[総体]「捲土重来」テーマの前年覇者・大分西、PK戦で大分振り切り「あと1勝」:大分
[6.1 全国高校総体大分県予選準決勝 大分高 2-2(PK2-4)大分西高 大分スポーツ公園]
平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)大分県予選は1日、準決勝を行った。2連覇を目指す大分西高と2年ぶりの優勝を狙う大分高との一戦は、2-2で突入したPK戦の末、大分西が4-2で勝った。大分西は2日の決勝で柳ヶ浦高と対戦する。
今大会のチームのテーマは「捲土重来」。大分西は2度リードしながらもいずれも追いつかれ、PK戦で2年生守護神、大塚樹が2本止めてようやく決勝への切符を勝ち獲った。苦しみぬいて掴んだ大きな一勝。ただチームの目標は準決勝を突破する事ではなく、優勝だけだ。首藤啓文監督は「(昨年初優勝した)インターハイの後、選手権は3回戦、新人戦は2回戦で負けた。今回はもう1回巻き返して、頂点に立ちたいと準備しました。だからきょうは良く勝ったけれど、まだ。上り詰めて、初めて評価したいですね」と選手たちに「あと1勝」を求めた。
新人戦優勝の大分との準決勝は序盤、拮抗した展開のまま時間が経過した。大分県内を代表するエースのひとり、MF河辺駿太郎(3年)が存在感を放つ大分西は相手のプレスを上手く受け流すようにドリブルをする河辺や昨年の全国経験者であるMF吉弘周平(3年)中心にゴールを目指す。対する大分はMF川野優真(3年)や右SB下田和輝(2年)が立ち上がりからロングスローを放り込んできたほか、力強い動きで中央をこじ開けようとする10番MF赤木大星(3年)や川野、FW藤田翔平(3年)にボールが入ると、攻撃の勢いが増した。また1年生MF永松涼介の技巧もポイントに大分西ゴールへ迫ってくる。
その中で先制したのは大分西だった。前半22分、河辺がゴールエリアへ入れた右CKを180cmCB法野功太郎主将(3年)が「空中戦は負けちゃいけない部分。得意にしている」と豪快なヘディングで合わせて1-0。昨年度全国高校選手権出場の中津東との準々決勝でも2ゴールを決めている法野の2試合連続ゴールで大分西がリードを奪った。大分も28分、右CKにCB佐藤駿介(3年)が決定的な形で飛び込んだが、大分西DF陣が懸命の守りでゴールからかき出す。大分は31分にも藤田の落としから川野が左足で狙ったが、シュートがGK正面を突き、0-1で折り返した。
だが、後半開始直後、ショートパスの繋がった大分は右中間からPAへ放り込んだボールにタイミングよく反応した永松が合わせて同点に追いつく。ワンチャンスをものにした大分だったが、試合の流れはセカンドボールを良く回収し、指揮官が攻撃面について「オーバーラップやインナーラップ…昨年よりも連係が良くて面白いと思います」と説明する大分西へ傾いた。4分、前線でボールを収めてDFを外した河辺のパスからMF油布拓也(2年)が右足シュート。8分には再び前線で前を向いた河辺の強烈な右足シュートがゴールを捉え、14分にはセカンドボールを上手く拾った吉弘のパスからMF中尾洸太(3年)と油布が連続で決定的なシュートを放った。だが大分は鋭い反応を見せたGK箱田悠祐(2年)のビッグセーブで得点を許さない。
大分西は空中戦で抜群の強さを見せる法野とCB清塚和徳(2年)が安定し、河辺や1年生の右SB梅木雄生がマークを外してボールを前へ進めるなど、堅守を支えに試合を決めに行った。20分には交代出場のMF姫野勇一(2年)が右サイドを打開して折り返したが、吉弘のシュートは枠を捉えず。ベストに比べるとややキレを欠いたという河辺もチャンスメークしていたが、勝ち越し点を奪うことができない。一方の大分も赤木の突破や川野の緩急をつけた仕掛けがゴールの可能性を生み出していたものの、相手の好守の前に2点目が遠い。試合は1-1で延長戦へ突入した。
その前半9分、大分西が勝ち越す。河辺の左FKをファーサイドのMF原大恭(2年)がゴールを横切る形で折り返すと、最後は吉弘が左ポストギリギリでゴールへ押し込んで2-1とした。ただ喜びも束の間、大分は10分、永松のスルーパスのこぼれを川野が左足でゴールへねじ込んで同点に追いつく。延長後半、大分西は油布や河辺のシュートがゴールをかすめたものの、試合を決めることができず、決着の行方はPK戦へ持ち込まれた。
互いに1人目が成功して迎えた2人目、大分西のSB岩田康暉(3年)が決めたのに対し、大分はチームを引っ張ってきたCB渡辺直也主将(3年)のシュートが左へ跳んだGK大塚に止められてしまう。4人全員が成功した大分西に対し、大分は4人目・佐藤のシュートが再び大塚に止められてしまい、万事休す。創部12年目で大分屈指の強豪に成長している大分西が連覇へ王手をかけた。捲土重来のテーマ完遂まであと1勝。法野は「明日負けたら意味がない。勝って全国大会へ行って、(1勝した)昨年よりも上に行きたい」。想いを込めて戦い、再び頂点に立つ。
(取材・文 吉田太郎)
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平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)大分県予選は1日、準決勝を行った。2連覇を目指す大分西高と2年ぶりの優勝を狙う大分高との一戦は、2-2で突入したPK戦の末、大分西が4-2で勝った。大分西は2日の決勝で柳ヶ浦高と対戦する。
今大会のチームのテーマは「捲土重来」。大分西は2度リードしながらもいずれも追いつかれ、PK戦で2年生守護神、大塚樹が2本止めてようやく決勝への切符を勝ち獲った。苦しみぬいて掴んだ大きな一勝。ただチームの目標は準決勝を突破する事ではなく、優勝だけだ。首藤啓文監督は「(昨年初優勝した)インターハイの後、選手権は3回戦、新人戦は2回戦で負けた。今回はもう1回巻き返して、頂点に立ちたいと準備しました。だからきょうは良く勝ったけれど、まだ。上り詰めて、初めて評価したいですね」と選手たちに「あと1勝」を求めた。
新人戦優勝の大分との準決勝は序盤、拮抗した展開のまま時間が経過した。大分県内を代表するエースのひとり、MF河辺駿太郎(3年)が存在感を放つ大分西は相手のプレスを上手く受け流すようにドリブルをする河辺や昨年の全国経験者であるMF吉弘周平(3年)中心にゴールを目指す。対する大分はMF川野優真(3年)や右SB下田和輝(2年)が立ち上がりからロングスローを放り込んできたほか、力強い動きで中央をこじ開けようとする10番MF赤木大星(3年)や川野、FW藤田翔平(3年)にボールが入ると、攻撃の勢いが増した。また1年生MF永松涼介の技巧もポイントに大分西ゴールへ迫ってくる。
その中で先制したのは大分西だった。前半22分、河辺がゴールエリアへ入れた右CKを180cmCB法野功太郎主将(3年)が「空中戦は負けちゃいけない部分。得意にしている」と豪快なヘディングで合わせて1-0。昨年度全国高校選手権出場の中津東との準々決勝でも2ゴールを決めている法野の2試合連続ゴールで大分西がリードを奪った。大分も28分、右CKにCB佐藤駿介(3年)が決定的な形で飛び込んだが、大分西DF陣が懸命の守りでゴールからかき出す。大分は31分にも藤田の落としから川野が左足で狙ったが、シュートがGK正面を突き、0-1で折り返した。
だが、後半開始直後、ショートパスの繋がった大分は右中間からPAへ放り込んだボールにタイミングよく反応した永松が合わせて同点に追いつく。ワンチャンスをものにした大分だったが、試合の流れはセカンドボールを良く回収し、指揮官が攻撃面について「オーバーラップやインナーラップ…昨年よりも連係が良くて面白いと思います」と説明する大分西へ傾いた。4分、前線でボールを収めてDFを外した河辺のパスからMF油布拓也(2年)が右足シュート。8分には再び前線で前を向いた河辺の強烈な右足シュートがゴールを捉え、14分にはセカンドボールを上手く拾った吉弘のパスからMF中尾洸太(3年)と油布が連続で決定的なシュートを放った。だが大分は鋭い反応を見せたGK箱田悠祐(2年)のビッグセーブで得点を許さない。
大分西は空中戦で抜群の強さを見せる法野とCB清塚和徳(2年)が安定し、河辺や1年生の右SB梅木雄生がマークを外してボールを前へ進めるなど、堅守を支えに試合を決めに行った。20分には交代出場のMF姫野勇一(2年)が右サイドを打開して折り返したが、吉弘のシュートは枠を捉えず。ベストに比べるとややキレを欠いたという河辺もチャンスメークしていたが、勝ち越し点を奪うことができない。一方の大分も赤木の突破や川野の緩急をつけた仕掛けがゴールの可能性を生み出していたものの、相手の好守の前に2点目が遠い。試合は1-1で延長戦へ突入した。
その前半9分、大分西が勝ち越す。河辺の左FKをファーサイドのMF原大恭(2年)がゴールを横切る形で折り返すと、最後は吉弘が左ポストギリギリでゴールへ押し込んで2-1とした。ただ喜びも束の間、大分は10分、永松のスルーパスのこぼれを川野が左足でゴールへねじ込んで同点に追いつく。延長後半、大分西は油布や河辺のシュートがゴールをかすめたものの、試合を決めることができず、決着の行方はPK戦へ持ち込まれた。
互いに1人目が成功して迎えた2人目、大分西のSB岩田康暉(3年)が決めたのに対し、大分はチームを引っ張ってきたCB渡辺直也主将(3年)のシュートが左へ跳んだGK大塚に止められてしまう。4人全員が成功した大分西に対し、大分は4人目・佐藤のシュートが再び大塚に止められてしまい、万事休す。創部12年目で大分屈指の強豪に成長している大分西が連覇へ王手をかけた。捲土重来のテーマ完遂まであと1勝。法野は「明日負けたら意味がない。勝って全国大会へ行って、(1勝した)昨年よりも上に行きたい」。想いを込めて戦い、再び頂点に立つ。
(取材・文 吉田太郎)
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