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[総体]「昨年以上のことをやらないと進歩がない」全国8強からさらに上目指す滝川二が兵庫ファイナルへ

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[6.3 総体兵庫県予選準決勝 滝川二高 1-0 市立尼崎高 アスパ五色メイングラウンド]

 平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)兵庫県予選は3日、準決勝を行った。昨夏全国8強の滝川二高市立尼崎高と対戦。FW山田裕也(3年)の決勝点によって1-0で勝った。滝川二は5日の決勝で神戸弘陵高と戦う。

 就任2年目の松岡徹監督が「市尼は良いチーム。一番のヤマだと思っていた」と表現した準決勝。滝川二は1-0という僅差のスコアながらも“ヤマ”を乗り越えた。立ち上がりからボールを握ったのは滝川二。ボールをサイドへ散らし、右の日野公貴(2年)と左の浦元快斗(3年)の両SBが積極的に攻撃に絡むなどそこからの連係で崩しにかかる。前半5分には注目エースFW持井響太(3年)とのワンツーからFW辻本竜(2年)が左足シュートを放つ。「CBとSBの間の裏とかに一旦ボールを落ち着けて、もう一回中とかいう形を増やして行こうと言われていた」(持井)という滝川二はその後もサイドを起点に仕掛けていくが、ともに県選抜の右SB山根萌主将(3年)と左SB松井瞭汰(3年)擁する市立尼崎のサイドの守りは強固。滝川二は持井の1タッチのラストパスなどテンポを変えた攻撃で惜しいシーンをつくったものの、CB葉杖耕太(3年)中心にミスのない、堅実な守りを見せた市立尼崎は得点を許さない。

 そして市立尼崎は奪ったボールを高い位置まで運ぶと、ダイレクトパスを2本、3本と繋いで反撃。“公立の雄”は名門相手に飲み込まれることなく、試合を進めていた。だが、滝川二はセットプレーから市立尼崎ゴールをこじ開ける。前半終了間際の33分、持井の右CKからファーサイドの折り返しを繋いで最後は山田が左足でゴールへ押し込む。今大会5得点と結果を残し続けている山田の一撃によって先制点は滝川二が獲得した。

 滝川二は後半5分にも日野とのワンツーからPAへ侵入した持井がテクニカルなコントロール&シュート。対する市立尼崎は12分、得意のショートコンビネーションから左中間を抜け出した松井が左足を振りぬく。だが、ニアサイドを突いた一撃はポスト直撃。ビッグチャンスをものにすることができない。市立尼崎は21分にもエースFW新角友規(3年)の右FKを交代出場MF宮前秀宇(2年)が頭で合わせるなどセットプレーやクロスをゴール前に入れるシーンを増やすが、近藤照男監督は「いい形で前にボールが入らなかった」。ビハインドの状況に焦ったか、慌てて長いボールで攻めたところを跳ね返されるなど、特長である流れるような崩しの数を増やすことができず。安定したキャッチングを見せるGK樫野智哉(2年)にクロスを処理されてしまうなど、CB今井悠樹主将(3年)を中心に守る滝川二を切り崩すことができない。最後は4バックから3バックに変更するなどゴール前の人数を増やした滝川二が決定打を打たせないまま逃げ切って1-0で勝利。決勝進出を決めた。

 2日後の決勝では神戸弘陵と対戦。高校年代最高峰のリーグ戦であるプレミアリーグを戦う県内のライバル・神戸弘陵をリスペクトしている。だが、10年度高校選手権優勝など兵庫を代表する名門・滝川二の目標は東福岡高や市立船橋高といった現在高校サッカーのトップに君臨しているチームに肩を並べること。全国上位を争ってきた滝川二は高い目標を持って今回の予選を戦い、全国切符を勝ち取るつもりでいる。昨年の全国準々決勝では市立船橋に0-2で敗れ、その強さ、対応力の高さを学んだ。その滝川二が昨年以上の成績を残すために行っている取り組み。トレーニングから一つひとつのプレーによりこだわり、この日の試合後はいち早く疲労回復のための栄養補給や、リカバリーの時間に当てて決勝への準備をスタートしていた。松岡監督が「昨年以上のことをやらないと進歩がない」と話す中、ピッチ内、ピッチ外の部分でも昨年以上の日々を送って目標をクリアしようとしている。

 持井は「昨年は少しルーズなところがあったけれど、時間に厳しくやっている。(試合当日の)起床時間や集合時間とか。(加えて)ボクは前までやってきたことを継続しないと気になってしまうので、自主練はずっとやってきた。チームとしては昨年より能力が劣っていると思うけれど、時間とか小さな部分を見なおしていったらサッカーはチームスポーツなのでチームとして結果が出るんじゃないかと思います」。レスターのイングランドプレミアリーグ優勝に貢献した日本代表FW岡崎慎司の映像を見てモチベーションを高めるなど、OBの活躍も刺激に戦う滝川二。「昨年以上」を果たすために、まずは兵庫を突破する。

(取材・文 吉田太郎)
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