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繋がりを大事に、選手権出場校・近江に一体感で勝った比叡山、初の全国まであと1勝!:滋賀

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後半25分、FW野田陽大(9番)の勝ち越しゴールを喜ぶ比叡山高の選手たち

[6.3 インターハイ滋賀県予選準決勝 近江高 1-2 比叡山高 布引グリーンスタジアム]

 繋がりを大事に、一体感を持って戦う比叡山が全国王手! 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)滋賀県予選準決勝が3日に行われ、近江高比叡山高が激突。比叡山が2-1で競り勝ち、初の全国出場まであと1勝とした。

 特別な選手がいる訳ではない。それでも、どこにも負けない一体感と勝利への執着心で比叡山が決勝への切符を勝ち取った。2年前の準決勝ではこの日と同じく近江と対戦したが、開始直後に失点して0-1で敗戦。「今年、やり返したろう、トップギアで入ったろう、と思っていました」と林孝紀監督が振り返ったように、比叡山が立ち上がりのゴールでリードを奪う。

 強風の風上に立った前半、比叡山が前からの攻守で相手を押し込んだ。そして8分、左ショートコーナーでFW野田陽大(3年)の落としを受けたMF山田優人(3年)が右足を振り抜く。ボールは風にも乗ってGK頭上を越え、ゴールネットに突き刺さった。

 練習を重ねてきたというセットプレーで狙い通りに先制した。また、林監督が「絶対に守備で主導権を握る。勝つためにはこれしかない」というように、比叡山は相手のシステムに合わせた5-3-2で近江のパスワークを封じ込む。各選手のハードワークによって、近江に余裕を与えず、簡単にはアタッキングサードへ入れなかった。

 それでも、1月の全国高校選手権で初陣勝利を飾っている近江は新主将のDF大隅颯(3年)や注目GK山田和季(3年)という全国経験者が後方を支え、大隅のロングフィードやMF竹田泰知(3年)のロングスロー、前線で存在感放つ10番FW丸谷真央(2年)と左WB上甲海琴(3年)の仕掛けなども交えて反撃する。

 大隅の直接FKをGK津隈淳希(3年)の好守に阻まれるなど1点が遠かったが、それでも少しずつ攻撃にリズム。そして前半33分、大隅の縦パスを巧みに胸トラップした竹田がPAへ潜り込んだところで倒されてPKを獲得する。これを大隅が右足で決め、1-1の同点に追いついた。

 だが、比叡山は後半もまとまりの良い戦いを継続。セカンドボールを回収するMF東田篤樹(2年)や、DF柿畑翔大(2年)とDF川北晃暉(3年)、DF堀江崚斗(3年)らDFラインの集中力も高く、近江をゴールに近づけなかった。そして、自信を持っている後半の運動量で相手との差を生み出す。

 後半25分、相手DFライン背後へのロングボールから、右ハイサイドでボールを奪い返す。そして、右WB鶴山浩生(3年)のクロスがDFに当たり、ゴール前にこぼれる。これを野田がコントロールから右足で押し込み、勝ち越した。

 近江も攻め返すが、丸谷の巧みな右足シュートがGK津隈の好守に阻まれ、ロングスローも得点に繋がらない。林監督が「チームの一体感は例年にないほど」と語るように、最後まで全員で繋がり、戦い抜いた比叡山が2-1で勝利。16年以来の決勝進出を決めた。

 FW仲川晟太郎主将(3年)は「繋がりを大事にしてきたのが、自分たちのサッカー」と説明する。下級生時から自分たちの代には特別な力がないことを自覚。声を掛け合ったり、ミスをフォローし合ったり、「全員で繋がる」ことを意識してきた。

 毎週水曜日には3年生全員で朝練習。試合前には部員全員で円陣を組み、ハイタッチをして全員で勝負に臨む。この日も巧さは近江の方が上だったが、「全国に行きたい気持ちっていうのはどこにも負けていない。勝ちに貪欲と言うか、練習試合でも喜び合えるし、練習試合でも全力でできる」(仲川)という比叡山は全員で、全力で、勝利を目指し、強敵撃破を喜んだ。

 近江の前田高孝監督も「はっきり言って、チームとしての一体感は比叡山の方がありました」と認める戦いで勝利。それでも仲川は「まだ何かが決まった訳ではない」と引き締めた。絶対にあと1勝。比叡山は決勝(対綾羽高)も全員で繋がって白星を目指し、全員で初の全国出場を喜ぶ。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2021

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