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静岡学園が大津を破って4強入り、技術生かしたキープで「ウノゼロ」

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静岡学園高はMF西村湧志らが技術力の高さを活かしたボールキープ。後半は相手に攻撃機会を十分に与えず、1-0で勝利した。(写真協力=高校サッカー年鑑)

[8.19 インターハイ準々決勝 静岡学園高 1-0 大津高 テクノポート福井総合公園芝生広場]

 スコアは、1得点で十分。ボールは、オレたちの物。サッカー王国が誇る技巧派集団が、抜群の個人技と連係で勝利をつかみ取った。令和3年度全国高校総体(インターハイ)「輝け君の汗と涙 北信越総体2021」サッカー競技(福井)の準々決勝が19日に行われ、静岡学園高(静岡)は1-0で大津高(熊本)を破り、ベスト4に進出した。

 試合序盤は、前半に風上に立った大津が押し込む展開。長身FW小林俊英(2年)をターゲットにロングパスやクロスボールを狙いつつ、二次攻撃からMF一村聖連(3年)が突破を仕掛けてラストパスを狙った。

 しかし、静岡学園がDF三宅優翔(3年)、DF行徳瑛(2年)を中心とした守備で跳ね返し、シュートは許さなかった。静岡学園は大津の素早いプレスを受けながらも、スピードを上げないドリブルで相手を引き付けながら、じわりじわりと反撃。前半13分、相手が中盤でバックパスをミスすると、FW持山匡佑(3年)のラストパスから右MF川谷凪(3年)がシュートを放つショートカウンターを繰り出した。

 対する大津は前半15分にクリアボールが風に乗って前方へこぼれたところをFW小林が強襲。静岡学園の川口修監督が「1本ひっかけられれば、ゴール前まで持っていかれる。前半なんか大きなピンチもあった」と振り返ったように、互いに1つのミスで展開が大きく変わる緊迫感に包まれたゲームとなった。

 この試合の流れを大きく変えたのが、前半34分に生まれた静岡学園の先制点だった。大津の山城朋大監督が「飲水の後に、一気に出足が遅くなってしまった。それまでは良い守備と良い攻撃を続けられていたのですが、飲水後に足がパタッと止まって、耐えられるかなと思っていたのですが……」と危惧した時間帯。静岡学園は左サイドに展開すると、左MF古川陽介(3年)が個人技を発揮する。

 二度、三度、四度と切り返しを重ね、マークに来た大津の右DF日高華杜(3年)を完全に振り切り、センタリング。「相手と駆け引きしながら、ボールが上がってくると思っていたので、決めてやろうと思っていました。ニアに行こうとしたけど、古川が少し詰まっていると思ったので、ファーに切り替えました」と話したFW持山がヘディングで合わせてゴールを奪った。

 直後の前半35+3分、大津は左サイドから右へ展開すると、失点場面で1対1を破られたDF日高が意地を感じさせるカットインシュートを放ったが、ポストに嫌われて、相手GKに防がれた。

 前半が1-0で終了したことで、攻め急がない静岡学園の攻撃は精度を増した。一方的にボールを支配。インサイドハーフのMF玄理吾(3年)、MF西村湧志(3年)が両サイドの古川、川谷と関わりながら、ボールをキープ。大津は、攻守をつなぐキーマンのMF森田大智(3年)が守備に走らされて持ち味を発揮しきれなかった。

 後半21分に選手交代を行って3バックから4バックに変更しても、試合の流れは呼び込めなかった。後半29分、森田がミドルシュートを放ち、逆風で変化したボールを相手GKが弾くと、途中出場のMF田原瑠衣(2年)が押し込みに行ったが、これもGKに阻まれた。

 大津は最後までボールを奪いに走ったが、静岡学園からボールを取り切れず、前半1本、後半2本とシュート回数も限られた。守備固めではなく、技術を生かしたボールキープによる「ウノゼロ(※イタリア語で1-0を意味する)」での勝利を収めた静岡学園は、21日に行われる準決勝で優勝候補筆頭の青森山田高(青森)と対戦する。

 持山は「目指しているのは、優勝。明日のオフでしっかり準備して臨みたい。青森山田はセットプレーとか徹底してきて強いけど、飲み込まれないように、自分たちらしいサッカーをしたい。もちろん、点を取ります」と意気込みを語った。優勝候補を破れば、初優勝が見えて来る。

(取材・文 平野貴也)
●【特設】高校総体2021

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