[5.29 インターハイ鹿児島県予選決勝 神村学園高 2-1(延長)鹿児島城西高 OSAKO YUYA stadium]

　神村学園高のU-18日本代表候補FW福田師王(2年)がさらなるレベルアップを誓った。この日、3バックを採用する鹿児島城西高は1トップの福田を徹底マーク。簡単にはクロスを上げさせない部分を含めて強い警戒心を持って福田に対応していた。

　福田はその中でも抜け出しからボレーシュートを放ち、ヘディングシュートも。延長前半には左アーリークロスに反応し、GKに競り勝つ形でヘディングシュートを放った。だが、ゴールライン上でDFにクリアされて得点ならず。「もっと上から叩きつけて点に繋がれば良いんですけれども」と悔しがっていた。

　厳しいマークの中でも相手と駆け引きして一発を狙っていた。今春は、圧倒的な跳躍力と鋭い抜け出しを武器に日本高校選抜の活動や年代別日本代表候補合宿でゴールを連発、そのストライカーは、この日も得点の予感をさせていたが、さすがに相手の守りが堅く、思うようにボールが届かない。そこで福田は、勝つために自分が“囮”になること、DFを引きつけることを意識。自分が決めることはできなかったが、盟友・MF大迫塁(2年)が決勝点を奪い、「次はオレの番」と意気込んでいた。

　今大会は初戦で6ゴール。その後怪我で欠場していたものの、準決勝ではチームの全2得点を叩き出している。それでも、高校選抜や年代別日本代表候補でゴールを連発する福田の神村学園での得点数はまだまだ十分ではない。有村圭一郎監督はその原因がチームにあるとし、全体のレベルアップを求める。

　その一方、福田は「マークが厳しくても、点を獲ったり、個人で打開する力をつけていきたいです。代表とか入って自信とかついてきているんですけれども、もっと上がいると思うので、結果を残して成長していかないといけない」。自分自身に矢印を向け、どんな状況でもゴールをこじ開けてチームを勝たせる力を身につけることを誓っていた。

　活躍が期待された1月の全国高校選手権は1得点。その悔しさをバネに進化を目指し、日本高校選抜などでの活躍、年代別日本代表での個人昇格(1歳上のU-18日本代表候補選出)に繋げた。それでも「まだまだです」。フィジカル面の向上、周囲を見る回数の増加などもっとレベルアップし、U-20日本代表などより上の代表チームから招集されるFWにならなけれなならないという考えだ。

　年代別日本代表で活動する機会が増え、サッカー面だけでなく、試合前の準備についてなども神村学園のチームメートに共有。U-17日本代表候補合宿で中村憲剛ロールモデルコーチの「止める・蹴る」に「ピタッと止まって、(パスは小さな足の振りで)これだけなのにめっちゃボールが速い」と衝撃を受けた。この1年で大いに名を上げ、神村学園中の後輩FW名和田我空からは目標とされる選手として名を挙げられていたが、福田本人は成長のためにやるべきこと、研ぎ澄ますべきことはまだまだ多いと感じている。

　そして、「1試合1試合大事に結果を残していきたい」。この日、大事な決勝で得点できなかったことも新たな活力として進化し、また連発へ。そして、インターハイは本気で日本一と得点王に挑戦する。

(取材・文　吉田太郎)

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