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[MOM3456]京都橘FW木原励(3年)_プロ入りへの覚悟を決めたストライカー、「満足できない」内容も2ゴール

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京都橘高FW木原励はPKを含む2ゴール

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.16 インターハイ京都府予選4回戦 京都橘高 4-0 立命館宇治高]

 インターハイの京都府予選は16日に4回戦を実施し、京都橘高立命館宇治高に4-0で快勝した。FW木原励(3年)「自分的には全然満足できない」と話しながらも、チームを勝利に導く2ゴール。複数のJクラブが熱視線を送るストライカーが点取り屋としての片鱗を見せつけた。

 前半の京都橘は決して、満足の行く内容だったとは言い難い。コンパクトさを保ちながら、中央を固めた立命館宇治の守備に苦しみ、後ろでパスを繋ぐことはできるが、「前が向けず縦パスが入れられない状況が続いていた」(MF長谷川裟恭、3年)。だが、チャンスが作れない中でも、工夫を続けたのは1トップに入った木原だった。

「背後でボールを受けるというよりも、背後に走ることで相手のDFラインを下げ、ボランチやトップ下のスペースを空けようと考えていた」とフリーランを繰り返し、攻撃の突破口を探し続けた。

 良い形で木原の下にボールが入ったのは、前半21分に右クロスからシュートを放った場面のみ。チームとして点を奪う作業に重きを置いていたが、34分には待望の見せ場が訪れた。中央左寄りでボールを持ったMF宮嶋大輝(3年)のパスを、MF芳賀海斗(3年)がヒールで落とすと、3人目としてPAに侵入したDF鎌田翔大(3年)がシュート。この一撃はGKに阻まれたが、「左サイドは海斗と翔大の二人で崩せる。中に入ってくる形が多いので、自分が合わせるのではなくゴール前のこぼれに合わせるのが良いかなと思っていた」木原が冷静に押し込み、1-0で前半を終えた。

 後半に入ってからは、パス回しのテンポが速まり、相手の間でボールを受ける回数が増えていった。相手の足が止まったこともあり、京都橘が押し込んで試合を進めると、後半5分にはDF岡田佳己(3年)が放ったシュートのこぼれをDF前山仁(3年)が押し込み、2点目をマーク。13分にはMF青山楽生(3年)が左足シュートを決めた。27分には、MF西垣虹汰(3年)が倒され、PKを獲得。キッカーを務めた木原のキックはやり直しとなったが、2本目をきっちり決めて、4-0で京都橘が勝利した。

 2得点を奪い、ベスト8進出に貢献した木原は4月にJ1浦和の練習に参加。練習生としてエリートリーグにも出場した。「強度や質がまったく違った。代表でも感じるのですが、今の自分ではダメだなって感じた」。パス&コントロールなど基本技術で差を感じながらも、FW興梠慎三や武藤雄樹、杉本健勇といった元日本代表のストライカーとしての技術に触れることができたのは収穫で、「行って得た経験はとても大きかった」と口にする。その後はJ2クラブの練習参加も経験し、持ち味であるポジショニングの良さやターンなどは手応えを得たという。「慣れるまで時間がかかったけど、段々できるようになるにつれ楽しくなっていった」。

 当初は大学への進学も視野に入れていたが、世代別代表でいち早くJの舞台を経験した選手と話すうちにプロでやっていく覚悟も決まった。「プロに行けるならプロに行きたい。大学のレベルが高いのは分かっているけど、少しでも早くプロの舞台でやりたい気持ちが強い」。

 プリンスリーグ関西では2試合に出場し、無得点。「7番でキャプテンというのは岩崎くん(悠人、現J2千葉)が背負った重みのあるもの。岩崎くんのようにプロに行く選手の能力にはまだ足りていないと思う」と話す通り、自身のプレーには満足していない。「相手が強ければ強いほど自分の力が発揮できる選手になって行きたい。0-0の競った試合で、チームメイトから『頼むぞ!』と言われ、結果を残せる選手になりたい」との言葉通り、ここからチームを勝利に導く活躍を続け、全国大会への切符とプロ入りを掴むつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2021

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