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[総体]同点弾献上直後に決勝点、駒澤大高が東京王者として全国へ

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[6.22 全国高校総体東京都予選決勝 成立学園高 1-2 駒澤大高 駒沢2]

 平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技(山梨)東京都予選は22日、決勝を行い、駒澤大高成立学園高に2-1で勝利。初優勝を飾った。両校は21日の準決勝を勝利した時点で全国大会出場権を獲得。全国大会は8月1日に開会式、同2日に1回戦が行われる。

「これだけ前半と後半が違うチームはない」。雨中の決勝を制した後、駒大高の大野祥司監督は首を振りながら選手たちの“不甲斐なさ”を嘆いていた。プレー、メンタル面でも受けに入って押し込まれた前半と、指揮官の猛烈なゲキによって変わり、立ち上がりから勢いで相手を飲み込んだ後半との差。成立学園は太田昌宏監督が「全国大会では超攻撃的にいきたい。(都予選決勝では)相手の良さを消すのではなく、自分たちのいい部分を最大限に出して戦おうと臨んだ」と話したように持ち味の攻撃サッカーを前面に出して挑んできた。関東大会予選準決勝で敗れた雪辱の念も持ってこの一戦に臨んできた成立学園の前に苦しい戦いを強いられた駒大高だったが、それを跳ね返して勝利。ただ大野監督は「(控え選手たちが全力で応援し、選手たちも)練習もマジメに、集中して取り組んでいると思います。それが結果に結びついているかもしれない。でも言われてやるようでは、本当の力じゃない」と自分たちの力で流れを変えられなかったことを残念がっていた。

 拮抗した序盤から徐々にペースを握ったのは成立学園だった。中盤が相手のプレスを受けて最終ラインへ戻すシーンも何度か見られたが、攻撃を組み立て直しても幅を使いながらスムーズにボールを動かし、前を向いた中盤の選手へとつなぐ。11分にCB内田悠磨(3年)から楔のパスを受けた注目レフティー、MF上田悠起(3年)が左足ミドルを放つと、上田は15分にも強烈な左足シュートを枠に飛ばす。

 駒大高も前線のエースFW安藤丈とMF柳澤歩(ともに3年)がボールを収めてサイドからのクロス、シュートまで持ち込むが、遠目の位置からでも積極的にシュートを放つ成立学園の勢いが上回る。28分にはMF三角航平(3年)、29分には上田がミドルレンジからシュートへ持ち込むと、31分には上田のスルーパスにFW町田ブライト(3年)が反応。36分にもセカンドボールを拾ったFW上村諒斗(3年)が左足シュートを放つなど攻める成立学園はさらに40分、パス交換から中央へ潜り込んできた右SB吉田将也(3年)の左足シュートが左ポストを叩いた。

 苦しい展開となった駒大高だったが、それでも後半開始から猛プッシュ。3分、背後へ抜け出した柳澤が決定的なシュートを放つと、直後には敵陣でセカンドボールをものにしてMF平井康介(3年)が右足ミドルを撃ちこむ。5分にはMF鈴木隆作(3年)が右オープンスペースへ絶妙なパスを落とすと、これを処理した安藤がカットインから左足シュート。さらに8分には成立学園・吉田の好守の前にゴールとはならなかったものの、ディフェンスラインの背後を取ったMF佐藤瑛磨(2年)が決定機を迎えた。そして10分、駒大高はインターセプトからカウンターを繰り出すと、右中間でボールを持った柳澤がスルーパス。これで抜け出した安藤がGKとの1対1を制してリードを奪った。

 成立学園も雨中で攻撃の精度の高さを示していた。東京を代表するレフティー、上田のドリブル、パスを起点にチャンスを生み出し、連係よく駆け上がってくる吉田が右サイドからチャンスに絡む。16分には三角の右足FKがゴールを捉え、こぼれ球にFW平園尚臣(3年)が反応した。ただ、再三好守を見せていたGK江口達也(2年)や、抜けてもおかしくないようなボールを何度も身体に当てていたCB須藤皓生主将(3年)ら駒大高の堅い守りをこじ開けることができない。

 例え1人目のタックルが剥がされても、すぐさま2人目の選手が止めて危機を逃れるなど高い集中力を見せる駒大高は、逆に25分に鈴木の左CKをファーサイドのMF野本克啓(2年)が折り返し、須藤が決定的なヘディングシュート。残り時間10分を迎え「ここから踏ん張れ」というベンチの声の後押しを受けた駒大高はより集中力を高めてリードを守り切ろうとする。だが成立学園は31分、右サイド後方から上田が入れたFKのこぼれ球を、交代出場のFW秋和飛竜(3年)が左足ダイレクトでゴールへ叩き込んで同点に追いついた。

 それでも駒大高は直後の33分、左サイドからボールを動かすと、柳澤からのパスを受けた安藤がスルーパス。柳澤には合わず、ボールはゴール方向へ抜けてしまうが、一瞬足の止まった成立学園DFの背後から飛び出してきた佐藤がゴールへ流し込んで勝ち越した。再び追う展開となった成立学園は試合終了間際、駒大高をゴール前にくぎ付けにしたが、43分にパワープレーでの混戦から町田の放った決定的なシュートがわずかにゴールを外れて試合を終えた。

 駒大高は優勝決定後、応援してくれたチームメートとともに喜びを分かちあったが、すぐに気持ちを切り替えて次の目標へのスタートを切った。須藤は「自分たちは実力がない。気持ちでやっていかないといけなかった。きょうの前半は攻められっぱなしで恥ずかしいゲーム。流れが悪い時に、自分たちで立て直さなければいけない。自分たちの強みはメンタル。特に今年は技術がないのでここで負けたら終わり」。この日の戦いを反省してどんな相手が来ても気持ちで上回るチームになる。

(取材・文 吉田太郎)

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