の選手たちは試合後、ロッカールームにこもり、長時間かけてミーティング。甘さ、課題のあった試合をお互いに指摘しあった。石田は「全国は決まったんですけど、きょうは全国で通用するような内容ではなかった。しっかりとこれを受け止めて反省してやらなければいけないなと思いました。相手が前から来ているのに足元、足元ばかり行ってしまって、背後が空いているのにプレスにハマってしまっている部分があった。もっと賢く相手の背後を取りつつ、高い位置でボールを動かせればもっと点が入ったと思います」。相手が待ち構えているのにサイドチェンジをしてしまったり、強引なパス交換でボールを失う部分もあった。この日は結果に影響しながったが、接戦になれば、自分たちの首を締めることにもなりかねない。三嶋は「目標は優勝ですけど、1試合1試合目の前のことを集中してやっていかないと足元すくわれてしまうと思う。これじゃあ、全国で勝てるとか全然そんなレベルではないと思うので、もっとポゼッションのところだったり、きょう上手くいかないところが多かったので修正して行かなければいけない」と宣言。全国でも優勝候補の筆頭となるであろう実力を擁する流経大柏だが、満足することなく全国へ臨む。

[写真]前半24分、流通経済大柏DF三嶋が先制ゴール

(取材・文 吉田太郎)
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