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[総体]“野洲らしさ”出させず!進学校の守山が強豪からインパクト十分の勝利!:滋賀

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[6.4 全国高校総体滋賀県予選準決勝 守山高 1-0 野洲高 布引グリーンスタジアム]

 4日、平成27年度全国高校総体「2015 君が創る 近畿総体」サッカー競技(8月、兵庫)滋賀県予選準決勝が行われ、守山高が3連覇を狙った野洲高に1-0で勝利。守山は6日の決勝で88年以来となる全国総体出場を懸けて草津東高と対戦する。

 全国的にもインパクト十分の勝利だ。昨年の全国総体16強で注目エースのMF村上魁(3年)やMF林雄飛(3年)を擁する野洲を進学校の守山が撃破。それもゴール前に守りを固めて1点を守りぬいたような勝利ではない。野洲の山本佳司監督が「野洲の匂いがしない。力を出せなかった」と振り返ったように、野洲らしさを出させなかった。1対1で相手を簡単に剥がしてドリブルで運びながらキックなどの特長を活かして鮮やかな崩しを見せる野洲が、ほとんどドリブルで守山の選手を剥がせなかった。

 今春、草津東高から転任してきた雨森康監督が「(対野洲ということで声がけしたのは)球際絶対に負けない。あとみんなで助け合うくらい。(忠実にこなせるのは)凄い」という守山はDF浅原陸人(3年)が村上、MF嶋田啄真(3年)が林につくなどマンマークディフェンス。高校年代を代表するドリブラーである村上に強引に局面を破られるような場面もあったが、CB江川魁人(3年)やCB岩脇健人(3年)、左DF伊藤彰吾(3年)らが的確にカバーして決定機をつくらせない。また指揮官が「一番の勝因は近藤裕貴を抑えたところだと思います。あそこを完全に抑えたので。大きかったと思います」と称賛したように、サイドの攻防戦で右DF成宮惇史(3年)が「スピードが自分の武器やと思っているんで、それでは負けたくないと思っています。相手の14番(近藤)が速くて起点になると聞いていた。『そいつと勝負しろ』ということだったので、いつもよりも後ろ目だったんですけど、自分の中で抑えられたんで良かったです」と相手のキーマンである左アタッカー、近藤裕貴(3年)を自慢のスピードで封じこんだ。

 そしてスピードある突破で野洲DFを抜き去るシーンもあったFW太田裕作(3年)やFW小嶋健太郎(3年)、MF吉武隼仁(3年)らが会場を沸かせるような攻撃を見せていた守山は19分、嶋田が右CKからストレートのボールを上げると「練習していたんで。(嶋田)啄真からいいボールが来たんで合わせるだけでした。とりあえず(ゴール前で)ごちゃごちゃなっている時にDF外してニアに走ることだけを意識していた。枠だけ狙ってどんな形でも入ったらいいと体ごと押し込もうという感じでいきました」という小嶋がヘディングシュート。これが野洲のDF、GKの頭上を越えてゴールへ吸い込まれた。

 野洲も22分にスルーパスに反応した近藤裕が左足を振りぬいたが、これは守山GK宮崎啓伍(3年)がセーブ。野洲の山本監督が「パスワークの距離感が中途半端やった。(また守山は)ボールに対する対応。人を集めるのが速かった」というように、常にパスコースを消された中での試合となってしまった野洲は危険なゾーンまでボールを進める回数が少ない。逆に後半2分、守山は太田が中央から右へ流れながらのドリブルでDFを置き去りにすると、そのラストパスをMF緒方叶人(3年)が決定的なシュート。野洲も直後に村上のスルーパスから近藤裕がチャンスを迎えたが、決めきることができない。

 なかなかギアの上がらない野洲だったが、CB近藤響(3年)が意欲的に攻め上がり、林や村上が強引に打開しようとする。だが守山は浅原をはじめ、各選手が集中力の高い守り。そのドリブルを人数をかけてブロックする。野洲は21分に村上のラストパスからFW山元壮太郎(2年)が放った左足シュートもGK宮崎に阻まれた。決定的なシーンをつくれないまま時間が過ぎ、アディショナルタイム3分間も経過。野洲は39分に獲得したFKから村上が放った右足シュートが枠を捉えたが、「去年同じシーンで決められた。同じような場面だったので止められたので良かったです」というGK宮崎が左へ跳んでゴール外へはじき出す。昨年の準決勝、延長戦で村上にFKを決められていた宮崎のビッグセーブでゴールを死守した守山がそのまま1-0で勝利。喜びを爆発させた。

「絶対に技術やったら相手の方が上手いんで全員で協力して守りました」と成宮。今年は草津東の前評判が高く、野洲も全国クラスの強敵だが、守山も現在の3年生は1年生大会で優勝している世代で自信を持っていたという。その自信、実力を試合で見事に表現して白星を勝ち取った守山。全国切符を懸けた決勝へ向けて宮崎は「守高らしさを出す。前からガンガン、後ろは粘り強くやります」。もうひとつの強敵・草津東の壁も高いが、この日の戦いぶりを見る限り、2強撃破の可能性は十分にある。

(取材・文 吉田太郎)
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