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[MOM3465]成立学園MF斎木大和(3年)_先輩の背中を追って大阪から来た司令塔が、圧巻のドリブルシュートで決勝弾

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成立学園高の司令塔、MF斎木大和

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.30 インターハイ東京都予選二次トーナメント2回戦 日大三高 1-6 成立学園高]

 その時。視界の先に、はっきりと花道が見えた。「1枚目と2枚目をかわした時に、もうドリブルのルートがイメージ的に見えたので、すべてのタッチもブレずに思い通りに運べて、気持ちで押し切った感じです」。左サイドをたった1人で切り裂き、ぶち込んだ一撃がチームの決勝ゴールに。成立学園高のマルチロール、MF斎木大和(3年=アイリス住吉FC出身)はポテンシャルを存分に解放し始めている。

 まずはアシストで魅せた。日大三高に先制されて迎えた前半13分。左サイドでコーナーキックのスポットに立った斎木は、冷静に中の状況を窺う。「ファーの大崎日向は身長の割には高さがあって、マークには付かれにくいので、ファーサイドを狙いました」という軌道は、MF大崎日向(3年)の頭へピンポイントで届き、貴重な同点ゴールが生まれる。

 続いては、自らのゴールで違いを見せる。25分。左サイドでボールを呼び込むと、あっという間に2人のマーカーを置き去り、さらに前を向く。「足元に入って、1枚目と2枚目をかわした時に、もうドリブルのルートがイメージ的に見えたので、全てのタッチもブレずに思い通りに運べて、気持ちで押し切った感じです」。

 ヒラヒラとピッチ上を舞いながら、最後はゴールネットへ一刺し。「グラウンド状況もそんなに良くなかったので、パスよりは1枚ずつ剥がした方がチャンスを作れるというのは最初の方に感じていましたし、ドリブルで1枚かわしたらチャンスを作れたので、思い通りって感じでした」とは言うものの、圧倒的なセンスとそれを実行する能力には舌を巻くしかない。

 後半からはトップ下からボランチにポジションを変え、ゲームをコントロール。「自分がボランチに入った時はバランスを取ることと、落ち着かせることが役目というか、ボールを取られないようにということだったので、今日はボールも取られず、落ち着いてできたかなと思います」。ピッチの中央で攻守に睨みを利かせ、結果的に6-1というスコアで収めた勝利に大きく貢献した。

 出身は大阪。小学生時代に通っていたフットサルスクールの先輩でもある川上航立(現・立正大)の存在もあり、帝京長岡高への進学も考えていたが、最終的に成立学園の門を叩いたのも、ある“先輩”の存在が大きく影響していたという。

「去年まで戸田岳滉という先輩がいて、アイリスの時からサッカーのことは岳滉を見て学んできましたし、『岳滉ともう一度一緒にサッカーしたいな』と思ったので、成立に来ました」。昨年の成立学園の中盤を取り仕切っていた戸田の背中を追って、大阪から東鷲宮へとやってきた。

 今年は高校生活も最終年。社会情勢も含めて難しい時期を強いられた昨年を経て、この1年が勝負の年になることは、もちろん本人が一番よくわかっている。「去年は3年生に任せきりで、自分自身もたるんでいた部分があったんですけど、今年は副キャプテンを任されたので、キャプテンや僕がリーダーシップを取ってやらなきゃという想いはありますし、成立は全然選手権に行けていないので、今年こそは全国に行きたいという想いが強いです」。そのためにも、まずはこのインターハイで全国切符を勝ち獲ることは、チームとしても個人としても必要な経験だ。

 小柄な体に詰め込んだサッカーセンスと、負けん気と。東京のゼブラ軍団をさらなるステージへと先導していく斎木のプレーは、常に注視しておく必要がある。

(取材・文 土屋雅史)
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