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[MOM3547]青森山田FW名須川真光(3年)_V候補筆頭のエースストライカー、初戦で1G1Aの活躍

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青森山田高のエースストライカー、FW名須川真光が初戦で1ゴール1アシストの活躍。(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.14 インターハイ1回戦 長崎総合科学大附高 0-3 青森山田高 テクノポート福井総合公園スタジアム]

 動きが硬くなる大舞台の初戦は、先制点が肝心。エースストライカーがチームを大きく助ける働きを見せた。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)が14日に福井県で開幕し、優勝候補の青森山田高(青森)は3-0で長崎総合科学大附高(長崎)を破って2回戦に進出した。この試合で先制点を含む1得点1アシストの活躍を見せたのが、ツートップの一角を務めた名須川真光(3年=ヴェルディSS岩手 U-15出身)だった。

 先制点は、後半4分。ともに前線でゴールを狙う渡邊星来(3年)がボールを奪って左サイドをドリブルで駆け上がった場面で、低いクロスに名須川がスライディングで飛び込んで合わせたシュートだった。名須川は「絶対に(エンドラインと)平行にパスが来るだろうと思って、飛び込んで決められて良かった」と笑顔を見せた。

 相手の長崎総科大附を率いるのは、かつて国見高(長崎)を全国高校選手権6度の優勝に導いた名将・小嶺忠敏監督。青森山田の黒田剛監督は「押し込んでもなぜか1点取られて負ける。だから、何としても先に1点が欲しかった」と百戦錬磨の名監督の術中にはまる危険を回避するために先制点を望んでいた。名須川が奪った1点は、番狂わせの可能性を大きく削り取る価値のあるゴールだった。

 最前線のポジションを務めるFWは、得点こそ最大の仕事だが、名須川は、得点以外の面でも貢献度が高い。攻撃では、最前線で相手に囲まれながらも味方が前方へ送るパスの受け手となって、攻撃の起点を作る。守備では、ファーストディフェンダーとなって、相手ボールにプレッシャーをかけていく。この日も精力的に役目を果たした。

 特に、ポストプレーヤーとしての好機演出と、自らの得点という両輪は、最前線で出場機会を得続けるために必要なものだ。この試合は、前半から青森山田が押し込む展開だったが、速攻を狙う相手に対して、速攻で攻め返す場面が多くなり、名須川が「前半は、どんな形でもいいからゴールを奪おうという意識だったけど、その意識が上がり過ぎた」と話したように、攻撃の精度を欠いた。

 しかし、後半に入ると、サイドから前線にいる名須川や渡邊、その後ろからゴールを狙う中盤のエースMF松木玖生(3年)を経由しながら、ショートパスをリズムよくつないで相手の守備網を切り裂いた。その流れの中から生まれたのが、名須川の先制点だった。

 この一撃で勢いに乗った青森山田は、20分後にMF宇野禅斗(3年)のボレーシュートで加点。さらに、試合終盤、左CKを跳ね返された場面で、ニアサイドに入った名須川がボールをキープすると、相手を背負いながらターンをするようにゴール前へハイボールを供給。これをDF多久島良紀(2年)がヘディングでゴールへたたき込んでダメ押しの3点目。名須川は試合終了4分前に、ほかの選手に出場機会を与えるために交代となったが、1得点1アシストで初戦の勝利に大きく貢献した。

 この日の天候は、雨。名須川は「暑くなくて、とても走りやすかった。チームのためになるなら、とことん走って(前でボールを)収めて。今日はあまりできなかったですけど(中盤のエースである松木)玖生をすぐに使って、自分でも(ラストパスを受けて)ゴールを目指していけるようになりたい」と幅広い仕事をこなすことを楽しそうに話し、さらなる活躍に意気込みを示した。優勝候補筆頭、青森山田の最前線は、マルチタスクをこなしながら、連続得点を狙っていく。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2021

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