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[総体]全国切符最後の1枚は鹿島学園の手に!注目エースFW上田がスーパーゴール含む2発!!:茨城

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[6.22 総体茨城県予選決勝 鹿島学園高 3-0 水戸啓明高 Ksスタ]

 22日、平成28年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技(広島)茨城県予選決勝がケーズデンキスタジアムで行われ、鹿島学園高水戸啓明高が対峙した。

 47都道府県で唯一出場校が決まっていなかった茨城県。最後の全国切符を懸けたファイナルマッチは序盤から水戸啓明のペースとなった。前線からのハイプレスで相手の自由を奪うと、縦に速い攻撃で幾度となく相手陣内へと侵入。迎えた前半15分過ぎからは、CKをきっかけに怒濤の連続攻撃。18分にゴール前でDF中野翔(2年)が右足でシュートを放つと、20分にもMF宇佐見捺生(3年)が好機を迎える。しかし、このヘッドはバーに弾かれ、試合展開とは裏腹に先制点を奪うことができない。一方の鹿島学園は決勝特有のプレッシャーから後手を踏む守備の連続。主将のDF塩野清雅(3年)が「自分も含めて緊張から思うように身体が動かず、硬い感じになってしまった」と振り返ったように、何もできないまま前半を終えることとなった。

 その鹿島学園イレブンが目を覚ます契機になったのはハーフタイム。「どうだ? 走れるか? 行けるか? 行けるなら行け!」と鈴木雅人監督に喝を入れられると、開始1分にFW岡部知紘(3年)が右サイドを突破。この流れからMF木次谷和希(3年)が先制ゴールを奪った。指揮官の檄と先手を取った勢いで加速した鹿島学園。MF竹内利樹(3年)とMF島村風雄(3年)のダブルボランチもこぼれ球を拾えるようになり、速攻からチャンスを作り出す場面が増加した。後半11分には自陣で相手の攻撃を防いだところを起点に、左サイドから岡部が短騎突進して中央にセンタリング。このボールを「PA内に自分しか背の高い選手がいなかったので、(相手の)CBには負けたくなかった。相手のCBも2年生だったので、意地でも負けたくないなと思っていました」というエースFW上田綺世(3年)がヘディングシュートでゴールに突き刺した。

 そして直後の17分。上田がスーパーゴールで試合の行方を決定付ける。相手CKを上田がヘディングで跳ね返すと、左サイド、ハーフライン手前で五分五分のボールに自ら反応。ここから一気にゴールへ向かうと、「1対1やスピードの面では絶対に負けない自信があった」(上田)という打開力で相手DFを置き去りに。最後はGKとの1対1も冷静に制し、観客の度肝を抜くゴールトゥゴールを完成させた。「大学のトップレベルとかプロを考えれば今のうちからやっておかないといけない。高校生相手であれば出来てしまうけど、上のレベルを目指すのであればもっとちゃんとやっていけば、将来性が出てくるよ」と鈴木監督から成長を促されていた上田。まさにエースの名に恥じない活躍ぶりで、指揮官の期待へ見事に応えてみせる。

 その後も相手の攻勢をいなしつつ、手数を掛けない攻撃で試合の流れを渡さなかった鹿島学園。試合終了のホイッスルが鳴るまで集中を切らさず、2年ぶり6度目の総体出場を決めた。

 全国出場の掛かった大一番で2得点を決めた上田。その裏にはたゆまない努力があった。きっかけは関東大会茨城県予選での出来事。エースストライカーは県新人戦優勝の自信を胸に大会に挑んだが、ベスト4で敗退してしまう。「関東大会予選は新人戦で勝てていたので、どこかにいけるんじゃないかという気持ちがあった。なので、自分らしいプレーが出来なかった。そこから自分磨きに励みました」と上田。その後は終盤に活躍出来ないという自身の課題を克服すべく、身体に負荷を与えた上でシュートを放つという練習を自主トレに組み込んだ。ほぼ毎日50本以上足を振り続け、終盤に活躍できる選手を目指した背番号10。その努力が決勝の活躍に繋がったことは間違いない。

「自分の地元の高校で全国大会に出たい」という想いで鹿島学園の門を叩いた男は、「(総体では)全国大会の常連チームとやりたい」と決意を語った。この日のようにチームを勝利に導くゴールを量産すれば、おのずと強豪と戦う機会は増える。本大会まで残り1ヶ月強。全国の猛者たちと競い合うためにも、さらなるレベルアップを目指していく。

(取材・文 松尾祐希)
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