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またも滋賀の歴史を変えるか? 綾羽が比叡山破り、2連覇王手!

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前半25分、綾羽高はMF小西謙太朗主将が先制ゴール

[6.1 全国高校総体滋賀県予選準決勝 比叡山高0-2 綾羽高 布引]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)への出場権を懸けた滋賀県予選は1日に準決勝を行い、2連覇を狙う綾羽高比叡山高に2-0で勝利。綾羽は3日の決勝で近江高と決勝を戦う。

 昨年のファイナルで延長戦の末に勝利した比叡山に今回は2-0で快勝。綾羽は13年度の選手権予選で滋賀県の私学勢として初優勝を果たし、昨年度の総体予選でも私学勢として初めて頂点に立った。そして、今夏は初の連覇に王手。野洲高や草津東高、水口高などの公立校が覇権を守ってきた滋賀に綾羽が風穴を開け続けている。

 それも決勝の対戦相手は私学勢対決となった昨年の比叡山に続いて、今年も私学勢の近江。岸本幸二監督は「(自分たちだけでなく)彼らも成長している。2年連続(私学勢決戦で)で個人的にワクワクしている」と腕を撫していた。

 この日は立ち上がりから多くの時間帯で試合の主導権を握り続けた。ハードワークを徹底し、球際での厳しさなど統率の取れた守りを見せる比叡山を押し込んだが、攻めきれない。今年の滋賀県を代表するタレントである左MF藤田昂陽(3年)が周囲を活かそうとするあまりに消極的なプレーとなってリズムを欠いてしまうなど、どこか歯車が噛み合っていなかった。

 それでも25分、藤田が中央をドリブルで突破して左前方へスルーパス。タイミング良く抜け出したMF武村大夢(3年)がエンドライン際からクロスを上げ切ると、中央へ飛び込んだ右MF小西謙太朗主将(3年)が「僕のプレーはチームに影響すると思う。昨年からずっと出ているので背中でチームを引っ張れるように。(武村)大夢がしっかりクロスを上げてくれて突っ込むだけだった」と先制点ヘッドを叩き込んだ。

 綾羽は後半立ち上がりも自慢の両翼がチームを活性化。藤田、小西のミドルシュートがいずれも枠を捉えたが、比叡山はGK中里孝玄(3年)がファインセーブで何とか逃れる。すると、比叡山にも訪れた流れ。13分、左サイドで巧みにDFを抜き去ったSB北村竜輔(3年)のクロスにFW奥山大輔(3年)が飛び込んだがわずかに合わせることができない。

 比叡山は前線でFW川島龍之介(3年)が奮闘し、北村、右SB林遼太朗(2年)の攻め上がりを交えて反撃するが、思うようにボールを繋ぐことができない。また、綾羽は「(ギリギリで登録入りし)初戦で出したら良かった。そこから台頭してきた」(岸本監督)という成長株のCB藤井一気(3年)が最終ラインで抜群の高さを発揮するなど、後半半ば以降は相手に決定機を作らせなかった。

 そして後半27分、綾羽は藤田の左クロスをFW古賀郁也(3年)が競ると、こぼれ球を武村がゴールへ押し込んで2-0。比叡山の反撃を封じた綾羽は、総体予選は昨年から9試合連続無失点という堅守を示して決勝進出を果たした。

 綾羽は昨年から藤田、小西の両翼を除くメンバーが入れ替わった。CB野々村鷹人(現流通経済大)ら強力な陣容だった昨年の3年生と比較されることが多かったという現3年生たちは、連覇、そして先輩超えとなる全国での勝利へ意識を傾けている。

 岸本監督も「(この時期に完成していた昨年に比べると)この子らはまだまだ。でも伸びしろがある。全国で勝つことを考えて、何をすべきかと選手の意識が変わった」と変化を口にしていた。また、小西は「2連覇は綾羽史上初。そのチャンスが僕らの年にはあるんで。ずっと狭間の年と言われていたんですけど、逆にそれが自分らの中で火がついていて、優勝という結果で裏切ってやろうと言っている」と意気込んだ。

 連覇まであと1勝。先輩たちに負けないように団結力を持って努力し、成長を遂げてきた現3年生たちを中心に今年、綾羽が新しい歴史を築く。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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