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C大阪内定MF大迫塁主将は2アシストに加え、背中で神村学園を牽引。満足せずに「もっと違いを」

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優勝に貢献した神村学園高MF大迫塁主将はより成長することを誓った

[5.28 インターハイ鹿児島県予選決勝 神村学園高 2-1 鹿児島城西高 OSAKO YUYA stadium]

 県予選決勝で2アシストを記録したが、「個人としてもっと違いを出したいので、もっと余裕を持って、相手を見てプレーしたいと思っています」と首を振る。U-18世代を代表するレフティー、神村学園高MF大迫塁主将(3年=神村学園中出身、C大阪内定)は試合後、より成長する必要性を口にしていた。

 大迫、MF笠置潤(3年)のダブルボランチはともに高校トップクラスの実力者。だが、有村圭一郎監督は良い位置でボールを引き出す回数も、前を向く回数もまだまだ少ないと指摘する。

 この日はボールを繋いで攻めるよりも、我慢の時間帯が多くなってしまったことから「やっぱり良い位置で受けて前向いて行くというところを追求していかないと、ウチのゲームはこんな堅いゲームになってしまう」と有村監督。大迫に対しても「まだまだでしょう。来年プロですると言ったらもっと存在感がないといけない」と求めていた。

 だが、スペースを逃さない目と技術力の高さはさすがだ。前半4分には、右サイドからのパスを丁寧なファーストタッチで利き足の左側へ。そして、正面を向いた状態から、クロスさせるように左足を振ってPA内右へスルーパスを通した。これをFW福田師王(3年)が右足ダイレクトで決めて先制点。強力ホットラインでまずリードを奪うと、大迫はその6分後にも左足の1タッチパスで笠置のゴールをアシストした。

 この日は中盤の底の位置でバランスを取ることを重視。そのため、ゴール前に入っていく回数も少なかったが、2得点を演出して見せた。同時に印象的だったのが、守備面だ。球際に頭から突っ込んで行くシーンや、身体を投げ出してインターセプトするシーンも。ボランチというポジションの性質上、当然の部分でもあるが、どちらかというと優美なゲームメーカーだったMFは泥臭い役割を率先して行っていた。

 年代別日本代表の常連で1年時から主軸としてプレーしてきたが、最高学年、主将となり、その責任感はより高まっている。「大会前に(コーチの)栢野(裕一)先生から、『球際、(ボールサイドの)戦場のところで取り切ったり、潰れたりする姿でもチームを引っ張って行ける』と言われてより意識しました。自分がああやって戦うことでチームの士気も上がると思いますし、声もそうだし、姿勢もそうだし、そういうところでチームを引っ張っていきたい」。日本一に「貢献したい」と言い切る主将は、ゲームコントロール、決定的な仕事をするだけでなく、その戦う姿勢でもチームの勝利に貢献する。

 今年2月に23年シーズンからのC大阪加入内定。早くC大阪に帯同し、高校3年生の今年のうちにプロデビュー、活躍をしたいという思いも強い。だが、「今、全然足りないところがあるので、今、高校サッカーで、神村でできることを精一杯やりたい」。プロ内定選手という意識を持って日常のトレーニングに臨み、どの試合でも存在感を放って勝利し、目標の日本一に近づく。

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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