プレミア対決は意外な大差に。一戦必勝を期す大津はきっちり3ゴールを奪い切って流経大柏に快勝!
[8.16 インターハイ2回戦 流通経済大柏高 0-3 大津高 三国運動公園人工芝グラウンド]
「良い勉強になりました。大津が単純に上だったなと。大人と子供みたいでしたよね」と流経大柏の榎本雅大監督が話せば、「もうちょっとできるかなと思ったんですけど、スピード感だったり、切り替えだったり、距離感だったり、全部相手の方が1枚上手だったと思います」とキャプテンのMF渋谷諒太(3年)も素直な感想を口にする。注目のプレミア対決は意外な大差に。
16日、インターハイ2回戦最大の注目カード、プレミアEAST4位の流通経済大柏高(千葉)とプレミアWEST3位の大津高(熊本)が激突したビッグマッチは、開始1分にオウンゴールで先制した大津が、その後もMF一村聖連(3年)とMF薬師田澪(3年)のゴールで3-0と快勝。大一番を制し、ベスト16へと勝ち上がった。
試合は開始1分経たずに動く。大津が相手陣内に入ったところで獲得したFK。FW川口敦史(3年)が蹴り込んだキックは右に流れ、いち早く反応したDF川副泰樹(3年)が折り返したボールは流経大柏のDFに当たり、そのままゴールへ吸い込まれる。公式記録はオウンゴール。意外な形で早くも大津が1点をリードする。
以降も出足の鋭さで上回ったのは大津。「リスクを冒さずに引っ繰り返すということは全員話していました」とキャプテンのMF森田大智(3年)が話したように、シンプルに191センチの長身FW小林俊瑛(2年)の高さを使いながら、スピードのある右WB日高華杜(3年)と、キック精度の高い左WB岩本昌大郎(3年)も攻撃に関わる形で、相手をじわじわと押し込んでいく。
「相手が9番(小林)をターゲットにするのはある程度わかっていましたけど、それでウチの中盤の選手たちが『守備から入らなければ』となって、どうしても引っ繰り返されてボールを握れなかったので、前半は苦しんじゃったかなと思います」と榎本監督も口にした流経大柏は、19分にMF小林恭太(3年)、FW川畑優翔(3年)と繋いだボールから、MF松本洋汰(3年)が枠内へシュートを収めるも、大津のU-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年)がしっかりキャッチ。29分には早くも1人目の交代としてFW石川裕雅(3年)を送り込み、何人かの配置を変えたものの、大きな変化は生まれない。
すると、次の得点を奪ったのも大津。32分。森田、日高と繋いだボールを、薬師田はノールック気味に右足アウトサイドでスルーパス。抜け出した一村はやや角度のない位置から右足一閃。豪快にゴールネットが揺れる。前半は好リズムを続けた大津が2点をリードして、35分間を終えた。
小さくないビハインドを追い掛ける展開を強いられた流経大柏も、後半はギアを上げて攻撃姿勢を強める。5分には渋谷の右CKに、ニアでDF田口空我(3年)がボレーで合わせるもヒットせず。7分にも左サイドで細かく繋ぎ、MF堀川大夢(2年)が狙ったミドルは枠の上へ。10分にも小林のパスから、最後は川畑が叩いたボレーもゴール右へ。「後半は少しずつ自分たちのプレーを出せたんですけど、なかなかゴールが奪えなくて、結局最後は前に頼るというふうになってしまいました」と田口。どうしても1点が遠い。
とどめの一撃は「競り合いはひたすら自主練でもやってきましたし、上から吊り下げたボールでの練習もやっていましたね」と語るナンバー6。24分。左サイドの深い位置で手にしたFK。キッカーの岩本が素晴らしい精度のボールを蹴り込むと、薬師田は抜群の打点の高さでヘディングをゴールネットへねじ込む。
「ドンピシャで昌大郎が良いボールを蹴ってくれたので決められました。夢を見ましたね、決めた瞬間は。『アレ?決めた?』みたいな。もう嬉しさでいっぱいだったので、みんな駆け付けてくれて良かったです」。2つのセットプレーに、しっかり崩した形からも1ゴール。「走り負けないことだったり、気持ちの部分は絶対に負けないという強い意志があったので、そこは全員で気持ちを出してやれたかなと思います」と森田も胸を張った大津が3点を奪い切り、難敵の流経大柏を撃破。ベスト16へと勝ち上がる結果となった。
「いつもだったらボールを取れている所が綺麗に取れなくて、取れたとしてもちょっと足を伸ばして頑張ったりして、また1枚2枚と出てきて、そういうところを自分たちはできなくて、相手はできていたのかなと。守備がよくて、攻撃も良かったので、本当に完敗かなという感じです」と流経大柏を束ねるキャプテンの渋谷が振り返ったように、お互いが高い強度でぶつかり合う中でも、大津の粘り強い守備対応と、ボールを奪ってからどう攻めるかという部分の統一感は、やはりプレミアで揉まれているチームという印象が強い。
「新チームが始まってすぐは結構ひどかったんですけど(笑)、プレミアをやっていく中で成長したというか、最初に比べたら本当に強くなっているという実感が自分たちでもあります。やっぱり強度の部分でもインターハイでは自信を持って全員ができていますし、Jユースを相手にしてきた経験値は凄く大きいかなと思います」とは森田。日常の経験をトレーニングでさらに力に変え、試合のピッチで表現できる強さを、今年のチームは兼ね備えているようだ。
注目のプレミア対決を完勝で終えただけに、周囲からの期待も一段階上がった感もあるが、「この試合は結構良い勝ち方をしましたけど、次の試合も気を抜けないと思いますし、目標は優勝なので、一戦一戦戦った上でそこを目指していきたいと思います」という森田の地に足の着いた発言が、よりこのチームの自信を窺わせる。
「3回戦の相手も後ろは自分も含めてシュートゼロで抑えて、得点を増やして、次の準々決勝に進められるように頑張っていきたいと思います」(薬師田)。一戦必勝。浮付いた雰囲気は微塵も感じられず。悲願達成に向け、今の大津に死角はなかなか見当たらない。
(取材・文 土屋雅史)
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「良い勉強になりました。大津が単純に上だったなと。大人と子供みたいでしたよね」と流経大柏の榎本雅大監督が話せば、「もうちょっとできるかなと思ったんですけど、スピード感だったり、切り替えだったり、距離感だったり、全部相手の方が1枚上手だったと思います」とキャプテンのMF渋谷諒太(3年)も素直な感想を口にする。注目のプレミア対決は意外な大差に。
16日、インターハイ2回戦最大の注目カード、プレミアEAST4位の流通経済大柏高(千葉)とプレミアWEST3位の大津高(熊本)が激突したビッグマッチは、開始1分にオウンゴールで先制した大津が、その後もMF一村聖連(3年)とMF薬師田澪(3年)のゴールで3-0と快勝。大一番を制し、ベスト16へと勝ち上がった。
試合は開始1分経たずに動く。大津が相手陣内に入ったところで獲得したFK。FW川口敦史(3年)が蹴り込んだキックは右に流れ、いち早く反応したDF川副泰樹(3年)が折り返したボールは流経大柏のDFに当たり、そのままゴールへ吸い込まれる。公式記録はオウンゴール。意外な形で早くも大津が1点をリードする。
以降も出足の鋭さで上回ったのは大津。「リスクを冒さずに引っ繰り返すということは全員話していました」とキャプテンのMF森田大智(3年)が話したように、シンプルに191センチの長身FW小林俊瑛(2年)の高さを使いながら、スピードのある右WB日高華杜(3年)と、キック精度の高い左WB岩本昌大郎(3年)も攻撃に関わる形で、相手をじわじわと押し込んでいく。
「相手が9番(小林)をターゲットにするのはある程度わかっていましたけど、それでウチの中盤の選手たちが『守備から入らなければ』となって、どうしても引っ繰り返されてボールを握れなかったので、前半は苦しんじゃったかなと思います」と榎本監督も口にした流経大柏は、19分にMF小林恭太(3年)、FW川畑優翔(3年)と繋いだボールから、MF松本洋汰(3年)が枠内へシュートを収めるも、大津のU-18日本代表候補GK佐藤瑠星(3年)がしっかりキャッチ。29分には早くも1人目の交代としてFW石川裕雅(3年)を送り込み、何人かの配置を変えたものの、大きな変化は生まれない。
すると、次の得点を奪ったのも大津。32分。森田、日高と繋いだボールを、薬師田はノールック気味に右足アウトサイドでスルーパス。抜け出した一村はやや角度のない位置から右足一閃。豪快にゴールネットが揺れる。前半は好リズムを続けた大津が2点をリードして、35分間を終えた。
小さくないビハインドを追い掛ける展開を強いられた流経大柏も、後半はギアを上げて攻撃姿勢を強める。5分には渋谷の右CKに、ニアでDF田口空我(3年)がボレーで合わせるもヒットせず。7分にも左サイドで細かく繋ぎ、MF堀川大夢(2年)が狙ったミドルは枠の上へ。10分にも小林のパスから、最後は川畑が叩いたボレーもゴール右へ。「後半は少しずつ自分たちのプレーを出せたんですけど、なかなかゴールが奪えなくて、結局最後は前に頼るというふうになってしまいました」と田口。どうしても1点が遠い。
とどめの一撃は「競り合いはひたすら自主練でもやってきましたし、上から吊り下げたボールでの練習もやっていましたね」と語るナンバー6。24分。左サイドの深い位置で手にしたFK。キッカーの岩本が素晴らしい精度のボールを蹴り込むと、薬師田は抜群の打点の高さでヘディングをゴールネットへねじ込む。
「ドンピシャで昌大郎が良いボールを蹴ってくれたので決められました。夢を見ましたね、決めた瞬間は。『アレ?決めた?』みたいな。もう嬉しさでいっぱいだったので、みんな駆け付けてくれて良かったです」。2つのセットプレーに、しっかり崩した形からも1ゴール。「走り負けないことだったり、気持ちの部分は絶対に負けないという強い意志があったので、そこは全員で気持ちを出してやれたかなと思います」と森田も胸を張った大津が3点を奪い切り、難敵の流経大柏を撃破。ベスト16へと勝ち上がる結果となった。
「いつもだったらボールを取れている所が綺麗に取れなくて、取れたとしてもちょっと足を伸ばして頑張ったりして、また1枚2枚と出てきて、そういうところを自分たちはできなくて、相手はできていたのかなと。守備がよくて、攻撃も良かったので、本当に完敗かなという感じです」と流経大柏を束ねるキャプテンの渋谷が振り返ったように、お互いが高い強度でぶつかり合う中でも、大津の粘り強い守備対応と、ボールを奪ってからどう攻めるかという部分の統一感は、やはりプレミアで揉まれているチームという印象が強い。
「新チームが始まってすぐは結構ひどかったんですけど(笑)、プレミアをやっていく中で成長したというか、最初に比べたら本当に強くなっているという実感が自分たちでもあります。やっぱり強度の部分でもインターハイでは自信を持って全員ができていますし、Jユースを相手にしてきた経験値は凄く大きいかなと思います」とは森田。日常の経験をトレーニングでさらに力に変え、試合のピッチで表現できる強さを、今年のチームは兼ね備えているようだ。
注目のプレミア対決を完勝で終えただけに、周囲からの期待も一段階上がった感もあるが、「この試合は結構良い勝ち方をしましたけど、次の試合も気を抜けないと思いますし、目標は優勝なので、一戦一戦戦った上でそこを目指していきたいと思います」という森田の地に足の着いた発言が、よりこのチームの自信を窺わせる。
「3回戦の相手も後ろは自分も含めてシュートゼロで抑えて、得点を増やして、次の準々決勝に進められるように頑張っていきたいと思います」(薬師田)。一戦必勝。浮付いた雰囲気は微塵も感じられず。悲願達成に向け、今の大津に死角はなかなか見当たらない。
(取材・文 土屋雅史)
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