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ユース取材ライター陣が推薦する「インハイ予選で是非見たかった11傑」vol.3

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DF藤原優大(青森山田高)。(写真協力=高校サッカー年鑑)

特集企画「ユース取材ライター陣が推薦する『インハイ予選で是非見たかった11傑』」

 新型コロナウィルス感染症の影響によって、インターハイ(令和2年度全国高校総体)が中止に。ユース取材ライター陣の協力による「インハイ予選で是非見たかった11傑」第3回は、“ユース教授”ことサッカージャーナリストの安藤隆人氏による11人です。

安藤氏「インターハイ中止が決まり、部活に打ち込む全国の高校生は大きなショックを受けていると思います。ただ、新型コロナウイルス感染症の拡大は未曾有の出来事であり、人命が最優先されることも納得できます。現在、非常事態宣言が解除された地域もあり、徐々に日常が動き出しているように見えますが、首都圏や大阪、兵庫、京都、北海道などの地域はまだ解除されておらず、まだ全ての地域が動き出しているわけではありません。

 サッカー選手を志す高校生たちが、サッカーをすることすらできない時期を経験している中、今回の11傑はあくまでも今年2月の九州新人大会までに観た選手の中からセレクトするものであり、現時点での評価ではないことを強調しておきたいと思います。高校生は1週間、1か月で大きく変化し、ここで名前を挙げなかった選手の中にも飛躍的に成長している、もしくは成長するポテンシャルを持っていながらも、この期間に思うような練習ができなかった選手がいることを、11人を発表する前に伝えさせていただきます。選定方法は現時点(2020年5月16日)でのプロ内定選手は除外し、1校1人。フォーメーションは3-4-2-1にさせていただきました」

以下、安藤氏が推薦する11名

[布陣図]
        鈴木
      湯谷  半代
須藤              田邉
     奈良坂  櫻井
   金沢   藤原 チェイス・アンリ
        平山

GK平山颯太(北越高3年)
183cmの高さと足元の技術に優れるGKの最大の魅力は反応速度にある。相手の動きをしっかりと観察して、驚異のバネで難しいコースのシュートや至近距離からのシュートを軽やかに弾き出す。空中での姿勢も良く、セカンドボールへの反応も鋭い。フィジカルがもっとつけば面白い存在になる、是非注目をしてほしいGK。

DFチェイス・アンリ(尚志高2年)
183cmの高さとスプリントスピード、ターンスピードなど抜群の身体能力を駆使して、相手エースを封じるCB。しなやかなプレーを最大限に活かす洞察力に優れ、カバーリングと対人の両方をハイレベルでこなす。プロの争奪戦になること必至のとてつもなく大きな可能性を秘めた逸材だ。ここでは3バックの右に置きたい。

DF藤原優大(青森山田高3年)
3バックを束ねるのはこの男しかいない。抜群の統率力と闘争心を持ち、冷静と情熱の間でプレーできる彼には、ラインコントロール、カバーリング、そして果敢なプレスで存在感を放って欲しい。フィジカルレベルも年々増し、心技体ともに将来性が高いCBのプレーを早く観たい。

DF金沢一矢(京都橘高3年)
両足を巧みに操ることができるCB。鋭い寄せやシュートブロックなどハードな守備をこなす一方で、利き足の右のみならず左足でもアウトサイド、インサイド、インフロント、アウトフロント、インステップと多彩なキックを使いこなすことができる。ターンも左右両方を難なくこなせるので、3バックの中央でもプレーできるが、ここでは左CBとして起用したい。

MF田邉秀斗(静岡学園高3年)
昨年は右SB、今年はCBだが、ここでは右ウイングバックで起用したい。彼の攻守の切り替えの速さ、対人の強さと前への推進力を披露してほしい。もちろんCB、右SBが適正であることは間違いないが、柔軟性は魅力の1つであり、新境地を開けそうな期待感もある。

MF櫻井辰徳(前橋育英高3年)
足元の正確な技術と2手、3手先を読めるフットボールインテリジェンスが魅力のボランチ。ポジショニングも良く、ピッチを俯瞰しながら居るべき場所を瞬時に把握してボールの中継点となる。ただパスを散らすだけではなく、積極的に前線にも飛び込んでいって攻撃にバリエーションをもたらすこともできる彼は、まさにこのチームの要。

MF奈良坂巧(桐光学園高3年)
3バック、CB、ボランチをこなせる彼を、ここではボランチとして起用してみたい。高い対人能力と空中戦の強さはさることながら、溢れ出る闘争心とハードワークは非常に魅力的だ。相手の中盤の自由を奪い、素早い切り替えで攻撃の起点にもなれる。櫻井とのコンビは是非観てみたい。

MF須藤直輝(昌平高3年)
中央からサイドまで幅広くこなす技巧派は、攻守においてハードワークができるのも魅力で、かつ両サイドでプレーできる器用さもあるため、ここでは左ウイングバックで起用したい。動きながら相手をよく観てベストな選択をし続けられることで、攻守においてアクセントとなってくれるはずだ。鈴木のポストプレーから半代、櫻井、両ウイングバックと絡んでスルーパス、ワンツー、ドリブルを的確に繰り出し、攻撃に躍動感をもたらす。

FW半代将都(大津高3年)
2シャドーの一角で気の利いたオフ・ザ・ボールの動きで巧みにボールを引き出して、超絶トラップから一気に加速してチャンスを作り出すだけではなく、決定力も高い。フィニッシュワーク、アシスト、そして中継と多彩かつハイクオリティなプレーが周りとどう共鳴するか。特に須藤との相性は抜群だと思うだけに、彼らのコンビネーションは一度見てみたい。

FW湯谷杏吏(興國高3年)
2シャドーの一角から広い視野と豊富なアイデアをベースにしたパス出しでリズムを作り出す。ボールを受ける前の動きの質、華麗なターン、パスを出すタイミングともに一級品で、もともとボランチの選手であるため、櫻井との頻繁なポジションチェンジも攻撃にダイナミズムをもたらしてくれる。

FW鈴木輪太朗イブラヒーム(日大藤沢高3年)
1トップはこの男に託したい。192cmの圧倒的な高さとバネ、スピードを持ち、ポストプレーと裏抜けからのシュートでゴールに襲い掛かる。懐の深さとフィジカルを生かしたボールキープを駆使して前線でタメを作り、個性的な1.5列目以降の力を引き出してくれるはずだ。

執筆者紹介:安藤隆人
 日本列島、世界各国を放浪するサッカージャーナリスト。育成年代を精力的に取材する“ユース教授”。主な著書は『走り続ける才能たち 彼らと僕のサッカー人生』『壁を越えろ 走り続ける才能たち』(いずれも実業之日本社)、『高校サッカー聖地物語』(講談社)など

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