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福島工が磐城とのPK戦制し、福島3位。10年ぶりに東北大会へ

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PK戦勝利を喜ぶ福島工高イレブン

[6.2 インターハイ福島県予選3位決定戦 福島工高 1-1(PK5-4)磐城高 Jヴィレッジスタジアム]

 福島工が10年ぶりとなる東北大会へ――。2日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)福島県予選の3位決定戦が行われ、福島工高磐城高が対戦。1-1で突入したPK戦の末、5-4で福島工が勝ち、10年ぶりとなる東北大会進出を決めた。

 PK戦では2度相手に追い詰められた。それでも2度跳ね返した福島工が執念の勝利だ。2-3で迎えた5人目、先攻の福島工は10番FW齋藤慧(3年)がゴール。直後、“PK戦要員”として延長後半終了間際に投入された2年生GK鷹屋善次郎が助走をつけて跳躍する独特の守りで相手のキックミスを誘う。福島工は1、4人目に続き7人目も磐城の2年生GK小松裕に止められたが、鷹屋が止め返して8人目へ。ここで福島工の左SB菅野輝(3年)が決めると、直後に鷹屋が右に跳んで止めて決着をつけた。

 勝利の瞬間、福島工の選手たちが一斉に走り出して鷹屋の下へ。また、興奮した控え部員たちがスタンドから飛び出して赤い輪を作って喜んだ。前日の準決勝では優勝校の尚志高に0-4で完敗。それでも福島工の亀岡丈朗監督は「東北大会は10年ぶり。この試合は絶対に勝ちたかった。一生懸命やってこの結果ならば報われたと思う」と勝ち切った選手たちに目を細めていた。

 U-20日本代表・影山雅永監督の母校である磐城との一戦は、福島工が先に主導権を握る。齋藤慧のスピードある抜け出しやMF齋藤怜(3年)の左足、右SB樋口月雅(2年)のロングスローを活かして相手にプレッシャーをかけた。だが、開始10秒で迎えた決定機をはじめ、序盤のチャンスで決めきれず、相手に立て直しを許してしまう。

 一方、ボールを繋いで攻める時間を増やした磐城は奪い返しの部分も徹底。良い形でのボール奪取からエースFW渡部智也(3年)、FW高萩倭音(2年)、MF坂本侑樂(3年)のトリオが絡んだコンビネーションでサイドからの崩しを見せていた。
 
 そして前半31分にはMF天野颯太(3年)からのパスを左サイドで受けた渡部がカットインシュート。だが、このシュートはクロスバーを叩き、こぼれを狙った坂本のシュートも枠を外れてしまう。

 福島工はハーフタイムに亀岡監督が檄。全国や東北大会の舞台から遠ざかっている古豪の「歴史を変えるんだ」と発奮した選手たちが、後半開始直後にスコアを動かす。敵陣での奪い返しから右中間を抜け出した齋藤慧が「一回かわしてから打とうかなという考えもあったんですけれども、思い切って打ったほうが良い」と右足一閃。ニア上にシュートを突き刺して先制した。

 県リーグ戦でゴールを量産しているエースの待望の今大会初ゴール。これで落ち着いた福島工はボールを支配する。福島県内屈指のGK熊田秀紀(3年)に支えられた福島工はMF前田陸斗(3年)らがボールを奪い、そこからの連続攻撃で相手の守りにプレッシャーを掛け続ける。

 だが、磐城はポジションを右WBに上げた本橋怜(3年)が運動量を発揮するなど諦めずに反撃。そして33分、MF秋谷直慶(2年)の左ロングスローから最後は渡部が頭でゴール右隅に流し込む。後半終了間際、延長戦でも勝ち越しのチャンスを作った磐城に対し、福島工も樋口のヘディングシュートがクロスバーをヒット。福島工は最後まで勝ち越し点を奪うことができなかったが、PK戦で粘り勝ち、東北切符を掴んだ。

 勝った福島工は選手権予選へ向けて良い形で再スタート。齋藤慧は「昨日0-4で大敗してしまったんですけれども、もう一回東北大会を掴むチャンスがあるということでチーム一丸になってやれたのが良かった。(東北大会では) 福島県の代表としてしっかりと戦いたい」と誓い、亀岡監督は「(福島県の各)私立の背中に食らいついてこれからもやっていきたい」と意気込んでいた。歴史を変えた選手たちが東北大会で経験を積み、選手権で私学勢突破に挑む。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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