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東福岡の練習から別格の動き。リアル“赤い彗星”MF浦十藏は今夏、「全国の人を驚かせたい」

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“赤い彗星”こと東福岡高の超高速アタッカー、MF浦十藏

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技の各都道府県予選で熱戦が繰り広げられている。インターハイ優勝3度の名門、東福岡高(福岡)は5月28日が福岡県予選初戦(対誠修高)。福岡制覇、そして日本一を目指してスタートを切る。MF浦十藏(3年=サガン鳥栖U-15出身)は異次元のスピードで相手の守りを攻略する逸材ウイング。J1クラブも注目する浦にピッチ内外で意識、継続してきたことやインターハイへの意気込みについて聞いた(取材日は5月下旬)。

―今日のトレーニングで別格のようなプレーをしていた。コンディションも上がってきたのでは?
「ひざを痛めていたのが良くなってきました。練習にも合流できて、徐々にコンディションも上がってきているかなと思っています」

―インターハイ予選は自身初めてになる。
「去年、自分はライブ配信で見ていて、やっぱり出ていなくても負けたことは凄く悔しかったですし、東福岡にとっても悔しい試合をしてしまって、(県予選)ベスト4で終わってしまった。東福岡はやっぱり優勝しないといけないチームだと思いますし、県予選から個人としての活躍もそうですけれども、チームのために自分が決めたり、決定的な仕事をしたいです」

―浦君がやらなければならないこととは。
「自分は去年から出ていて一番目立たないといけないですし、相手から怖いと思われないといけないですし、どう対策しても止められないと思われる選手にならないといけないと思っているので、県予選から自分の特長のスピードなどを存分に発揮して一つ一つ勝ち上がって圧倒して優勝できるようにしたいです」

―浦君のスピードに慣れているはずのチームメートでも止めれない。トレーニングで自分に求めていることは?
「個人として、自分は1対1を得意としているし、スピードを活かしたプレーを出そうと思っているんですけれども、常にチャレンジするというところを毎日の練習でトライしています。チームとしては質の部分や球際の部分、ハードワークする部分で自分からもっと多くの声を掛けることを意識しています」

―どのくらいから意識が変わった?
「新人戦で優勝したんですけれども、個人としては全然物足りなくて。もっと右サイドから崩して点差をつけられたと思うんですけれども、そこが全然新人戦の時は出せなくて、(3月の)サニックス(カップ)でも一番悔しい思いをしました」

―サニックスでの悔しさとは?
「決定的な仕事ができていないということと、チームとしても最下位で終わってしまった。チーム全員思っていることだと思うんですけれども、東福岡が最下位とか本当にありえないことです。より自分たちで求め合ってやってきて、プレミアリーグも徐々に慣れてきました。全然足りないんですけれども、インターハイの期間中も高め合っていきたい」

―チームの意識を高めるためにやっていることは?
「自分が声で高めることですけれども、プレーで見せることを一番大事にしています」

―チームのみんなが浦君の良さを知って、活かしてくれて力をより出せるようになってきている。
「自分のプレースタイルはわがままだし、そこにみんなが合わせてくれています。少しずつ、まだ全然足りないですけれども(自分に対する)信頼も出てきたかなと思います。(プレーしていて)楽しいです」

―相手を圧倒するようなプレーを見せているが、ピッチではどのような景色が見えている?
「自分のスピードだったら、スペースに蹴って走っても全然追い付くので。(ゴールや突破までの)イメージは常にできていて、持ったらここ最近ですけれども、取られない自信も出てきました。スピード勝負に持って行ければ負けない自信を持ってやっています」

―走りっこでは負けない。
「負ける気はしないです」

―東福岡は色々なスポーツが強いけれど、学校でもトップクラスでは?
「競ったことはないですけれど、負けないかなと思います」

―なぜそんなに速いのかな?
「小学校の頃、お父さんと練習終わってから砂浜ダッシュだったり。お父さんから苦しめられて……(苦笑)。今も継続して、夜など階段ダッシュや坂道ダッシュをやっています。ここ最近も前よりも速くなったという感じがあるので、それを継続してずっとやっていきたいです」

―砂浜はどこを走っていた?
「(志賀島へ続く観光名所の)海の中道を。家から近くはないんですけれども、車で送ってもらって。(砂浜が)長いんですよ(苦笑)。走っていたのは長い距離じゃなくて、50mくらいの距離を20mくらいから加速して行って、ということをずっと繰り返しやっています。長くて1時間とかです。(父親への感謝)そうですね」

―馬力も強み。
「身体負けも高校生になって全然しなくなりましたし、当てられても倒れない自信もあるので。筋トレもそうなんですけれども、自分、体幹がそんな強くなくていつもトレーナーさんとかにも『弱い、弱い』と言われていて、下半身強化のためにチューブトレーニングとかいつもやっているので、そこで強化できたのかなと思います」

―測定値が非常に高かったという話を聞いたが。
「ヒガシのGPSを送って調べてもらったら、トップスピードが(オーバメヤンクラスの)35kmだったそうです」

―このスピードでJ沸かせる、代表を沸かせる。どのようなところを見据えている。
「古橋(亨梧)選手や右サイドの伊東純也選手を目標にしていて、高い目標を決めているんですけれども、目の前のことを一つ一つこだわってやっていって、夢に近づいていけたらいい」

―こだわっていることとは?
「勝負にこだわることや、単純に対面の相手に負けないこと。一つ一つのシュートの質だったり。今日も変なシュートばっかり打っていたので。下手くそですね」

―その点は課題としてやってきた。
「トップスピードに乗ってからのシュートは自主練でも課題としてやっているんですけれども、まだ全然下手くそなので、(進化させられれば)もっと決定的な仕事ができるんじゃないか」

―この1年をどう過ごしたい?
「常に一番目立っていないといけないですし、自分みたいなスピードに自信がある選手が出てきても、それよりも何倍もスピードで上回っていかないといけないと思います。スピードは絶対的に自信を持っているので毎試合、数回じゃなくても繰り返し、後半の最後までやっていきたいです」

―人とは異なる進路を歩んできた。みんなが認めるような結果を欲している。
「試合の時もそうですけれども、練習から誰よりも違いを見せてやっていかないといけないですし、試合で自分にボールを出したら絶対にゴール前まで行ってくれる、というような信頼をもっと得られるように、練習から違いを出していきたい」

―プレミアリーグでは古巣の鳥栖相手に力を見せつける。
「鳥栖にはライバルと言える存在がたくさんいて、自分が成長したぞ、というところを鳥栖戦でたくさん見せたいですし、チームもそうですけれども個人として鳥栖を圧倒できるようにしたいです」

―十藏という名前は他にいない名前。
「誰もいないですし、親に感謝したいです。十藏という名前は気に入っています」

―名前の由来は?
「お金持ちになって藏を十個立てるくらいに、と込められて付けてもらったので、プロになって活躍して、そのくらいできるように地道に頑張っていきたいです」

―インターハイで対戦したい選手は?
「どの選手と戦いたいというのはないんですけれども、東山の阪田(澪哉)選手とかプロ入りを決めている選手とどれだけ差があるのかとか、神村(学園のMF大迫塁選手やFW福田師王選手)もそうですけれども、ずっと注目されていてそれを上回るプレーをしているので、自分もそうなれるようにしたいです」

―インターハイの目標について教えてください。
「チームとして先を見ずに1試合1試合戦っていきたいですし、その1試合で絶対に相手に何もさせないという気持ちで福岡県を圧倒して勝ち上がって、全国大会でも優勝という目標があるんですけれども、そこを目標にして一戦一戦とにかく大事にしていきたいです」

―「浦十藏の夏」に。
「全国の人を驚かせたいなと思います」

(取材協力=ニューバランス)
(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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