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[MOM3508]矢板中央FW小森雄斗(3年)_スーパーサブの自覚と存在意義を確信したアタッカーが、優勝を手繰り寄せる決勝弾!

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矢板中央高はFW小森雄斗(20番)が劇的な決勝ゴール!

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.23 インターハイ栃木県予選決勝 矢板中央高 1-0 佐野日大高]

 矢板中央高を3大会連続のインターハイに導いたのはスーパーサブの男だった。

 FW小森雄斗(3年=ウイングスSC出身)は後半15分、膠着状態が続く緊迫した展開の中で投入をされると、「周りが盛り立ててくれて入りやすかった」とスムーズに試合の流れに乗り、2トップの一角として果敢な前線からのプレスと、裏抜けを狙ったスプリントを繰り返しながら、虎視眈々とゴールを狙い続けた。

 そして38分、DF島崎勝也(3年)の左ロングスローにニアで佐野日大FW影山虎楽(3年)と競り合ったが、この時は影山が競り勝ってヘッドでクリア。だが、このこぼれ球にFW星景虎(3年)が反応してミドルシュートを放つと、シュートはゴールの枠を外れていたが、そのコース上にいた小森が左足に当ててコースを変えて、ゴールに突き刺した。

 これはシュートコースにいた小森に『偶然当たった』ように見えるが、実は小森が意図的に準備をしていたからこそ生まれたゴールであった。

「ロングスローからのこぼれ球は常に狙うように練習から言われていました。あのシーンも僕が競り負けて、後ろにボールがこぼれた時に影虎が反応しているのが見えたので、すぐにゴールに身体を向けて、影虎のシュートがこぼれた時に反応できるように構えたんです。そうしたらシュートがこっちに飛んできて、ゴールに向かって足を向けたらいい場所に当たって、GKの逆を突くことができました」。

 競り合った瞬間にクリアボールの軌道と仲間の動きを瞬時に捉え、前に圧力をかけられる体勢とポジショニングを取った頭脳的なプレーで、チームに決勝点をもたらした。

 昨年度の選手権でもスーパーサブとして、準々決勝の富山一高戦以外はすべて後半途中から投入され、試合の流れを変える存在が重宝された。最高学年になった今年も高橋健二監督からその役割を託され、まさにチームの切り札となっている。
 
「もちろんスタートで出たい気持ちもありますが、僕のプレースタイル的に途中から出た方が力を発揮できると思うところもあります。全体の流れを感じながら、投入された状況に応じたプレーで流れを引き寄せる。ここにやりがいを凄く感じています」。

 スーパーサブという立ち位置に誇りを持っている。ベンチの段階から試合の流れや雰囲気、そして自分が投入される意義をきちんと理解してピッチに入るからこそ、チームに活力を与え、今日はヒーローになった。

「インターハイは暑い中での連戦ですし、選手権予選も選手権も連戦があったり、一発勝負の怖さもあるからこそ、自分の力が試されると思っています。僕が力を発揮することでチームを活気づけて、勝利に貢献できるようにしたいです」。

 今後、彼がさらにヒーローになる機会は増えるだろう。スーパーサブとして持つべき自覚と存在意義をこの試合でより確信できたのだから。

(取材・文 安藤隆人)
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