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[MOM3548]米子北FW福田秀人(2年)_有言実行のゴールパフォーマンス。途中出場でストライカーの面目躍如

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FW福田秀人(9番)は同点弾で有言実行のゴールパフォーマンス

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.14 インターハイ1回戦 帝京高 2-2(PK5-6) 米子北高 日東シンコースタジアム丸岡サッカー場]

 最初からヒーローになるつもりだった。ゴールパフォーマンスだって、ちゃんと考えていた。ストライカーならば、そのぐらいのメンタルが頼もしい。「前半は流れが悪かったので、自分たちの流れに持っていくためにも、『ピッチに立ったら絶対に点を決める』という自信を持って最初からプレーができて、しっかり点を決めることができたので嬉しかったです」。米子北高のナンバー9。FW福田秀人(2年=鳥取市立南中出身)の途中投入が、チームに確かな勢いをもたらした。

 帝京高と対峙したインターハイ初戦。中村真吾監督は、前半24分で早くも1人目の交代を決断する。「本当だともう少し帝京さんも繋ぎたかったと思いますし、攻め込まれてラインが高くなったところに小橋川、みたいなイメージをしていたんですけど、小橋川がどうこうというよりも裏のスペースがなかったから、間で受けるような選手を入れようと思って、福田を入れました」。16分には惜しいシュートも放っていたFW小橋川海斗(2年)に代えて、福田がピッチへ解き放たれる。

「自分は前半から交代ということで、入りが難しいと思ったんですけど、監督からは『落ち着いて、シュートでミスがあっても切り替えて、また次のプレーがあるから、そこでしっかり決め切れ」と言われたので、それをしっかり頭に入れてピッチに入りました」。

 前半終了間際の35+2分にはMF山中奨(3年)のボールカットから、シュートチャンスが訪れたが、ボールはクロスバーの上へ。しかもその直後には、帝京に先制点を奪われてしまう。だが、福田の頭の中には前述した指揮官の言葉がしっかりと残っていた。

 後半2分。『シュートミスの次のプレー』がやってくる。右SB原佳太朗(3年)が前方に送ったフィード。あるいはチャンスは潰え掛けていたかもしれない。それでも福田は、走った。「ハーフタイムに全員で『自分たちを信じたらやれる』というのを言い合って、強い気持ちを持って後半の立ち上がりから全力で行こうと決めていて、全員でミスがあっても次に切り替えてやればできるというのを信じていました」。

 帝京ディフェンスの連携がスムーズに行かず、ボールは諦めなかった福田の目の前へとこぼれてくる。「角度は難しい角度だったんですけど、冷静にゴールを見て蹴ることができました。しっかりあそこまで諦めずにボールを追い掛けて、“追跡”という部分ができていたからこそ決められたと思いますし、最後までボールを見て、シュートをしっかり落ち着いて決めることができたので良かったです」。

 ゴールネットが揺れるのを見届けると、一目散にベンチメンバーの元へと向かいながら、両膝で仲間の待つ方向へと滑り込む。「アレは点を決めたらやろうと、みんなと寝る時に話していて(笑)、それを有言実行できたので嬉しかったです」。会心のゴールパフォーマンスもきっちり成功。この1点で息を吹き返したチームは、粘り強くPK戦を制して、2回戦へと勝ち上がった。
 
 県外出身の選手も多いチームの中で、一際目を惹く前所属は『鳥取市立南中学校』。そのことについて水を向けると、「中体連でもこれだけ頑張ったらやれるというのを、しっかり見せ付けられるプレーをしたいので、そういうところで自信を持ってしっかりプレーしたいと思います」と中体連出身者としてのプライドも言葉に滲ませる。

 もちろんスタメン奪取も念頭に置きながら、2回戦以降への意気込みも力強く口にする。「フォワードとしてゴールにしっかり向かうところとか、シュートを冷静に決めるということが大事になってくると思うので、チャンスの時は今日みたいにしっかり点を決められるように、頑張りたいと思います」。

 米子北の大会登録メンバー17人の中で、一番小柄なストライカーの躍動。ゴールという唯一無二の仕事で福田がチームに貢献するタイミングは、まだまだきっと来るはずだ。

前半37分、米子北高FW福田秀人が同点ゴール(写真協力=『高校サッカー年鑑』)


(取材・文 土屋雅史)
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