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[MOM3854]中部大一FW中嶋晃成(3年)_「アイツがいるだけでDFは嫌」ピカイチの存在感示す前線の柱

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ゴールへの積極性を見せ、相手の脅威となった中部大一FW中嶋晃成(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[5.28 インターハイ愛知県予選準決勝 中部大一高 1-1(PK5-3) 大成高 会場未公表]

 今大会、奪ったゴールは1つで、この日もチャンスはありながら活かせなかった。本人は試合後に悔しさを滲ませたが、183cm、74kgの大型ながらも機敏に動ける中部大一高FW中嶋晃成(3年)の存在感は、ピカイチ。「アイツ(中嶋晃成)がいるだけで、DFは嫌」と評する伊藤裕二監督は、この日のMOMとして中嶋の名前を挙げた。

「上手く行かない時に自分たちで変えられなかった」。中嶋が反省を口にする前半は、狙っていた攻撃を上手く繰り出せなかったが、1トップとして虎視眈々とゴールを狙い続けた。前半21分にはGKのフィードから、相手DFの背後に飛び出したが、並走したDFにシュートを打つ直前にストップされる。以降も中嶋が繰り出した持ち味の動き出しは、相手の脅威となった。

 また、この日の動きで昨年からの成長を感じたのは、ポストプレーの部分だ。昨年までは中学時代にプレーしたDFとFWを兼任。経験不足もあり、ボールをおさめるプレーを苦手としていたが、今年に入ってからはおさめて、2列目に点を獲らせる形が増えてきた。「去年1年間は1個上の先輩が相手で、フィジカル的に負ける部分があった。でも、同い年が相手になると身体の大きさ的にリーチで上回れる。ポストプレーの面は、少しずつ進歩しているかなと思います」。キャプテンに就任し、自分が点を獲る以上にチームの勝利を意識し始めたのも、成長を促進しているのは間違いない。

 昨年から引き続き、“走る”中部大一のスタイルを牽引すべく、アグレッシブに相手DFへプレスをかけに行く作業も忘れていない。得点やアシストといった数字こそ残せなかったが、これまでの試合同様、この日も中嶋が見せたチームへの貢献度は高かった。

 チームの得点の半数近くを奪い、選手権初出場の立役者となったが、全国の初戦で対戦した大津高校(熊本)には0-5で敗れた。全国基準の高さを突きつけられた一方、今年に入ってからの糧にもなっている。「優勝候補と言われていたので大津と対戦するのが楽しみだったけど、技術だけでなく、寄せの速さ、声の掛け方など何もかものレベルが違った。ただ、全国で準優勝したチームと対戦した事で、今は『大津のCBとマッチアップした時よりは、やれている』という落ち着きに繋がっている。大津とやれたのは大きい」。

 今年は全国で1勝するのが、チームの目標。だからこそ、2大会連続で決勝へと進んだだけで満足していない。「次はどちらが来ても、選手権予選同様。技術的には相手の方が上だとは思う。また次の1週間で良い準備をしていきたい。僕は点には絡めていなかったので、決勝では僕が決めるという意識を持ちたい」。自らのゴールによって1-0で勝利した昨年の選手権予選同様、チームに歓喜をもたらしてくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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