心の部分も、サッカーでも「前に進む」。プレミアで戦う公立校・大津が後半4発で熊本制覇!
[6.2 インターハイ熊本県予選決勝 大津高 4-0 秀岳館高 水前寺陸上競技場]
「前に進む」大津が全国へ――。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)熊本県予選決勝が2日に熊本市の水前寺陸上競技場で行われ、大津高と秀岳館高が激突。大津が4-0で勝ち、3大会連続21回目の全国大会出場を決めた。
プレミアリーグWESTで磨かれている対応力と大津らしい前に、前に進む姿勢。前半こそ苦戦した“公立の雄”大津だったが、後半の4発で全国切符を勝ち取った。前半は八代一高時代の72年以来となる全国出場を狙う秀岳館が多彩な攻撃で主導権。秀岳館は開始4分、CB仁木悠真(3年)の素晴らしい展開を起点に右SH深川碧斗(3年)のクロスをFWカウアン・ライア・リマ(3年)が頭で合わせる。
大津はU-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年)がストップ。だが、15分にも10番MFペドロ・エンリケ・カンポス・ダ・コ(3年)の好パスから深川の突破を許し、26分にもペドロにドリブルシュートを枠へ飛ばされた。
秀岳館はCB西村陽佑(3年)と仁木の両DFが積極的にドリブルで持ち上がり、ペドロや深川、MF山田有斗(2年)が存在感ある動き。大津は秀岳館にボールを握られる形となり、どこからでも攻撃を繰り出してくる相手の前にやや後ろに重い試合運びとなってしまう。
大津は右SB日高華杜(3年)のロングスローや相手SBの背後を突く攻撃などで決定機を創出していたが、秀岳館GK小林拓未(3年)の好守にあうなど前半は0-0で折り返すことになった。だが、山城朋大監督が「ゲーム中、彼ら自身で修正する力は4月から2か月間、プレミアリーグを戦って逞しさが出てきましたね」と頷くように、試合の中で対応する力はさすが。流れの悪い中でもU-18日本代表候補MF森田大智主将(3年)やCB川副泰樹(3年)、CB和田理央(3年)、そして佐藤を中心に要所を封じ、自信を持つ後半にチーム全体で前へ出てゴールを連発した。
まずは4分、中盤での厳しいチェックからMF一村聖連(3年)がボールを奪い、前進してパス。最後はボランチの位置から前へ出たMF薬師田澪(3年)がU-17日本代表候補FW小林俊瑛(2年)のスルーパスで抜け出し、右足で先制点を奪う。
さらにCKから小林がポスト直撃のヘッドを放つなど畳み掛ける大津は10分、中盤でボールを奪った森田がループパス。これで一村が抜け出すと、最後はサポートしたMF川口敦史(3年)が右足でゴールを破る。12分にも、右サイドでDFを剥がした日高のくさびのパスを小林が落とし、薬師田がスルーパス。前線を追い越した日高がGKとの1対1から右足で決めて3-0と突き放した。
森田が「追い越すだったり走ることは、全国でもどこにも負けないと自信を持ってやっている」と説明した前線を追い越すランニングや、紙一重のタイミングでの抜け出し、パスセンスが差を生み出した。
一方、ミス絡みでリズムを崩し、ウィークポイントの背後を突かれた秀岳館は痛恨の3失点。スピードのある選手を投入しながらまず1点を目指し、FW古賀渓太郎主将(3年)が決定的なヘッドを放つシーンもあったが、モノにすることができない。
逆に森田が「去年に比べたら爆発力とかないんですけれども、集中力とかチーム全員でコツコツやるみたいなところは去年よりも良いところだと思っている」という大津は、終盤も集中した守りから相手の背後を突き続けて決定機を連発。そして35+4分、森田の展開から右の日高がDFを外してPAへラストパスを通す。これを交代出場FW山下基成(2年)が決めて4-0で勝利した。
後半の大津は、各選手の「追い越して前へ出る力」が光った。山城監督は「追い越すというのは、(総監督の)平岡先生の真骨頂というか、大津高校のテーマとして『前に進む』というのは成長もそうですし、心の部分もそうですし、サッカーのスタイルもやっぱり前に進むボール回しじゃないといけない。(スプリントして)追い越すということは習慣化されていますね」と語る。
心の部分も、サッカーでも壁を破って前へ。平岡和徳総監督は「必ずノッキングするけれど、(後退するのではなく)それをバネにして何倍も前に行くという。その前に行く推進力を作るために僕ら(指導者)がいる」。熊本の山間部に位置する公立校ながらJリーガーを多数輩出する大津は、苦戦した前半からまた壁を乗り越え、より成長できる舞台への出場権を獲得。ここから日々進化を遂げ、インターハイで「大津は準優勝が最高成績なので、優勝狙って全国制覇できるようにしたい」(薬師田)、という目標にチャレンジする。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021
「前に進む」大津が全国へ――。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)熊本県予選決勝が2日に熊本市の水前寺陸上競技場で行われ、大津高と秀岳館高が激突。大津が4-0で勝ち、3大会連続21回目の全国大会出場を決めた。
プレミアリーグWESTで磨かれている対応力と大津らしい前に、前に進む姿勢。前半こそ苦戦した“公立の雄”大津だったが、後半の4発で全国切符を勝ち取った。前半は八代一高時代の72年以来となる全国出場を狙う秀岳館が多彩な攻撃で主導権。秀岳館は開始4分、CB仁木悠真(3年)の素晴らしい展開を起点に右SH深川碧斗(3年)のクロスをFWカウアン・ライア・リマ(3年)が頭で合わせる。
大津はU-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年)がストップ。だが、15分にも10番MFペドロ・エンリケ・カンポス・ダ・コ(3年)の好パスから深川の突破を許し、26分にもペドロにドリブルシュートを枠へ飛ばされた。
秀岳館はCB西村陽佑(3年)と仁木の両DFが積極的にドリブルで持ち上がり、ペドロや深川、MF山田有斗(2年)が存在感ある動き。大津は秀岳館にボールを握られる形となり、どこからでも攻撃を繰り出してくる相手の前にやや後ろに重い試合運びとなってしまう。
大津は右SB日高華杜(3年)のロングスローや相手SBの背後を突く攻撃などで決定機を創出していたが、秀岳館GK小林拓未(3年)の好守にあうなど前半は0-0で折り返すことになった。だが、山城朋大監督が「ゲーム中、彼ら自身で修正する力は4月から2か月間、プレミアリーグを戦って逞しさが出てきましたね」と頷くように、試合の中で対応する力はさすが。流れの悪い中でもU-18日本代表候補MF森田大智主将(3年)やCB川副泰樹(3年)、CB和田理央(3年)、そして佐藤を中心に要所を封じ、自信を持つ後半にチーム全体で前へ出てゴールを連発した。
まずは4分、中盤での厳しいチェックからMF一村聖連(3年)がボールを奪い、前進してパス。最後はボランチの位置から前へ出たMF薬師田澪(3年)がU-17日本代表候補FW小林俊瑛(2年)のスルーパスで抜け出し、右足で先制点を奪う。
さらにCKから小林がポスト直撃のヘッドを放つなど畳み掛ける大津は10分、中盤でボールを奪った森田がループパス。これで一村が抜け出すと、最後はサポートしたMF川口敦史(3年)が右足でゴールを破る。12分にも、右サイドでDFを剥がした日高のくさびのパスを小林が落とし、薬師田がスルーパス。前線を追い越した日高がGKとの1対1から右足で決めて3-0と突き放した。
森田が「追い越すだったり走ることは、全国でもどこにも負けないと自信を持ってやっている」と説明した前線を追い越すランニングや、紙一重のタイミングでの抜け出し、パスセンスが差を生み出した。
一方、ミス絡みでリズムを崩し、ウィークポイントの背後を突かれた秀岳館は痛恨の3失点。スピードのある選手を投入しながらまず1点を目指し、FW古賀渓太郎主将(3年)が決定的なヘッドを放つシーンもあったが、モノにすることができない。
逆に森田が「去年に比べたら爆発力とかないんですけれども、集中力とかチーム全員でコツコツやるみたいなところは去年よりも良いところだと思っている」という大津は、終盤も集中した守りから相手の背後を突き続けて決定機を連発。そして35+4分、森田の展開から右の日高がDFを外してPAへラストパスを通す。これを交代出場FW山下基成(2年)が決めて4-0で勝利した。
後半の大津は、各選手の「追い越して前へ出る力」が光った。山城監督は「追い越すというのは、(総監督の)平岡先生の真骨頂というか、大津高校のテーマとして『前に進む』というのは成長もそうですし、心の部分もそうですし、サッカーのスタイルもやっぱり前に進むボール回しじゃないといけない。(スプリントして)追い越すということは習慣化されていますね」と語る。
心の部分も、サッカーでも壁を破って前へ。平岡和徳総監督は「必ずノッキングするけれど、(後退するのではなく)それをバネにして何倍も前に行くという。その前に行く推進力を作るために僕ら(指導者)がいる」。熊本の山間部に位置する公立校ながらJリーガーを多数輩出する大津は、苦戦した前半からまた壁を乗り越え、より成長できる舞台への出場権を獲得。ここから日々進化を遂げ、インターハイで「大津は準優勝が最高成績なので、優勝狙って全国制覇できるようにしたい」(薬師田)、という目標にチャレンジする。
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021