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[総体]“陸の王者”慶応、総体初出場初勝利!

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[7.27 全国高校総体1回戦 盛岡商高0-1慶応義塾高 みよし運動公園陸上競技場]

 平成27年度全国高校総体「2016 情熱疾走 中国総体」サッカー競技1回戦。広島県のみよし運動公園陸上競技場での第1試合は、総体初出場となる慶應義塾高(神奈川2)が、24回目の出場となる盛岡商高(岩手)と対戦。前半に挙げた1点を最後まで守り切り、嬉しい総体初出場初勝利を記録した。

 ともに堅調な立ち上がりから、ひとつのチャレンジが試合を動かした。前半26分。慶應義塾高の左SB、DF柿沼亮祐(3年)がドリブルで盛岡商高陣内に進出。相手DFとの競り合いになるも粘ってボールをかき出しFW松島竜成(3年)へ。さらに中央のFW小関嵩史(3年)に渡る。盛岡商高もDF2人が必死に食らいつく。小関は「最初のタイミングでシュートを打ちたかったのですがDFが来ていて。そこで一度切り返したらDFが二人ともつられたので」左足でシュート。これが見事に決まる。この試合のスタンドには慶應義塾高サッカー部全員とその父兄が集結。同校相対初ゴールに対して大きな歓声が沸き起こり、慶應義塾の応援歌『若き血』が合唱された。

「今朝、バスで会場入りしたら、応援の方々がもう来てくれていて。ですので、アウェーな感じもせず、みんながいる中でいつも通りプレーすることができました」と語るのは慶應義塾高の大方貴裕監督。ただ、やはり初戦の緊張感は隠せなかったようだ。「裏を突くことに固執しすぎてしまった面はあります。ボールを大事にしながら安全なゲーム運びを心がけたこともあって、本来の形は出ていない。総体初勝利ですが、勝ってよかった、というのが本音です」(大方監督)。

 まさに虎の子の1点。小関は、「相手DFの身長が高く、自分は身長が低い。高さで競って勝ち目はないので一瞬の動きで裏を狙っていました。足が特別速いわけではないですが、相手より早くスペースを見つけて走り込むことを意識しています」と冷静に立場を分析。さらに予選では0ゴールで「絶対にゴールを決める」という気持ちの強さも加わり、結果として決勝点となるゴールが生まれた。

 昨年の総体を経験していた選手が残っている盛岡商高も、黙っていたわけではない。特に後半から攻勢を強め、相手の足が止まるところからさらに圧力を強めていった。後半23分には相手クリアをブロックしたこぼれ球にFW伊藤隆人(3年)が反応。ゴールライン際から強引に左足を振り抜くがポストに。さらに3分後には伊藤からMF吉田陸(3年)とつなぎ、ペナルティエリア内左でフリーになっていたFW村井勇仁(3年)へ。ここで村井はシュートでなくこのボールをさらに中央へ折り返すことを選択。これが相手にブロックされてしまった。30分にはゴール正面ペナルティエリアすぐ外の位置でFKを得るが、DF泉山凌馬(3年)のキックは壁に跳ね返された。

 盛岡商高・太田浩史監督が振り返る。「相手のビデオを見て特徴をケアしながらサイドを使って、と思っていましたが落ち着かなかった。セカンドボールも拾えず、判断なくフリーで蹴ってしまいました。後半最後のパワープレーも相手の足が止まっていたので、冷静に判断してサイドに引っ張り出してから中で勝負していたら違ったと思います」。慶応義塾高の本来のスタイルは、攻守の切り替えが早いアクションサッカー。だが、この試合に限っていえば「ボールを大事に安全にする」サッカーでテンポもゆったりと、後ろでボール回しをする機会も多かった。

 対する盛岡商高は相手の良さを消したうえでの勝負を考えていた。このお互いの狙いの食い違いが、微妙な試合のリズムや流れを変えたかもしれない。「最後まで粘って守りきれたのは成長した部分。ですが、次の試合では自分たちがやってきたサッカーをできればと思います」(大方監督)。次戦は28日、この日と同じみよし運動公園陸上競技場で大阪学院大高(大阪1)と対戦する。

(写真協力『高校サッカー年鑑』)
(取材・文 伊藤亮)
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