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圧巻の7ゴールで大勝スタート。前橋育英は“4年ぶり”の初戦突破でさらなる上位進出を狙う

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前橋育英高はDF柳生将太(5番)が2ゴールの活躍(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[8.14 インターハイ1回戦 専修大北上高 1-7 前橋育英高 日東シンコースタジアム丸岡人工芝グラウンド北コート]

「全体的に良いところ、悪いところとあったゲームですけど、初戦に勝利できたことは良かったと思います。いつもはシュートを打っても結構外しちゃうんですけど、今日は打つシュート、打つシュートが入っちゃったので、そういう面では点が獲れて、リズムが取れたかなと」。山田耕介監督も一定の評価を口にする、『打つシュート打つシュートが入っちゃった』結果は圧巻の7発大勝。14日、インターハイ1回戦で専修大北上高(岩手)と前橋育英高(群馬)が対峙したゲームは、前橋育英がゴールラッシュ。DF柳生将太(3年)とMF笠柳翼(3年)が2ゴールずつを奪うなど、7-1という大差で勝利を収め、2回戦へと駒を進めた。

 試合は前半3分で動く。両サイドバックを高次元でこなすDF岩立祥汰(3年)が右CKを蹴り込むと、柳生がヘディングでグサリ。貴重な先制点をマークし、早くも前橋育英がアドバンテージを握る。ただ、そのリードは束の間。6分。専修大北上もMF川上泰正(2年)とMF阿部翔輝(2年)がボールを繋ぎ、最後はFW佐藤裕翔(3年)が豪快にズドン。すぐさまスコアは振り出しに戻った。

 少し前橋育英にも嫌な雰囲気が漂い始めた矢先。違いを見せたのはナンバー10。12分。キャプテンのDF桑子流空(3年)のパスを左サイドで受けた笠柳は、中央にドリブルで潜りながら右足一閃。軌道は凄まじいコースを辿って、右スミのゴールネットへ突き刺さる。

「アレは無回転なんですけど、1週間ぐらい前からインターハイを意識して、右上に落とすという練習をしていたので、こういう舞台で一発獲れたのは自分にとっても大きな自信になりますし、チームを救える一発だったかなと思います」。笠柳の無回転ゴラッソが飛び出し、前橋育英が再び1点をリードすると、ここから試合の流れは一気に傾いていく。

 22分にはFW高足善(2年)が粘って残し、FW守屋練太郎(3年)が落ち際を叩いたボレーは豪快にゴールネットへ突き刺さり、前橋育英に3点目。ハーフタイムを挟むと、後半のスタートから2枚代えを敢行した専修大北上も、3分には左に開いたFW吉武皇雅(3年)が丁寧なクロスを送り、阿部を経由して佐藤が枠内シュートまで持ち込むも、ここは前橋育英のGK渡部堅蔵(3年)がファインセーブで回避。失点は許さない。

 直後の4分。MF徳永涼(2年)を起点に笠柳、MF小池直矢(2年)と繋いだボールを、守屋は枠内シュート。専修大北上のGK及川康生(3年)も良く弾いたものの、すかさず詰めたMF渡邊亮平(3年)のゴールで4点目。13分。右サイドを縦に持ち出した小池が完璧なクロスを放り込み、ファーで笠柳がきっちりボレーを叩き込んで5点目。16分。中盤で躍動したMF根津元輝(2年)が右へ振り分け、DF岡本一真(3年)のクロスがこぼれると、小池がきっちり押し込んで6点目。一気に点差が開く。

 大トリは1点目と同じセンターバック。35+2分。先制時と同じ右CKをここも岩立が正確に蹴り込み、宙を舞った柳生のヘディングはGKも掻き出せず、ゴールネットへ滑り込む。「まあコーナーキックですからね。柳生には『あまり調子に乗るんじゃない』とは言っておきましたけど(笑)」とは山田監督だが、その柳生が2ゴールで得点力までアピールする好パフォーマンス。終わってみれば7-1という衝撃的なスコアで、前橋育英が東山高(京都)への挑戦権を勝ち獲った。

 今回で4大会連続の出場ながら、実はインターハイの初戦突破は4年ぶりだった前橋育英。「4年ぶりなんですけど、最近は青森山田と大津と初戦で当たっていて、どちらも日本でもトップクラスのチームなので、『何で初戦で当たるんだ』と僕はいつも思っていました(笑)」とは山田監督。強豪相手に阻まれていた初戦の壁ではあったものの、「やっぱり初戦だったので、ちょっと緊張していた部分はありましたね」と桑子が明かしたチームも、近年の鬼門を突破したことで、上位を窺う自信をより纏ったことも間違いない。

「インターハイは35分で、プリンスリーグと違って10分短いので、試合展開も速いですし、そこは慣れない点でもあったんですけど、立ち上がりと給水の入りとか、最後の方だったり、その時間帯を集中できれば本当に上に行けるチームだと思いますし、あとは失点を防げれば攻撃陣には良いタレントが揃っているので、自分をはじめとして粘り強く、失点ゼロでこれからも戦っていきたいと思います」(桑子)。視界良好。上州のタイガー軍団が12年ぶりの戴冠へ、力強くスタートを切っている。

(取材・文 土屋雅史)
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