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[総体]横浜創英との撃ち合い制す!麻布大淵野辺が初となる夏の神奈川制覇!

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[6.23 全国高校総体神奈川県予選決勝 麻布大淵野辺5-2横浜創英 横須賀市リーフスタジアム]

 平成25年度全国高校総体「2013 未来をつなぐ 北部九州総体」サッカー競技神奈川県予選は23日に決勝を行い、麻布大淵野辺が5-2で横浜創英に勝利。初優勝を飾った。決勝に進出した両校の全国大会出場はすでに決定。麻布大淵野辺は5年ぶり2回目、横浜創英は創部12年目で初の全国総体に出場する。

 準々決勝でプレミアリーグEASTの桐光学園を麻布大淵野辺が撃破し、11年全国総体優勝の桐蔭学園を過去県8強が最高だった新鋭・横浜創英が突破した。昨年全国王者の三浦学苑、今年の関東大会優勝校、川和も4強進出を逃した混戦トーナメントの決勝はポゼッションサッカーを打ち出す2校の戦いとなった。

「ぐっと成長しましたね。嬉しいことです。(準々決勝では)結構桐光も前に来ていた。それを剥がして剥がして。(勝敗は)紙一重でしたけれど、それが自信になったんじゃないかと思います。レギュラー争いも誰が出てもいける。そこも要因だったかなと思います」と決勝進出の要因を語った麻布大淵野辺・安彦篤コーチに対し、横浜創英・宮澤崇史監督は「(守備面で)ブロックをつくって入ってくるところをしっかり捕まえる。ゾーンからマンツーに切り替えるところがしっかりとできていた。(初戦の)湘南工科も桐蔭もかなり上のレベルのチームですけど、そこはしっかりと抑えられていた。ブロックは上手くいったと思います」と守備陣の安定を挙げた。

 だが、「負けたからあまり言えないですけれど、この子たちはもっとできる。きょうは完全に体力不足です。もっとやれないとダメですね」と宮澤監督は無念の表情。ボールを大事にして攻めるサッカーが不発に終わり、選手たちは試合後のミーティングで号泣して悔しがっていた。その相手を体力、攻撃の精度で上回った淵野辺が快勝。2得点のMF永森啓一郎(3年)は「(勝ち進むことで)ベンチに入れない人たちにチャンスをつくるためにも戦って、やらなければいけないという気持ちで毎試合臨んでいました。(全国では)淵野辺の攻撃サッカー、ポゼッション率を高めて個々の能力も発揮するサッカーを全国に見せて、淵野辺のサッカーが凄いんだというところを見せたいです。もちろん優勝を狙っています」と笑顔を見せていた。

 試合は前半8分に淵野辺がFW阿部速秀(2年)の右足PKで先制。ただ、その後はパスミス、トラップミスで本来のリズムをつくれない淵野辺を横浜創英が押し込んだ。1回戦から準々決勝までのチーム全得点をたたき出していたエースFW森村公亮(3年)が負傷のためにベンチスタートの横浜創英だったが、FW時澤達哉(2年)やMF若杉崚(3年)らがポイントとなってショートパスを確実につなぐと、サイドチェンジも交えて相手守備陣を揺さぶっていく。また局面では左MF栫明紀(3年)のドリブルが効果を発揮。MF林龍之介(2年)や若杉が決定的なシュートを撃ち込むと29分、PAをショートパスで崩して最後は林のアシストから若杉が同点ゴールを叩き出した。

 それでも後半は淵野辺の攻撃力が爆発する。前半はポゼッションでミスが出て、また相手のプレッシャーにハマった形になっていたが、後半は最終ラインからMF吉田悠馬(3年)を経由してボールを前進させる得意のポゼッションに前へのダイナミズムが加わり、迫力のある攻撃を展開した。特に2列目に位置する永森、MF中山克広塚越亮(ともに2年)の3人らがワンツー、個人技で足の止まった相手守備陣を切り裂いていく。

 8分、ワンツーからのドリブル突破で一気にPAへ潜り込んだ中山が左足シュート。こぼれ球をつなぐと、最後はFW新明和輝(3年)が左足で勝ち越しゴールを流し込んだ。さらに15分、MF竿下征也(2年)の左クロスをファーサイドの塚越がヘディングシュート。これはGKに阻まれたが、こぼれ球を永森が右足で決めて3-1。11分から森下を投入していた横浜創英は24分に豪快な突破から森下が決めた一撃が、直前のプレーの判定によって“幻のゴール”となるなど追撃することができない。

 逆に塚越が決定的なシュートを連発するなど相手ゴールに襲いかかる淵野辺は28分、竿下の左CK後の混戦から永森が左足でゴールヘ叩きこみ4-1。横浜創英は30分に左中間から仕掛けた森下がDF間に穴を開けると、カバーに入ったDFも振り切って右足シュートをねじ込む。さらに38分には時澤のスルーパスからMF板倉大輝(2年)が決定的な右足シュートを放つなど反撃したものの、淵野辺は試合終了間際にPAの塚越が好トラップで右クロスを収めると、最後はDF2人をかわした中山の右足シュートで勝負を決した。

 淵野辺主将のCB中尾達哉(3年)は神奈川制覇について「最初から信じていましたし、お互いがいい顔しながらいいサッカーをしていたんじゃないかと思いました。一昨年、去年と勝ちが少なくて、今年自分たちで挽回しようということも話しながら、全員で頑張ってきた。『去年みたいになるんじゃないか』というプレッシャーとかもあったんですけど、この代は逆転とか、挽回する力があるので、そこがウチのチームの力となって頂点に立てていると思います」と胸を張った。ただ、桐蔭学園、三浦学苑と神奈川県勢が全国2連覇しているプレッシャーもひしひしと感じている。「プレッシャーは感じますね。(全国制覇した代の)三浦、桐蔭って良いチームだったと思うし、自分たちはまだほど遠い。練習から、私生活からいろいろなところを見直してチーム作りをしていきたいと思います」と中尾。目標の日本一へ、少しでも成長して全国大会初戦を迎える。

[写真]優勝した麻布大淵野辺イレブン

(取材・文 吉田太郎)
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