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[MOM1802]東海大高輪台MF袖山翼(3年)_献身ボランチが持つ「技術よりも素晴らしいもの」

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.11 総体東京都予選準々決勝 東海大高輪台高 2-0 駒場高 駒沢2]

 飛び抜けて巧い選手ではない。だが、東海大高輪台高の川島純一監督が「このチームで異質な存在。でも、アイツがいるのと、いないのとではチームの躍動感が違う」と語る大黒柱だ。MF袖山翼主将(3年)はテクニカルなスタイルのチームの中で受けたボールを1タッチ、2タッチでシンプルに動かし、弾丸ミドルを撃ちこむなど攻撃面でも快勝に貢献したが、何より光ったのが守備面。味方がボールを失った瞬間に相手との距離を一気に詰めてボールを引っ掛け、また奪い返して相手に攻撃機会をつくらせない。豊富な運動量含めて中盤で泥臭い役割を全うしていたボランチの存在が、明らかに東海大高輪台の連続攻撃を生み出していた。

 本人は「あんまり仕事はできなかったと思う。競り合いとかもそんなにしていなかったですし、自分のインターセプトはいつもよりなかった」と首を振る。それでも後半、疲れによってチームの攻撃が停滞した時間帯にその運動量はまた活きた。交代カードを切って攻撃の迫力を増した相手DF陣とともに封じきった主将の功績は大きかった。

 ポゼッションスタイルの色濃い東海大高輪台のサッカーに憧れて入学してきた一人。だが入学後レベルの高いチームメートたちを見て「自分は違うところで生きていくべきなのかなと思いました」という袖山は、インテリオールFCに所属していた中学時代に「攻守の切り替えとか運動量がいいところと言われていた」こともあって、自分のプレースタイルを確立していく。そして「自分のスタイルは真ん中でセカンドの回収だったり、身体を張って頑張るところだと思う。そこで拾うことで前線の選手がさらにボールを持てて攻撃に活かせる」と明確な意図を持ってプレー。その運動量や切り替えの速さ、闘争心によってチームの攻撃的なサッカーを後押ししている。
 
「技術よりも素晴らしいものを持っている。あの才能は100人いて誰ももっていないもの。みんなからの信頼も厚い」と指揮官。下級生時から主力を担ってきたMFは今年、主将としてチームを引っ張り、誰よりも戦って、仲間たちとともに全国舞台に立つつもりでいる。袖山は「日本一にチャレンジするって川島先生から言われてそのためにやってきた」。まずはあと1勝まで迫っている7年ぶりの全国大会出場を決めて応援してくれる仲間や恩師たちに恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)
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