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圧巻の入り見せた青森山田が「怒涛」の4分間で2ゴール!甘さ出るも、冬夏全国連覇へまず青森突破

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選手権王者・青森山田高がインターハイ出場権を獲得

[6.3 インターハイ青森県予選決勝 青森山田高 2-0 八戸学院野辺地西高 ダイハツスタジアム]

 選手権王者・青森山田がインターハイへ――。3日、令和元年度全国高校総体(インターハイ)「感動は無限大 南部九州総体2019」サッカー競技(沖縄)青森県予選決勝が行われ、1月の選手権優勝校・青森山田高八戸学院野辺地西高に2-0で快勝。20年連続23回目の全国大会出場を決めた。

 文字通り、「怒涛」の4分間だった。試合開始わずか15秒、青森山田はU-18日本代表MF武田英寿主将(3年)のスルーパスからMF浦川流輝亜(3年)が決定的な左足シュートを打ち込む。直後にも武田がPAへ鋭く切れ込んでCKを獲得すると、その左CKの流れからMF後藤健太(3年)が左クロス。これをファーサイドのU-16日本代表MF松木玖生(1年)が頭で決めて先制する。

 畳み掛ける青森山田はさらに4分、武田が左サイドの浦川へパス。そして、浦川のシュート性のクロスにFW田中翔太(3年)が飛び込む。これが相手GKのミスを誘い、2-0とした。

 青森山田の攻勢は止まらない。前へ前へとボールを運び、失っても段違いに切り替え速い守備で奪い返して連続攻撃。U-17日本代表CB藤原優大(2年)や好キックを連発するMF古宿理久(3年)、正確なファーストタッチを見せる武田がどんどんボールに絡んで相手の守りにプレッシャーをかけ続ける。その前に八戸学院野辺地西は完全に呼吸ができない状態に陥り、クリアもままならなかった。

 武田が「前半の入りというのは毎回良くできるというのがあるので、そこで行けたのは良かった」と振り返っていたが、プレミアリーグEASTで首位に立つなど経験豊富な青森山田による“嵐のような”序盤。10分が過ぎるとゲームは落ち着き、八戸学院野辺地西が攻め返す回数を増やしていく。

 11分、縦パスにFW風穴真苑(2年)が抜け出しかけたが、青森山田はGK佐藤史騎(3年)が守備範囲広く守ってクリア。球際の強度が高い青森山田はこの日、普段通りの強度のつもりが競り合いでファウルを取られるシーンが増え、敵陣で八戸学院野辺地西にFKを与えるシーンが増えてしまう。

 八戸学院野辺地西はゴール前に人数をかけてFKに飛び込もうとするが、キックの精度を欠いて得点に結びつけることができない。ただし、ハイラインを設定し、DFラインから1タッチで相手の背後を狙う攻撃など狙いとするサッカーを徹底。立て直しに成功する。

 一方の青森山田は2点をリードしていることで安心してしまった部分もあったか、攻撃の勢い、DF背後のスペースを突く動きが減少し、狭い局面で勝負してボールを奪わるシーンが続いてしまっていた。

 青森山田の黒田剛監督は「自分たちが攻めなければ、相手に攻められてしまう。表裏一体のサッカーをしているのだから」と苦言。後半もなかなか攻撃のテンポが上がらない青森山田は、相手に合わせたようなサッカーになってしまっていた。

 対する八戸学院野辺地西は対青森山田対策として取り組んできた空中戦でも健闘。相手の右SB内田陽介(2年)のロングスローを跳ね返すなど2点差を維持する。そして、昨年度の選手権予選で青森山田からゴールを決めているMF工藤拓人(3年)のFKや突破、またMF佐々木大羅(3年)のサイドチェンジなどからまず1点を取り返そうとする。

 それでも、青森山田は黒田監督が「落ち着いてやっていた」と高く評した藤原が工藤の突破を1度、2度と阻止。また、終始安定していたGK佐藤中心に無失点で試合を進める。一方で後半18分に後藤のスルーパスから武田がゴールネットを揺らしたが、オフサイドの判定となるなど最後まで追加点を奪えず。ほぼ危なげなく20連覇を果たしたが、レフリングに苦しむなど不満の残る勝利だった。

 黒田監督は試合後、「こういう試合をやること自体、強さがない証拠」と一刀両断。明らかに甘さのあった守備や判断悪く相手を楽にしてしまっていた攻撃、メンタル面など課題を挙げ、ロッカールームで選手たちに厳しく指摘していた。

 武田は「県大会は結構雰囲気も難しい感じで周りのざわつきだったり、そこでの落ち着きとかチームとして落ちていったというのはあったと思います」と反省。そして、プレミアリーグ4試合を挟んで迎えるインターハイへ向けて「青森県ということで暑さにあまり強くない。去年は、(全国大会で)2点獲ってから4点返されて落ちてしまった。今年(の開催地)は沖縄ということでもっと暑くなると思うんですけれども、そこは全国までにしっかりと意識してチームで共有してやっていきたいです」と引き締めた。

 今年の目標はインターハイ、プレミアリーグ、選手権の「三冠」。武田は「インターハイは一個目のタイトルになるのでしっかりとやっていきたい」。青森県内、全国のライバルたちからターゲットにされている王者は改善すべきところを見つめ直し、プレミアリーグ、インターハイへと向かう。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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