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”リーダー顔”のキャプテン。成立学園DF山崎夏樹が発揮する卓越したリーダーシップ

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成立学園高を束ねるキャプテン、DF山崎夏樹

[5.30 インターハイ東京都予選二次トーナメント2回戦 日大三高 1-6 成立学園高]

 “リーダー顔”というのは、必ずある。キャプテンマークを巻いているか、巻いていないかは、あまり関係がない。自然とその場所を中心に、チームがまとまっていく空気感を生み出せる表情と存在感、のようなものだろうか。

「みんなから『そういう雰囲気を感じた』とは言われますね。キャプテンも中学のゼブラの時はみんなで決めて、今回はコーチの指名だったんですけど、周りからのアプローチでなった感じです」。成立学園高のDF山崎夏樹(3年=成立ゼブラFC出身)は、間違いなく“リーダー顔”のキャプテンだ。

 日大三高とのゲームも、立ち上がりからディフェンスラインに細かいミスが続き、ピンチを続けて迎えると、先制点を奪われてしまう。明らかに嫌な雰囲気が漂いかける中で、左腕に黄色い腕章を巻いた左サイドバックが、チーム全体に声を掛ける。

「先制点を取られて、危ない感じになったんですけど、自分たちの力で立て直せたので良かったと思います。まだ前半の早い時間で、みんなにも立て直せるという感じがありましたね」。

 逆転しても、まだ相手の攻撃にさらされる時間も長かったチームは、何とか1つ1つピンチを凌いでいくと、終盤には続けて加点。6-1という快勝を収めたが、最初の失点で崩れないメンタルの強さがこの勝利を引き寄せたことは間違いなく、その中心にはリーダーシップを前面に押し出せる山崎がいた。

 左サイドバックというポジションは、まだチャレンジして半年程度。それまでは主に中盤でプレーしていた。「もともと中盤をやっていて、結構運動量タイプなんですよ。攻撃も守備も顔を出すみたいなタイプなんですけど、サイドバックはまだやり始めてそんなに時間が経っていないので、ストロングポイントをまだ見つけられていなくて、探り探りやっています」。とは言いつつ、プレー全体の安定感は十分。得意の運動量を生かして、攻守に気の利く存在として機能している。

 見るからに“個性派”の揃うチームをまとめるのは、もちろん容易なことではない。「コーチの話は聞かないし、オレの話も聞かないし、凄いっすよ(笑)」と笑いながら、自分の役割も客観的にしっかり把握しているのが、続けた言葉からもはっきりと伝わってくる。

「やっぱりまず声を出すことと、辛くなった時に1個強くディフェンスしたりとか、みんなが走るリズムがなくなってきた時に裏に抜けたりとか、リズムが悪い時に一番早く悪い点を見つけて、その悪い点を改善する動きを一番早くできるように心がけていますし、いかなる状況でも自分が慌てたらチームのリズムが崩れると思っているので、自分は『冷静に熱く』というイメージは常に持ってやっています」。

 夏は2014年以来、冬は実に2005年度以来遠ざかっている全国の舞台は、もちろん最大の目標だ。「選手権での全国出場が何よりの目標なんですけど、僕たちは関東大会を逃してしまったので。今回も勝ち上がれたら強いチーム相手に自分たちがどれだけできるかというのを楽しみつつ、これからも挑戦していきたいですね」。

 東京のゼブラ軍団を束ねる“リーダー顔”の左サイドバック。今年の成立学園には、山崎という頼もしいキャプテンがいる。

(取材・文 土屋雅史)
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