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後半ATにDF夘田が決勝ゴール!粘って勝利掴んだ東山が青森山田との準々決勝へ

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東山高が劇的な勝利

[8.18 インターハイ3回戦 東山高 2-1 三重高 日東シンコースタジアム丸岡サッカー場]

 インターハイ3回戦、東山高(京都)vs三重高(三重)の試合は、立ち上がりからいきなり両チームが決定機を作り合う展開で始まった。3分に三重は「左から起点を作って欲しかった」と徳地俊彦監督が語ったように、FWではなく左サイドハーフに起用した10番・吉良元希(3年)がチャンスメーク。左から正確なクロスを送ると、中央でMF浅井勇飛(2年)がドンピシャヘッドで合わせた。

 だが、これは東山GK佐藤瑞起(2年)が足でセーブし、こぼれに再び浅井が飛び込むが、シュートはわずかに枠の外。すると6分にはお返しとばかりに東山が攻勢を仕掛け、ペナルティーエリア内でFW藤枝康佑(3年)が強烈なシュートを放つが、これは三重GK田端亮雅(3年)がビッグセーブでピンチを防いだ。

 ここから試合は東山のペースとなって進んでいった。東山は真田蓮司(2年)と松橋啓太(2年)のダブルボランチが軸となって、ボールポゼッションで三重を圧倒。相手を自陣に張り付けにしたが、右の阪田澪哉(2年)と左の李隆志(3年)の突破力をなかなか活かせず、最後は三重の堅いブロックに弾かれるという展開が続いた。

 スコアレスで迎えた後半も同じ図式が続いたが、東山の選手たちは冷静だった。「相手の映像を見て、守備が、こういう展開になることは選手たちも分かっていたので焦ることはなかった」と東山・福重良一監督が口にしたように、東山の選手たちはポゼッションをしながらも果敢に縦パスを打ち込んで、歪みが生まれるのを待ち続けた。

 我慢比べの様相を呈してきた試合は、後半22分に動く。「セットプレーが鍵だと思っていた」と福重監督が語ったように、右CKを得ると選手たちの集中力は最高潮に達した。真田のキックをニアに飛び込んだDF夘田大揮(3年)がドンピシャヘッドで合わせて、東山がついに均衡を崩した。
 
 だが、これで三重も黙っていなかった。FWに戻した吉良を軸にカウンターを狙い続けると、28分に浅井の仕掛けがPKを誘う。これを吉良がど真ん中に沈めて試合を振り出しに戻した。さらに32分には吉良のスルーパスからFW世古千颯(3年)が完全に抜け出し、飛び出してきたGK佐藤と交錯しFKを得るなど、三重のカウンターは脅威だった。

 しかし、その脅威を覚悟しながら、東山は攻め続けた。すると後半アディショナルタイム3分にMF石井亜錬(2年)のパスを受けた阪田が右サイドからカットインを仕掛けてクロス。ボールの落下地点にいたのは1点目を決めた右サイドバックの夘田だった。冷静にトラップをするとそのまま左足を一閃。ゴールに突き刺して、東山がベスト8進出を手にした。

「次の相手は、もうね、分かっていますよ」。試合後、福重監督がこう口にしたように、準々決勝の相手は2戦連続で8-0という離れ業をやってのけた青森山田高(青森)。福重監督と青森山田の黒田剛監督は同い年で仲がいいだけに、思わず福重監督から笑みがこぼれた。

「今日、粘って勝利を掴んだように、明日も粘って守備をして全員で戦いたい」とその強さをよく知っているからこそ、福重監督はすぐに明日の決戦に向けて目を向けていた。前橋育英高(群馬)を1-0、そしてこの日はアディショナルタイムで勝ち越しての2-1の勝利。この粘りが本物かどうかを明日、チーム一丸となって確かめ、かつ勝利を手にするべく。東山は3年ぶりのベスト4に向けて突き進む。

(取材・文 安藤隆人)
●【特設】高校総体2021

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