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鹿児島城西はMF永吉、DF川原中心に徹底した戦いで宿敵に食い下がるも延長戦で惜敗。選手権で壁乗り越える

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鹿児島城西高は選手権でのリベンジを誓う

[5.29 インターハイ鹿児島県予選決勝 神村学園高 2-1(延長)鹿児島城西高 OSAKO YUYA stadium]

 宿敵との差を縮めていることを印象づける90分間だった。鹿児島城西高は4大会ぶりの優勝を懸けて決勝でライバル・神村学園高と激突。選手権予選決勝、県新人戦決勝と連敗している相手への雪辱勝利を目指した。

 選手権予選ではそれまでの前へ、前へ行くサッカーから、「相手を迷わせよう」と後方に守備ブロックを敷いた戦いで挑戦。だが、ボールに触れさせたことで神村学園をリズムに乗せてしまい、敗れてしまった。新人戦は0-5で完敗。リベンジを期した今回は、相手にボールを握らせないように徹底的なハイプレスで勝負に出た。

 4月末まで週2回、朝練で7km走。そこで頑張ってきた選手たちがピッチに立ち、責任を持って走り、戦っていた。新田祐輔監督は並大抵ではなく、リミッターを越えるほどのスプリントや強度を求めた。

「コートの中では自分と川原琉翔が監督になれと言われている。自分が率先してやらないといけない」というMF永吉雅弥主将(3年)がベンチからの言葉に瞬時に反応し、背中でチームを牽引。各選手がハードワークを貫き、指揮官も「最後まで走りましたよね」と頷くほどの戦いを見せた。

 先制された直後にMF小堀優翔(2年)のヘディング弾で追いつくと、その後はハイプレスで相手の攻撃を乱し、3バックを中心に相手の攻撃を跳ね返して1-1を維持。後半にはFW前田隼希(2年)、MF崎野隼人(3年)、MF原田天(2年)の前線が相手ゴールを脅かすシーンを増やした。快足FW矢吹凪流(1年)のスピードも驚異に。だが、「1-1の状況にちょっと満足していましたよね。ちょっと緩いというか……」と新田監督は言う。

 もちろん、勝ち切りたい。だが、負けたくないという気持ちが上回っていたか、チャンスを作りながらも1つの攻撃、1本のシュートに懸ける執念のようなものはもしかしすると欠けていたかもしれない。PK戦突入直前の延長後半5分に勝ち越されて1-2で敗戦。リベンジは選手権予選へと持ち越された。

 宿敵を慌てさせることはできた。だが、先制点を奪われたり、寄せきれずにシュートを“打たせてしまった”ことは間違いない。それでも、年代別日本代表や注目選手を複数擁する神村学園との差を縮めたことも確か。新田監督は「今度は先制点を獲って、前から掛けたい」と語り、永吉は「新人戦、総体と逃してしまっている。選手権で絶対に優勝したい」と力を込めた。

 前日、ワールドカップ予選で5ゴールを挙げたOB・FW大迫勇也に続くことはできなかった。だが、その母校は壁に当たりながらも、「神村が相手となると絶対に負けたくないですし、気持ちの入る相手になります」というライバルと切磋琢磨しながら成長中。冬は壁を乗り越えて、全国で「城西もいるぞ」というところを示す。

(取材・文 吉田太郎)
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