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「僕らは日本一しか考えていない」。流通経済大柏は6発大勝で3大会ぶりの全国へ!

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千葉を制した流通経済大柏高は3度目となる夏の日本一を真剣に狙う

[6.20 インターハイ千葉県予選決勝 流通経済大柏高 6-0 暁星国際高]

 一昨年度から2校から1校に出場枠が減ったことで、全国的にもかなりの激戦区となったインターハイ千葉県予選決勝。

 ファイナリストになったのは、プレミアリーグEASTでも安定した力を発揮する流通経済大柏高と、準決勝で市立船橋高を撃破した名門・習志野高を相手に、後半ラストプレーで追いついて、延長戦の末に3-2の劇的勝利を果たした暁星国際高の2校だった。

 全国制覇を成し遂げた2017年度以来の3大会ぶりとなるインターハイを目指す流通経済大柏と、初の全国大会出場を狙う暁星国際との決戦は、立ち上がりから流通経済大柏がエンジン全開の戦いぶりを見せた。

 抜群のキープ力を誇るMF辻野悠河(3年)とMF武田雄大(3年)のダブルボランチを軸に、4-4-2の連動した守備からショートカウンターを狙う暁星国際に対し、流通経済大柏は大黒柱のMF渋谷諒太(3年)と司令塔のMF松本洋汰(3年)のダブルボランチを置いた4-4-2でスタートをするも、「相手の状況を見た時に後ろに重く感じたので、松本を前に出して自分がアンカーのような役割をするのがいいと思った」(渋谷)と、選手たちの判断で4-1-3-2のシステムに変えて、攻撃的なサッカーを展開。

 エースFW川畑優翔(3年)とFW石川裕雅(3年)のツートップにボールを送り込みつつ、右のDF大川佳風(2年)とMF小林恭太(3年)の超攻撃的なコンビと、左のドリブラー、MF高足龍(3年)の前への推進力を生かして、中央とサイドから分厚い攻撃で暁星国際を押し込む。32分には右CKから渋谷のキックを、左サイドバックのDF長谷部陽也(2年)が豪快なダイビングヘッドで突き刺して先制弾を叩き出すと、ここから怒涛のゴールラッシュを見せた。

 33分、右サイドで細かくパスを繋ぐと、ペナルティエリア外でボールを受けた渋谷が相手の股を通す縦パスを送る。右ワイドから加速をしてきた小林がこのボールを受けると、そのままドリブルでペナルティエリア内に侵入。寄せてきたDFを鋭い切り返しでかわして左足シュートを放つと、一度は暁星国際GK大瀬晴暉(2年)に阻まれるが、こぼれ球を石川が押し込んで2-0と突き放した。

 さらに36分には右サイドを突破した松本が鋭い切り返しから狙いすましたループシュート。暁星国際DFがゴールカバーに入るが、足に当てたボールがそのままゴールラインを割った。

 わずか4分間で3ゴール。後半に入っても攻め手を一切緩めない流通経済大柏は、渋谷とディフェンスリーダーのCB田口空我(3年)のコンビが守備組織を統率して、相手の攻撃の芽を摘み取りながら、ショートパスとロングパスを駆使してアタッカー陣に正確なボールを供給し続けた。

 19分に後半から投入されたMF堀川大夢(2年)が4点目を挙げると、27分にも堀川が川畑のシュートのこぼれをスライディングで押し込んで5点目。最後は40分に渋谷が冷静に決めて、ゴールラッシュを締めくくった。

「狙い通りのサッカーができた。選手たちがピッチの中で考えて対応することが出来たのは大きい」。

 試合後、榎本雅大監督がこう口にしたように、試合前のコイントスでも風下スタートを避けるべく、渋谷がコートチェンジを行ったり、相手の状況を見て戦い方を変えるなど、選手たちの自主性による大勝に大きな価値があった。

 4年ぶりのインターハイ。前回出場時は冒頭でも触れた通り、菊地泰智(流通経済大、サガン鳥栖内定)、宮本優太(流通経済大、浦和レッズ内定)、関川郁万(鹿島アントラーズ)を擁して頂点を極めた。

「僕らは日本一しか考えていない。これで良かったではなく、このままではいけないという危機感を持ちながら、これからもっとコミュニケーションをとって、自分たちで考えながら持ち味を発揮していくサッカーをしていきたいです」。

 キャプテンの渋谷のこの言葉は選手たちの総意だ。まだ自分たちは何も手にしていない。快勝に浮かれることなく、まっすぐに山の頂を見つめて、流通経済大柏はその一歩を踏み出した。

(取材・文 安藤隆人)
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