[総体]延長の死闘制す!“赤い彗星”東福岡が17年ぶりの全国制覇!!
[8.8 全国高校総体決勝 大津高1-4(延長)東福岡高 中銀スタジアム]
平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技は8日、中銀スタジアムで決勝を行い、初優勝を狙う大津高(熊本)と97年以来17年ぶりの優勝を目指す東福岡高(福岡)が激突。1-1で突入した延長前半4分に東福岡の左SB末永巧(3年)が約50mのスーパーゴールを決めるなど東福岡が4-1で勝ち、2度目となる夏の全国制覇を成し遂げた。
93年大会の国見高(長崎)対鹿児島実高(鹿児島)戦以来、21年ぶりの「九州勢決戦」となったファイナル。過去最高成績だった08、09年の4強の記録を塗り替えて初の決勝を戦う大津が今大会6得点で得点ランキング2位のMF坂元大希(3年)と同5得点のMF葛谷将平主将(3年)を中心に1点差ゲームやPK戦を逞しく勝ち抜いてきたのに対し、東福岡はU-18日本代表MF中島賢星主将(3年)を中心に得点ランキング首位の8得点をマークしているFW木藤舜介(3年)、MF増山朝陽(3年)、MF赤木翼(3年)の強力3トップたちが5試合で計22得点をたたき出して堂々の決勝進出を果たしてきた。
その両チームの布陣は大津が4-5-1で東福岡が4-3-3。大津はGK井野太貴(3年)、4バックは右から河原創(2年)、野田裕喜(2年)、倉本龍吾(3年)、大塚椋介(2年)。中盤は平岡和徳監督を父に持つ平岡拓己(3年)、田原悟(3年)のダブルボランチでトップ下が葛谷。ワイドは右が古庄壱成(3年)、左が坂元、1トップには一美和成(2年)が入った。対する東福岡はGK甲斐宏志(3年)、4バックは右から堀吏規伸(3年)、加奈川凌矢(3年)、小笠原佳祐(3年)、末永。中盤は1ボランチに近藤大貴(3年)が入り、その前方に中島とMF中村健人(2年)が並んだ。そして右から増山、木藤、赤木の3トップでファイナルをスタートさせた。
序盤は破壊力のある両翼を軸とした攻撃で試合を進める東福岡を大津が受け止める構え。東福岡は的確にボールを捌く近藤や両足から絶妙な配球を見せる末永から増山、赤木の強力なワイドアタッカーへボールを集めるが、大津は4バックが背後を取らせずに対応する。東福岡は8分、カウンターから中村が右中間を前進。増山のグラウンダークロスを木藤が押し込んだが、これはオフサイドの判定でノーゴールとなった。警戒されていることもあり、これまでのような爆発力こそ披露することができなかったが、それでも東福岡は増山の低い弾道のクロスなどからゴールを狙う。また東福岡は高い位置でのインターセプトからショートカウンター。18分には敵陣でのインターセプトから末永がクロスバー直撃の左足ミドルを放った。
だが、前半は大津の思い通りの展開で35分間を終える。大津は前向きな状態で田原や平岡がインターセプトすると、前線で存在感放つ一美へボール預けて、そこから速攻を繰り出した。11分には一美を起点とした攻撃から葛谷のスルーパスに古庄が走り込み、20分には同じく一美を起点に右サイドの河原がスルーパス。これに走りこんだ古庄が右足を振りぬく。そして23分、大津がスコアを動かした。
この日初めて攻撃参加した田原が一美とのワンツーから左サイドを切れ込んで中央へ折り返す。これにフリーで走りこんだ葛谷が判断良く1タッチで右サイドの古庄へラストパス。古庄はやや窮屈な格好になりながらも丁寧に右足ダイレクトで左サイドネットへねじ込んで先制点を挙げた。リードした大津はその後、一美のポストプレーから葛谷がシュートシーンに絡みだす。東福岡も29分、30分と立て続けに増山、赤木のクロスがゴール前に入るが前半は無得点。前半終了の笛とともに大津・平岡監督は満足げに何度も手を叩いていた。
後半、ギアを上げた東福岡が押し込む時間を伸ばしたが、大津の青い壁を破ることができない。野田、倉本中心に非常に集中力の高い守りを見せる大津。東福岡は中島がバイタルエリアを持ち上がる回数が増え、ゴール前での連係でゴールをこじ開けようとする。9分には木藤とのワンツーから中村がPAへ潜り込み、11分には左クロスに木藤が飛び込むが、その前に好守を連発する大津GK井野が立ちはだかった。
逆に大津は17分に前線でDFをねじ伏せた一美の弾丸ミドルがクロスバーをかすめる。そして微妙なオフサイドの判定でノーゴールとなったものの、22分には一美とのワンツーで左サイドを攻略した坂元がゴールへ流し込むシーンもあった。大津は22分にスルーパスで抜け出した東福岡FW木藤のクロスから増山に切り返しでDFが外され、決定的なシュートを打たれた。だがこれをゴールライン上で河原がスーパークリア。東福岡は24分に木藤に代えてFW餅山大輝(2年)、25分には負傷した中村に代えてMF山根つばさ(3年)を投入するが、古庄に代えてDF時松拓海(3年)を投入し、“危険人物”の中島にマンマークをつけた大津は日本一へ向けて着実に前進していた。
だが33分、東福岡に起死回生の同点ゴールが生まれる。東福岡は近藤が左サイドの赤木へ展開すると、背番号11がタッチライン際から放ったクロスボールがGKの頭上を越えてゴール右サイドネットへ吸い込まれる。歓喜の赤いユニフォーム。このあと大津は平岡に代えてFW橋田夏希(3年)を投入したが、試合は1-1のまま延長戦に突入した。
そして熱戦に決着をつけたのはスーパーゴールだった。延長前半4分、東福岡は相手のカウンターを阻止した末永がそのまま持ち上がり、ハーフウェーライン付近から右足を振りぬく。高めのポジショニングをしていた大津GKが必死に背走したが、その頭上を越えたボールはそのままゴールネットへ吸い込まれた。末永の衝撃的な一撃で逆転した東福岡はさらに“ヒガシのクリロナ”増山が会場を沸かせる。6分、左サイドで単騎2人を抜き去ると、クロスボール。赤木のシュートは枠を外れたものの、決定機を演出し、9分には巧みなボールコントロールから再びDFを抜き去って右足シュートを撃ちこんだ。
1点を追う大津はセットプレーなどから同点を狙うが、東福岡は加奈川、小笠原の両CBが高さを活かして跳ね返していく。大津は延長後半5分に時松に代えてFW平野健二(3年)を投入したが、東福岡は直後の6分、赤木のシュートのこぼれ球を餅山が頭で押し込んでダメ押し。10分に赤木に代えてMF永田大樹(3年)を送り出した東福岡は、12分にも餅山のシュートのこぼれ球を増山が右足で豪快に叩き込んで試合終了を迎える。97年度に全国3冠を成し遂げている“赤い彗星”こと東福岡が全国の頂点に返り咲いた。
(取材・文 吉田太郎)
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平成26年度全国高校総体「煌(きら)めく青春 南関東総体2014」サッカー競技は8日、中銀スタジアムで決勝を行い、初優勝を狙う大津高(熊本)と97年以来17年ぶりの優勝を目指す東福岡高(福岡)が激突。1-1で突入した延長前半4分に東福岡の左SB末永巧(3年)が約50mのスーパーゴールを決めるなど東福岡が4-1で勝ち、2度目となる夏の全国制覇を成し遂げた。
93年大会の国見高(長崎)対鹿児島実高(鹿児島)戦以来、21年ぶりの「九州勢決戦」となったファイナル。過去最高成績だった08、09年の4強の記録を塗り替えて初の決勝を戦う大津が今大会6得点で得点ランキング2位のMF坂元大希(3年)と同5得点のMF葛谷将平主将(3年)を中心に1点差ゲームやPK戦を逞しく勝ち抜いてきたのに対し、東福岡はU-18日本代表MF中島賢星主将(3年)を中心に得点ランキング首位の8得点をマークしているFW木藤舜介(3年)、MF増山朝陽(3年)、MF赤木翼(3年)の強力3トップたちが5試合で計22得点をたたき出して堂々の決勝進出を果たしてきた。
その両チームの布陣は大津が4-5-1で東福岡が4-3-3。大津はGK井野太貴(3年)、4バックは右から河原創(2年)、野田裕喜(2年)、倉本龍吾(3年)、大塚椋介(2年)。中盤は平岡和徳監督を父に持つ平岡拓己(3年)、田原悟(3年)のダブルボランチでトップ下が葛谷。ワイドは右が古庄壱成(3年)、左が坂元、1トップには一美和成(2年)が入った。対する東福岡はGK甲斐宏志(3年)、4バックは右から堀吏規伸(3年)、加奈川凌矢(3年)、小笠原佳祐(3年)、末永。中盤は1ボランチに近藤大貴(3年)が入り、その前方に中島とMF中村健人(2年)が並んだ。そして右から増山、木藤、赤木の3トップでファイナルをスタートさせた。
序盤は破壊力のある両翼を軸とした攻撃で試合を進める東福岡を大津が受け止める構え。東福岡は的確にボールを捌く近藤や両足から絶妙な配球を見せる末永から増山、赤木の強力なワイドアタッカーへボールを集めるが、大津は4バックが背後を取らせずに対応する。東福岡は8分、カウンターから中村が右中間を前進。増山のグラウンダークロスを木藤が押し込んだが、これはオフサイドの判定でノーゴールとなった。警戒されていることもあり、これまでのような爆発力こそ披露することができなかったが、それでも東福岡は増山の低い弾道のクロスなどからゴールを狙う。また東福岡は高い位置でのインターセプトからショートカウンター。18分には敵陣でのインターセプトから末永がクロスバー直撃の左足ミドルを放った。
だが、前半は大津の思い通りの展開で35分間を終える。大津は前向きな状態で田原や平岡がインターセプトすると、前線で存在感放つ一美へボール預けて、そこから速攻を繰り出した。11分には一美を起点とした攻撃から葛谷のスルーパスに古庄が走り込み、20分には同じく一美を起点に右サイドの河原がスルーパス。これに走りこんだ古庄が右足を振りぬく。そして23分、大津がスコアを動かした。
この日初めて攻撃参加した田原が一美とのワンツーから左サイドを切れ込んで中央へ折り返す。これにフリーで走りこんだ葛谷が判断良く1タッチで右サイドの古庄へラストパス。古庄はやや窮屈な格好になりながらも丁寧に右足ダイレクトで左サイドネットへねじ込んで先制点を挙げた。リードした大津はその後、一美のポストプレーから葛谷がシュートシーンに絡みだす。東福岡も29分、30分と立て続けに増山、赤木のクロスがゴール前に入るが前半は無得点。前半終了の笛とともに大津・平岡監督は満足げに何度も手を叩いていた。
後半、ギアを上げた東福岡が押し込む時間を伸ばしたが、大津の青い壁を破ることができない。野田、倉本中心に非常に集中力の高い守りを見せる大津。東福岡は中島がバイタルエリアを持ち上がる回数が増え、ゴール前での連係でゴールをこじ開けようとする。9分には木藤とのワンツーから中村がPAへ潜り込み、11分には左クロスに木藤が飛び込むが、その前に好守を連発する大津GK井野が立ちはだかった。
逆に大津は17分に前線でDFをねじ伏せた一美の弾丸ミドルがクロスバーをかすめる。そして微妙なオフサイドの判定でノーゴールとなったものの、22分には一美とのワンツーで左サイドを攻略した坂元がゴールへ流し込むシーンもあった。大津は22分にスルーパスで抜け出した東福岡FW木藤のクロスから増山に切り返しでDFが外され、決定的なシュートを打たれた。だがこれをゴールライン上で河原がスーパークリア。東福岡は24分に木藤に代えてFW餅山大輝(2年)、25分には負傷した中村に代えてMF山根つばさ(3年)を投入するが、古庄に代えてDF時松拓海(3年)を投入し、“危険人物”の中島にマンマークをつけた大津は日本一へ向けて着実に前進していた。
だが33分、東福岡に起死回生の同点ゴールが生まれる。東福岡は近藤が左サイドの赤木へ展開すると、背番号11がタッチライン際から放ったクロスボールがGKの頭上を越えてゴール右サイドネットへ吸い込まれる。歓喜の赤いユニフォーム。このあと大津は平岡に代えてFW橋田夏希(3年)を投入したが、試合は1-1のまま延長戦に突入した。
そして熱戦に決着をつけたのはスーパーゴールだった。延長前半4分、東福岡は相手のカウンターを阻止した末永がそのまま持ち上がり、ハーフウェーライン付近から右足を振りぬく。高めのポジショニングをしていた大津GKが必死に背走したが、その頭上を越えたボールはそのままゴールネットへ吸い込まれた。末永の衝撃的な一撃で逆転した東福岡はさらに“ヒガシのクリロナ”増山が会場を沸かせる。6分、左サイドで単騎2人を抜き去ると、クロスボール。赤木のシュートは枠を外れたものの、決定機を演出し、9分には巧みなボールコントロールから再びDFを抜き去って右足シュートを撃ちこんだ。
1点を追う大津はセットプレーなどから同点を狙うが、東福岡は加奈川、小笠原の両CBが高さを活かして跳ね返していく。大津は延長後半5分に時松に代えてFW平野健二(3年)を投入したが、東福岡は直後の6分、赤木のシュートのこぼれ球を餅山が頭で押し込んでダメ押し。10分に赤木に代えてMF永田大樹(3年)を送り出した東福岡は、12分にも餅山のシュートのこぼれ球を増山が右足で豪快に叩き込んで試合終了を迎える。97年度に全国3冠を成し遂げている“赤い彗星”こと東福岡が全国の頂点に返り咲いた。
(取材・文 吉田太郎)
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