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[MOM1808]日本航空GK高橋正也(3年)_ビッグセーブ連発、国士大GKの先輩のサポートで「大人になった」守護神

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[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.19 総体山梨県予選決勝 日本航空高 1-0 山梨学院高 中銀スタ]

 プリンスリーグ関東に所属する山梨学院高はこの決勝で圧倒的にボールを支配。そして15年U-16日本代表のFW加藤拓己(2年)らが次々とシュートを打ち込んできた。だが、その前に立ちはだかった日本航空高GK高橋正也(3年)。「123人のチームメートのために絶対にやってやろうと思っていた」という守護神が魂のセーブで完封勝利した。

 身長は176cmでGKとしては決して長身のプレーヤーではない。だが、仲田和正監督も「運動能力はチームで1番高い」と認める高橋はハイボール、シュートに安定した対応。そしてビッグセーブでチームを救った。前半21分には相手エースの加藤がサイドを破り、カットインから強烈な右足シュート。ゴール右隅を捉えた一撃はベンチも「入ったと思った」というほどのシュートだったが、「(加藤は)国体で一緒にやっていた子だったので絶対にやられたくなかった」という高橋がワンハンドでセーブする。さらに後半18分にはスルーパスで抜け出したFW藤原拓海(3年)との距離を判断良く詰めて再びビッグセーブ。この2本の他にも枠を捉えたシュートがあったが、安定したキャッチングでこぼさず、連続攻撃を許さなかった。

 中学生時代に所属した柏レイソルU-15では主力GKだったが、「(同じく柏U-15出身で2年前の主将だった)吉田(雅貴)先輩がすごく良くしてくれた。また身長小さいGKが日本航空多いと聞いたのでチームに馴染めるかなと思った」という理由で日本航空へ進学した。「ここに来て人間性だったり、仲田先生に教えてもらったことが多い。自分は副キャプテンなんですけど、自分がやらないとチームもついて来ないと思う。プレーでチームを引っ張っていけたらなと思います」。日本航空で人間性から成長し、大舞台で力を発揮できる存在になった。

 サポートしてくれた先輩の存在も大きかった。この日は4年前の選手権全国大会初出場時の守護神で、国士舘大でも下級生時からゴールを守ってきた奥津亮哉(国士舘大4年)がGKコーチとしてベンチ入り。2日前まで日本航空高で教育実習していた奥津は自身も国士大の活動に戻るため、前日18日の帝京三高戦後に最後の挨拶をしていたという。だが、国士大の配慮によって決勝まで帯同することが決定。高橋と同じく、180cmに満たない身長ながらもチームを全国へ導いた奥津から「ハイボールの飛び出しが奥津さんは得意。自分はそこがすごく苦手だったので、パンチングを教えてもらったり、裏の飛び出しへの対応も奥津さんから聞いたりしていました。(いてくれて)本当に大きかったですね」と多くのことを学んだ高橋は、この日も「立ち上がりのプレーで決まってくる」という先輩のアドバイスを守りながら集中した守備で優勝へ導いた。

 奥津は後輩の高橋について「身体能力は相当高いです。似ていますね、自分と。雰囲気も、身長も。前向きに取り組んでくれて、(自分の指導に対しても)何の反抗もせずに、マジメにやってくれた」とその練習態度含めて賞賛する。仲田監督も「高いレベルの人間にアドバイスしてもらって、(奥津が帯同していた)この期間で大人になった」と評した守護神の成長。先輩GKに支えられた高橋は指揮官に「彼の活躍が大きかった」と言わしめるほどの活躍をしてのけて優勝の立て役者となった。

 日本航空入学後初となる全国大会へ向けて高橋は「関東予選とインターハイは無失点で来ている。その面では全国でも通用すると見せつけたい。山梨の代表として負けられない。粘り強く航空のサッカーを見せつけたい。キックが得意なので得点に繋がるようなキックをしたい」。柏時代の先輩GKであるGK中村航輔(現柏)を憧れの存在に挙げる日本航空の絶対守護神。先輩たちから学んできたものをこの夏、全国舞台で発揮する。

(取材・文 吉田太郎)
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