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[総体]プリンスリーグ9戦13発!四国の才能、徳島市立MF郡紘平が“怖い選手”へと変貌中

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 2年連続でプリンスリーグ四国を制覇し、全国高校総体にも3年連続の出場だ。かつての全国王者で、現在再び四国での地位を高めている徳島市立高の今年の武器は攻撃力の高さ。「今年は全国で点を獲れるだけの力がある」(河野博幸監督)アタッカー陣の中心に君臨するのが、MF郡紘平(3年)だ。

 特長は、「見て欲しいプレーはゴール前での崩し。自分でも得点が獲れて、味方にも獲らせてあげられるのが自分らしさ」と言い切るよう“得点に絡むプレー”。敵を翻弄するテクニカルなドリブルが真っ先に目を惹くが、ドリブルで崩すのか、パスで散らすのか。相手の状況を見ながら最適なプレーを選択し、ゴールに向かっていくことができるのが彼の真骨頂。1年時から選手権で得点を記録するなど才能の片鱗を垣間見せてきた、

 一方で、足りない部分も明確だった。指摘されることが多かったのは守備意識の低さ。徳島市立に来るまでは“攻撃だけをやっていれば良い”というタイプの選手だったが、河野監督から奪われたらすぐ守備に切り替える動きや、前から奪いに行くプレーを強く求められるうちに、「サボるとこんなにチームが苦しいことが分かった」。

 課題の2つめはコンスタントな活躍だ。良い時と悪い時のプレーの波が激しく、ピッチで消えている試合が少なくなかった。加えて、「得点が獲れなくても、崩しに関われば良いって考えだった」と振り返るように、重きを置いていたのは自らが得点を奪うことよりも、得点に絡むプレー。ライバルの鳴門高と激突した昨年度の選手権予選決勝、新潟U-18と対峙したプレミアリーグ参入戦など大一番で決定機が訪れても、活かすことができずに、涙を飲んだのはゴールを取ることへの意識の低さが出たからだろう。

 ただ、今年に入ってからのプレーはこれまでとは違う。プリンスリーグでは、9節を終えて13得点をマークし、得点ランキングトップに君臨。アシスト数でも上位争いに顔を出すなど、上手い選手から着実に試合を決められる“怖い選手”へと変貌を遂げつつある。

 変身のきっかけとなったのは昨年の選手権予選だ。本来なら攻撃の要として活躍するはずだったが、大会直前に足首を負傷。決勝こそ痛み止めを打ち、強行出場したものの、主戦場となったのは応援席だった。「一年の時からベンチに入らせてもらって応援を経験してこなかった。でも、応援に初めて回ってこれまでとは違う感情が芽生えた。チームの代表としてピッチで戦っている奴らを見て、頑張って欲しいって思う皆の気持ちが分かったし、頑張っていなかったら悔しさもあった。ピッチに入ったら、もっと責任を持ってやらないとダメだなって気付くことができた」。

 ピッチから離れたことで生まれた責任感により、「自分が試合を決めないといけない、自分が決めて勝つという意識が強くなった」。今年の総体県予選では、準決勝の前日に発熱したため決勝は後半頭からの出場となったが、ファーストタッチで決勝点をマークし、チームを全国に導いた。広島の地でも役割は変わらない。郡が持ち味を発揮すれば、自ずと結果がついてくるはずだ。

(取材・文 森田将義)
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