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[MOM2909]國學院久我山DF加納直樹(3年)_相棒が負傷交代も、責任感持ってゴール守り、攻撃の起点に

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國學院久我山高CB加納直樹は完封勝利に貢献した

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.23 インターハイ東京都予選決勝 大成高 0-2 國學院久我山高 駒沢2]

「頭を切り替えた」という後半のパフォーマンスについては、清水恭孝監督も「パーフェクトに近かった」と評価する内容。國學院久我山高は、立て直したCB加納直樹(3年)が最終ラインで集中力の高い攻守を見せて、関東大会予選、関東大会に続く3冠達成に貢献した。

 前日の準決勝で駒澤大高との死闘を制して全国切符を獲得。加納はホッとした感情を持ってこの日を迎えていたという。試合前に三栖英揮フィジカルコーチから「東京の優勝校を決める一戦」であることを再確認され、気持ちを引き締めて決勝戦に臨んだが、前半は加納含めてDF陣の集中力、緊張感が足りず、後手を踏む展開になってしまった。

 その中でDFラインの中心選手、CB保野友裕(3年)が負傷退場するアクシデント。パートナーがCB野田祐成(3年)に代わる中、加納は前半終了間際にビッグプレーを見せる。久我山DFと入れ替わって抜け出した相手FWを後方から追いかけ、身体を投げ出す形でCKに逃れる。「ああいうプレーは自分しかできないと思いますし、自分がやらないといけないところ」というプレーがあったものの、前半は相手に背後を突かれるなど不満の内容だった。

 それでも、「後半はヤス(保野)がいなくなって、代わって入った野田も緊張していると思うので、その分もやらないといけないという責任感もありましたし、ヤスの倍以上にやらないといけないという気持ちがありました」という加納が、前に出てのインターセプトやPAでのボール奪取。後半24分の2点目は加納が相手の速攻を一人で潰し、MF田中琢人(2年)にボールを預けたことが起点となって生まれたゴールだった。

 高さを特長とする保野を欠く中、野田らと協力しながら守って完封勝利。加納は同じく保野を負傷で欠いた関東大会で頂点まで勝ち抜き、責任感やメンタル面が向上した。清水監督は「(それまでは)受け身になった時に『来いよ』みたいなものがなかった。(高さのある保野に)頼っていた部分があった」と分析する。ただ、関東大会を経て指揮官も成長を認める加納はこの日、再び勝利に貢献するプレー。次は、全国大会でリベンジする意気込みだ。

 元々FWだった加納は、CBにコンバートされて迎えた昨年のインターハイで先発の一人としてプレー。だが、3回戦の大津高戦でビルドアップの部分を狙われてチームのリズムを崩してしまう。結果、試合は0-2で敗戦。その試合が彼にとって、CBとして覚悟して戦う分岐点となったという。

「あの試合が自分の一つの分岐点というか、あの試合の反省が今に繋がっていると思う。あの試合があったからサッカーの考え方が変わったと思います。去年はFWからCBにコンバートして1年目という甘さがあって、周りもそういう目で見ていた。今年はそんな甘さは許されないし、本気でCBで生きていく強い気持ちもある」

 今年は怪我による離脱もあったが、メンタル面から成長して守備の柱と言える存在となった。今夏は甘さのあった昨年から変わった姿で目標の日本一へ。「監督、スタッフ、チームみんなも本気で日本一を獲ろうとしている。今年は獲ります」。181cmの高さとスピードを兼ね備えた加納が、久我山のCBとして守備面だけでなく、攻撃面でもチームに貢献して日本一を勝ち取る。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2019

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