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立正大淞南が逆転V!15年の全国4強超えよりも「まずは当時の先輩たちを超える練習を」

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10年連続の全国高校総体出場を決めた立正大淞南高

[6.3 全国高校総体島根県予選決勝 立正大淞南高2-1大社高 松江市総合運動公園陸上競技場]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技(宮城)への出場権を懸けた島根県予選は3日に決勝を行い、立正大淞南高大社高を2-1で破り、10年連続12回目の出場を決めた。

 冬の高校選手権は昨年度の前回大会が15回目の出場で、すでに県内最多となっている立正大淞南が、インターハイ出場でも県内最多となった。昨年までの9年連続出場で通算11回としており、今回の決勝の相手は、立正大淞南の連覇が始まる前年、10年前が11回目の出場だった大社。勝った方が県内最多となる戦いを制し、今年も出場権を譲らなかった。

 試合は立ち上がりから動いた。開始3分、立正大淞南はFW藤井奨也がドリブルで中央を破ると、対応した大社DF山崎祐輝にエリア内でファウルを受け、いきなりPKのチャンスを得る。これを藤井が自ら狙ったが、左に外れて先制はならなかった。

 ピンチを切り抜けた大社は、10分に先制点を奪う。1年生MF藤原建の右サイドからのセンタリングは、当たり損ねたようにゴールに向かって飛んだものの、これがクロスバーに当たってゴール前へ。詰めていたMF野稲竜が蹴り込み、リードを奪った。

 その後は立正大淞南が、左サイドのMF岩本大和、右サイドの福島颯斗のドリブル突破などで同点を狙う。しかし大社も集中力を切らさずに粘り強く守り、そのまま1-0とリードして前半を終えた。

 後半も立正大淞南が攻め、大社が守る構図は変わらない中、11分に立正大淞南がMF福島に代え、MF河岸真太朗を右サイドに投入すると、これがズバリ的中する。14分、その河岸が右サイドを破ってセンタリングを送り、飛び込んできた左MF岩本がヘッドで同点ゴールを決めた。

 野尻豪監督は「河岸はクロスの精度が高い。ウチの2トップに相手のセンターバック2人がついているが、風も吹いているのでファーサイドまで越えるだろうから、そこに飛び込め、と伝えていた」と振り返る。岩本も「クロスに頭から飛び込めと言われていたので、『来た!』と思ってヘディングした」と振り返る、狙い通りの会心の一撃だった。
 
 これを機に攻撃の勢いが増した立正大淞南が、さらに攻め立てると、23分に逆転に成功する。ニアサイドへのセンタリングに飛び込んだFW安野真央が、ゴールライン付近で大社GK藤江理貴、DF山崎ともつれ、一度は倒れながらも「絶対に点を取ってやろうと思って、気持ちでねじ込んだ」と振り返るプレーでゴールに押し込んだ。
 
 その後は大社もGK藤江の好セーブなどで3点目は許さなかったものの、立正大淞南はセカンドボールの争奪戦で優位に立ち、大社を敵陣に押し込んで試合を進める。終盤はコーナーフラッグ付近での巧みな時間稼ぎなどで時計の針を進め、そのまま逃げ切って逆転勝利を収めた。

 大社は立ち上がりにリードこそ奪ったものの、後半は思うようにチャンスを作れずにシュート2本、前半もゴールシーンの1本。佐々井秀臣監督は「後半に向けて『守るな』『2点目を取りにいけ』と伝えましたが、余裕がなく、守りに入ってしまった」と振り返る。先発11人中、2年生が6人、1年生が1人の若いメンバー構成で伸びしろも期待できるだけに、「選手権予選では、もっと戦えるように頑張りたい」と雪辱を誓った。

 立正大淞南も昨年はインターハイ、選手権とも初戦で敗れており、今回のインターハイは、悲願の全国制覇への再スタート。野尻監督は全国大会に向けて、「守備力につながる走力と球際の強さを、もう1ランク、2ランク上げなければいけない」と課題を挙げる。全国3位となった2年前の大会で、1年生ながらメンバー入りしていたキャプテンのMF松下昇太は、「2年前の結果を超えることを目指す前に、まずは当時の先輩たちを超える練習をしていきたい」と力強く語った。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校総体2017

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