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[MOM3552]静岡学園FW持山匡佑(3年)_目指すは日本一と得点王。“二兎”獲りに挑むこの夏の主役候補がいきなり2発!

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静岡学園高のナンバー9、FW持山匡佑(写真協力=『高校サッカー年鑑』)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[8.15 インターハイ1回戦 静岡学園高 3-1 仙台育英高 テクノポート福井総合公園芝生広場]

 タレントの居並ぶこのチームで9番を託されるからには、その役割も明確だ。磨き続けてきた得点感覚を発揮すればいいだけの状況も周囲が整えてくれるが、もちろん独力で奪い取るゴールも常に狙っている。「自分はフォワードなので、自分のゴールでチームを勝たせればいいと思っていて、そこにはこだわっています」。静岡学園高が誇る大会得点王有力候補。FW持山匡佑(3年=清水エスパルスジュニアユース出身)がいきなり初戦から2ゴールを叩き込んだ。

 1点目は前半12分。チーム随一のドリブラー、MF古川陽介(3年)が左へ振り分け、受けた左SBの野村海翔(3年)は中央の動き出しを視界に捉えつつ、絶妙のグラウンダークロスを送り込む。「監督からも昨日の前日練習で『ニアに入れ』と言われていて、そこは駆け引きしましたし、野村が左足で良いボールを上げてくれたので、合わせるだけでした」。つま先に近い右足インサイド。“点”で合わせたシュートは、左のサイドネットへ滑り込む。

 2点目は後半12分。高い位置でのインターセプトから前を向くと、ストライカーの視界がゴールをハッキリと捉える。「フリーな状態で持てて、周りを使おうと思ったんですけど、『自分で行くしかないな』と思って、うまく相手の逆を付けて、左足で流し込めたので良かったです」。中央から左足で放ったシュートは、ゴールネットへ吸い込まれる。

 さらにチームのために、守備でも素晴らしい献身性を見せ付ける。炎天下で疲労もピークの後半30分。途中投入された仙台育英高のドリブラー、MF明石海月(3年)がサイドをドリブルで運ぶと、後方から緑の9番が全速力で追いかけてくる。

「相手のカウンターで、ベンチからも『戻れ!』という声がありましたし、位置的にもピンチだと思ったので、全力で戻ってしっかりボールを取り切れたんですけど、その後にミスしてしまったので、そこはもっとつながないといけないなと。でも、しっかり止められたので良かったです」。最終盤に披露したこの一連は、持山が決してエゴイスティックなストライカーではないことを、何よりも如実に表していた。

 プリンスリーグ東海ではここまで10ゴールで、得点ランキングトップを独走中。「いろいろな得点のパターンをプリンスでは決められているので、自信になっていますし、この一発勝負という大舞台で、自分がしっかりそれを表現できたらいいかなと思います」。

 ゴールのバリエーションに関しては、川口修監督も「プリンス東海でも非常に得点能力を発揮していて、彼はいろいろなゴールがあるんですね。ヘディングもあるし、ミドルもあるし、今日みたいにああやって飛び込んで泥臭く決めたりとか、いろいろなバリエーションがあるので、自信を付けていると思います」と言及しつつ、この日の出来にも「2点とも本当にフォワードらしい彼の持ち味が出たゴールで、彼はボールさえ入ればああいうプレーができるので、今日は非常に良かったですね」と高評価を与えていた。

 参考にしている選手も、その理由も実に彼らしい。「鎌田大地選手は前線で背負ったりするだけじゃなくて、前を向いた時に仕掛けられて、そこにいろいろなバリエーションがありますし、やっぱりボールを持った時にワクワクするような選手は意識しています」。シズガクの9番のプライドも、その言葉に透けて見える。

 ここからの目標を問うと、短い言葉に決意が滲む。「チームとしては優勝を目指していますし、個人としては得点王を目指しています」。日本一と得点王。持山は頼れるチームメイトとともに、次戦以降も真剣に“二兎”を追い掛けていく。

(取材・文 土屋雅史)
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