beacon

[MOM3493]実践学園MF渡辺創太(3年)_冷静なチームプレイヤーが、ブレないメンタルで貴重な決勝弾!

このエントリーをはてなブックマークに追加

MF渡辺創太(8番)は自身の先制ゴールにガッツポーズ

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.13 インターハイ東京都予選準々決勝 早稲田実高 0-1 実践学園高]

 良い意味で淡々と、感情を揺らすことなく、ピッチで与えられた役割をこなし切るプレーが、チームにとって確実に大きなプラスをもたらしている。その上で、試合を決定付けるゴールまで奪えるのだから、相手にとっても厄介なこと、この上ない。「みんな自分がスタメンで出るという感じで、良い雰囲気で練習ができていますし、そういう中でスタメンで出るのは責任があると思っています」。実践学園高の攻守におけるコネクター。MF渡辺創太(3年=三菱養和SC調布ジュニアユース出身)の存在感は、日増しに高まり続けている。

 早稲田実高と対峙した、インターハイ予選の準々決勝。「立ち上がりは、自分たちはいつも悪い入り方をしてしまうんですけど、今回はしっかり良い形で入れました」と渡辺も振り返ったように、序盤から実践学園の勢いが鋭い。6分にMF田村英一(3年)が、9分にMF村田拓己(3年)が、相次いでシュートを打ち切ると、14分には絶好の先制機が到来する。

 FW清水大輔(3年)の落としたボールを受け、前を見据えた渡辺はドリブルスタート。「トラップはちょっとズレたんですけど、ディフェンスがしっかり付いてきているのが見えていて、シュートコースが最初はなかったので、ちょっとずらして股を狙いました。コースも狙い通りでした」というシュートは、ゴールネットへ到達する。

「毎回試合前には自分が点を獲るという意識でやってますし、あまり大事な試合で点を獲ってきていなかったので、嬉しかったですね。凄く気持ち良かったです」。結果的にこの一撃が決勝点。目標の全国出場へ向けて、最後のハードルとなる準決勝進出へとチームを導く貴重なゴールを、渡辺が記録してみせた。

 いつもは3バック時も4バック時も、攻撃的な中盤の位置を任されることが多いが、この日は後半から最前線で起用される。「最前線は小学校以来やったことがなくて、久しぶりで、ちょっとビックリしました(笑)」と笑いながら、「でも、自分ができることをやってみようと。自分のキープ力や展開力を生かす所で、前でタメを作って、サイドの選手を上げさせたりという攻撃を意識してやっていました」と意図を汲みながら、冷静にプレー。このあたりにも、チームプレーヤーの表情をはっきりと覗かせる。

 悔しい敗戦を突き付けられた関東大会の前橋育英高(群馬)戦では、渡辺も全国レベルの実力を改めて思い知る機会となった。「パスの質とかも違うんですけど、一番違うと感じたのはセカンドボールとか、球際とか切り替えの部分で、自分たちの強みだと思っていたんですけど、そこで上回られてしまったので、そこは差を感じました」。

「個人としても、自分の得意なドリブルやパスは結構表現できたんですけど、守備の部分でセカンドボールを拾えなかったという所が、良くなかった所だと思います」。しかも相手がフルメンバーではなかったことも知り、より成長を加速させていく必要性も同時に痛感したという。

 その意味でも、夏の全国の舞台に立ち、自分たちの基準をさらに引き上げることは、チームにとっても、自身にとっても、絶対に必要な経験だ。「次の試合もセカンドボールが大事になってくると思うんですけど、その中でも自分がボールを受けてチャンスメイクしたり、今日みたいに得点できたら勝てるはずなので、そういう所を意識してやっていきたいです。駿台学園さんには1回勝っているんですけど、いつも自分たちは挑戦者という意識でやっているので、甘くゲームに入らないように、最初からしっかり気合を入れてやっていきたいと思います」。

 実践学園のエイトマン。渡辺の攻守に渡る奮闘が、準決勝の大一番でもこのグループを間違いなく牽引していく。

(取材・文 土屋雅史)
▼関連リンク

●【特設】高校総体2021

TOP