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[MOM2591]桐光学園FW西川潤(2年)_逸材、「自分史上最高のゴール」含む3発!

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前半5分、桐光学園高FW西川潤が先制ゴール。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.11 総体準々決勝 桐光学園高 5-0 富山一高 鈴鹿]

 全国準々決勝で圧巻の3発。「自分史上最高のゴール」も決めたU-16日本代表FW西川潤(桐光学園高2年)にとってこの試合は、今後の大きな飛躍へ向けて「ターニングポイント」になりうるゲームの一つになった。

 まずは前半5分、右サイドから強引にクロスまで持ち込んだ右SB岡孝樹(3年)のマイナス気味のクロスを西川が右足ダイレクトでゴールに突き刺す。相手がマイナスのクロス対応に難があるという分析通りにマークを外し、そしてシュート。西川にとってこれは、前半5分にして早くも3本目のシュートだった。強引にシュートを打ち続けて、得点することを目指したエースが見事に先制点をもたらした。

「自分史上最高のゴール」が生まれたのは、2-0で迎えた前半25分だった。敵陣に入ったところでボールを受けた西川は並走するDFの前に出ると、上手くスペースを作ったMF阿部龍聖(3年)の動きを活用してDF2人の間へ潜り込む。右側から来たDFのタックルをかわし、最後は左側からバランスを崩そうとしてきたDFを振り切りながら、GKも鮮やかにかわして右足シュートをゴールに流し込んだ。

 衝撃的な4人抜きゴールだった。2点をリードしていたことで余裕があったことも確か。だが、富山一高の大塚一朗監督が「(西川の)1タッチ、ドリブルシュートを警戒していた」と説明するように、プレミアリーグに所属する強豪・富山一から警戒されていた中でそれを上回るようなプレーをして見せた。

 大会前のインタビューで「自分史上最高の」ゴールについて質問した際に出てきた答えは、今春の早稲田大との練習試合で決めたというドリブルシュート。それを「越えましたね」というゴールが大舞台で生まれた。
 
 西川は後半終了間際にもMF佐々木ムライヨセフ(2年)のマイナスクロスから左足ダイレクトで決めてハットトリック達成。本人はセカンドボールを拾って仕掛ける回数について満足していなかったものの、それを埋めて余りある活躍について「これまでの試合、得点ということについては良くない結果だったので、今日溜まっていた分、3点取れたので良かったです」と笑顔を見せていた。

 福岡などでプレーした経歴を持つ桐光学園・鈴木勝大監督に「僕も指導者やってきて、ここ数年、彼みたいな素材は他のチームでもなかなか見たことが無い。(日本の宝になりうる)可能性が十分にあると思うんですよ」と言わしめる逸材。かつてMF中村俊輔(現磐田)も背負った名門の10番を1年時からまとうFWは、泥臭く守備を頑張る部分や逆境を乗り越えるようなファイティング・スピリットという課題だった部分をこの1年半で身につけ、武器と言えるものにしている。

 今回のインターハイは高校進学後、初の全国舞台。「自分の中で一つメインにしていたので、そこはターニングポイントというか、自分の進路をまた広げるためにも重要になってくると思う。今日の試合は良かったと思います」。自分のサッカー人生のターニングポイントと考えている大会でチームを過去最高タイのベスト4へ導き、得点ランキングも首位と3差の3位タイ。逸材は堂々と「狙います」と語った得点王と、全国制覇を勝ち取り、勲章とさらなる評価を手にする。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2018

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