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得意のサイド攻撃封じられるも、仙台育英がPK戦制して2大会ぶりインターハイ出場:!宮城

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優勝を喜ぶ仙台育英高イレブン

[6.7 インターハイ宮城県予選決勝 仙台育英高 1-1(PK6-5) 聖和学園高 めぐみ野B]

 令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の背と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)宮城県予選決勝が7日、みやぎ生協めぐみ野サッカー場Bで行われ、仙台育英高聖和学園高をPK戦の末下し、2大会ぶり20回目のインターハイ出場を決めた。

 仙台育英と聖和学園はここ数年各種県大会の決勝、準決勝で対戦することが多く、昨年11月の選手権県予選、県新人大会でも決勝で対戦しており、いずれも仙台育英が勝利している。ライバル校同士の対決ということで、立ち上がりから激しい球際勝負が見られ、緊張感あふれる展開となった。

 最初に先制のチャンスを得たのは仙台育英。前半5分、FW佐藤遼(3年)がゴール前に抜け出し、シュートを放ったが、クロスバーを叩き、落ちたボールがゴールラインを越えたかに見えたが、ノーゴールの判定。聖和学園も15分、MF近藤健之介(3年)が鋭いシュートを放つが、仙台育英GK落合孝昭(2年)がファインセーブ。互いに相手の隙を突き鋭くゴールに迫った。

 拮抗した展開の中で先制したのは仙台育英だった。22分、中盤でボールをインターセプトした佐藤遼が、ゴールに向かって突進。「自分たちのハイプレスがはまっていたので、ボールを獲れた瞬間決めるしかないと思い、そのまま決められました」と聖和学園GK岡部龍之介(3年)もかわしてゴールを決め、前半は1-0と仙台育英リードで終えた。

 ところが後半、試合の流れは聖和学園に傾く。「相手の特長を消しながら奪ったボールを大事にして、ドリブルをうまく入れながらやれました」と加見成司監督が語った通り、仙台育英の両サイドハーフMF明石海月(3年)、MF染野優輝(3年)の縦突破、クロスを徹底的に封じ、仙台育英の得意技であるサイド攻撃を出させなかった。

 そして7分、MF蛭田匠(3年)のコーナーキックからファーサイドでMF永井大士(3年)が「ヘディングが得意で、たまたま良いボールが来て跳んだらうまく当たりました」と振り返った通り、ヘディングシュートを豪快にゴールへ叩き込み、聖和学園が同点に追いついた。

 その後は、聖和学園が仙台育英を押し込む時間帯が続いた。仙台育英キャプテンMF島野怜(3年)は「相手がドリブルで密集を仕掛けてきて、自分たちもやることが小さくなってしまいました。相手を下げてからボールを持てば良かったと思います」と守勢に追い込まれたことを反省したが、「押さえた時間帯は苦しかったですが、サイドに追いやることができて良かったです」と、シュートまで持ち込まれないよう、チーム全体で必死で守り、1-1のまま後半を終えた。その後延長戦でも決着はつかず、PK戦に突入した。

 PK戦は後攻・仙台育英1人目の佐藤遼がゴールポストに当て失敗。「自分ではどうすることもできないので、残りの選手がずっと決めてくれる、たかちゃん(GK落合)が止めてくれると信じていました」という佐藤遼の願い通り、後続の選手は成功が続いた。聖和学園は3人目の永井がゴール上へ外して失敗し、サドンデスに突入。7人目で先攻・聖和学園の近藤がゴール上に外して失敗。仙台育英はMF石川翔大(2年)が落ち着いて決めて6-5でPK戦勝利を決め、苦しみながらも全国の切符を勝ち取った。

 仙台育英・城福敬監督は「後半はほとんどサイド攻撃ができず、クロスから中へ行く攻撃がありませんでした」と持ち味を消され、苦しんだことを認めた。そんな中でも最少失点でとどめた守備については「決勝に上がってくるまでも簡単なミスから失点していましたが、重ねて失点しない意識はしていました」と複数失点しないことを心掛けさせ、相手の攻撃をしのげたことで逆転を許さなかった。

 延長後半に多くの選手を交代させたが「PK練習でBチームの方がほとんど勝っていたので」と、PKを落ち着いて決めていた控え選手をうまく起用して勝利をもぎ取った。「インターハイは前後半35分ずつと短いので、何が起こるか分かりません。短い時間で結果を出したい」と上位進出に意欲を見せた。

 惜敗となった聖和学園だが、ここ数年の仙台育英の特長だったサイド攻撃封じに成功し、勝利まであと一歩まで迫った。「新人大会決勝では1-4と何もできませんでしたが、それに比べたら努力して良いゲームができました。負けましたが、成長していると思います」と加見監督は選手の奮闘に手応えを感じていた。

 また、中盤の攻撃の核となり、1ゴールを決めた永井について加見監督は「頑張って攻守に良いアクセントをつけて舵取りしてくれました」と活躍を評価した。永井は「自分が点を取りつつチームを勝たせるプレーができたら良いと思っています。チームとしてはタイトルが獲れていないので、初タイトルを取れるように練習を頑張りたいです」と選手権を視野に置いて意気込みを語った。

 今回は仙台育英がわずかな差で勝利を挙げ、インターハイ出場を決めたが、今後のプリンスリーグ東北、そして選手権での対戦では、より熱く激しい戦いが見られることは間違いなさそうだ。
 
(取材・文 小林健志)
●【特設】高校総体2021

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