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立ち上がり2発!交代出場組が後半に3発!攻め勝った東海大相模が初の全国へ!!:神奈川

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初の全国総体出場を決めた東海大相模高イレブン

[6.17全国高校総体神奈川県予選準決勝 湘南工科大附高 1-5 東海大相模高 ギオンス]

 平成29年度全国高校総体「はばたけ世界へ 南東北総体2017」サッカー競技への出場2枠を懸けた神奈川県予選は17日、準決勝を行った。湘南工科大附高東海大相模高との一戦は、東海大相模が5-1で快勝。勝った東海大相模は全国総体初出場を決めた。

 東海大五高(現東海大福岡高)で指揮を執っていた経歴を持つ有馬信二監督の就任から7年目。初の全国出場が決まると、東海大相模の有馬監督とCB水越陽也主将(3年)はタッチライン際でがっちりと抱擁し、ピッチ内外で選手やスタッフのハイタッチが繰り返された。

 そして挨拶後、「カモン東海!」のコールの中でピッチ、スタンド合わせて180人の部員が一緒になって飛び跳ねる。指揮官は「選手に恵まれました。信じてやってくれた。選手さまさまです」とコメント。また、水越は「全員が勝ちたいという気持ちをもっていたのもあるんですけど、スタンドも含めてチームが一つになったのが大きかったです」と仲間たちを讃えていた。

 立ち上がりの2ゴールが試合の流れを大きく傾けた。東海大相模は前半3分、MF中島優太(2年)とFW横山翔大(2年)による崩しから3人目の動きで抜け出したFW井上蔵馬(3年)が右足ダイレクトで先制点を叩き出す。

 その井上が「前半で(体力を)使い切っていいくらい。代わりにもいい選手いっぱいいるので」と振り返ったように、一気に畳み掛けようとする東海大相模は長短のパスを繋いで連続攻撃。そして10分、中島の左足シュートのこぼれ球に反応したMF中山陸(2年)が左足シュートを放つと、最後は跳ね返りがゴールラインを越える形で2-0となった。

 早々に2点リードを奪われた湘南工科大附はDF平野敬介(3年)やMF田原廉登(2年)が中心となり、正確にショートパスを繋いで反撃する。18分には攻撃参加した左DF長橋由己(3年)が左足シュートを打ち込み、連続攻撃を繰り出した前半アディショナルタイムにはエースFW岩崎駿(3年)の右足シュートがゴールを捉えた。

 だが、東海大相模はアプローチスピードの速く、相手の起点に圧力を懸けるCB水越や中盤で潰し役を担ったMF名執龍(3年)を中心に前線からDFラインまでが連動した守備。湘南工科大附は前半のシュート数が2に終わるなど、なかなかシュート数を増やすことができない。

 逆に東海大相模は有馬監督の長男であるMF有馬和希(2年)の抜け出しや、1対2の状況からでも強引に仕掛けて突破していた注目左SB山口竜弥(3年)の攻撃参加などから3点目を狙うと、指揮官から「オマエラが点取って決めてこい!」と送り出されていた交代出場組が追加点を奪う。

 25分、カウンターからサイドチェンジを交えてPAまでボールを運んだ東海大相模は有馬の左クロスをファーサイドの交代出場FW山口泰輝(3年)が落とすと、最後は同じく交代出場のMF瀬名波新平(3年)が右足シュートをねじ込んで3-0。さらに36分には右SB今泉要(3年)の右CKをファーサイドの水越が折り返し、最後は山口が頭でゴールへ押し込んだ。

 湘南工科大附も39分に気迫溢れるプレーを続けていた長橋が自ら獲得したPKを決めて意地の1ゴール。だが、東海大相模は直後に交代出場のFW小林春稀(3年)が自ら獲得したPKを右足で決めて5-1で快勝した。

 神奈川の新興勢力が歴史を塗り替えた。東海大相模は4年前、まだ全国出場経験がないにもかかわらず、人工芝グラウンドが完成するなど、大きな期待が寄せられていた。その東海大相模はトレーニングで「絶対に浮かせるな。1タッチ、2タッチで繋ごう」(有馬監督)と徹底して技術力を強化。サッカーの質と評価を高めて来ていたが、激戦区・神奈川の壁は厚く、今年以上とも言えるほど個々の力があった昨年など、悲願を達成することができなかった。

 それでも、有馬監督が「メンタル面が強くなりました。大人のサッカーに近づけるようになった」と語り、昨年からの主力DF山口が「個人の身体能力とかは一個上の方があったと思うんですけど、チームで決めたことをやる能力は今年の方があると思います」という今年、残り2分で追いついて延長戦で勝利した弥栄高戦や1-0でしたたかに勝ち切った前回優勝校・横浜創英戦で勝負強さを発揮して準決勝進出。そして、代表決定戦では持ち味の攻撃力を遺憾なく発揮し、大量5ゴールで全国切符を勝ち取った。

 まずは日大藤沢高との決勝を制すことが第一だが、選手たちは初の全国でも自慢の攻撃力を発揮する自信があることを口にしていた。一方で、神奈川の代表校として結果を残すためにはまだまだやるべきことがあることも確か。全国大会へ向けて水越は「このまま全国で通用するとは思っていないので、球際とか自分たちのポゼッションとかスピード感溢れるサッカー強めて、その中でも個々も成長していくことが大事だと思います」。豪快な勝利で歴史を塗り替えた。その自信も胸に、少しでも進化して全国初陣の時を迎える。 

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2017

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