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プレーも、意識の高さも“超高校級”。神村学園FW福田師王は妥協せず、「同年代を圧倒」「何でもできる」ストライカーへ

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前半4分、神村学園高のU-19日本代表候補FW福田師王が右足シュートを決めて先制点

[5.28 インターハイ鹿児島県予選決勝 神村学園高 2-1 鹿児島城西高 OSAKO YUYA stadium]

 個の力はすでに超高校級と言い切れるレベル。所属チームでも、高校選抜でも、年代別代表でもゴールを重ねてきた。加えて、成長欲の強さも明らかに高校生離れしている。神村学園高のU-19日本代表候補FW福田師王(3年=神村学園中出身)が目標とする姿は、「何でもできる。守備もできるし、攻撃で点決めれる。常に1試合1点は決めれるストライカー」。進路も注目の逸材FWは焦りも感じながら、理想とする姿を追い求めている。

 準々決勝以来2試合ぶりの出場となったこの日は、前半4分に先制ゴール。MF大迫塁主将(3年)のスルーパスで右中間へ抜け出し、ダイレクトの右足シュートをファーサイドのゴールネットへ突き刺した。注目FWのファーストシュートが決まり、どよめくスタジアム。昨年のインターハイとプリンスリーグ九州の得点王、2年連続で日本高校選抜に選出され、年上のU-19日本代表候補にも個人昇格も果たしているストライカーの動きにスカウト陣、観衆も熱い視線を送っていたが、立ち上がりの段階で想像を超えるプレーをしてのけた。

 福田は跳躍してからガッツポーズし、“ムバッペポーズ”のゴールパフォーマンス。だが、試合後はそのゴールも理想形とは異なっていたことを明かしていた。GKの位置を見て届かないコースへのファインショット。だが、福田は「もっとスピードだったり、GKが反応できないようなシュートを。そこ来る? みたいなシュート。(今回は)GKが少し反応していたので、そういうところを求めていきたいです」と言い切った。

 福田は昨年11月以降怪我に苦しんできた。高校選抜では練習や試合出場を制限したりもしていたが、やれることがまた増えている印象だ。立ち上がり、ハイボールをヘディングするのではなく、強引に胸コントロール。昨年度の選手権得点王、FW鈴木章斗(現湘南)のような胸トラップを2度3度と成功させ、起点となって見せた。

 また守備ではスピードと強度で奪い切ることを狙うだけでなく、相手のタイミングをズラして“賢く”奪おうとするシーンも。そして、ゴールに近い位置では個での突破からゴールを強襲していた。

 ファーストタッチでDFと入れ替わってシュートを打ち込み、ボールを収めてから前を向いて仕掛け、左足を強振。「今年から色々なことに挑戦して、自分でドリブルして決め切る力もつけています。でも、まだまだですね」。1得点で満足しないことは以前からだが、先を見据えるFWはこの日も得点の喜びではなく課題ばかりを口にしていた。

「決めないといけないので。満足しないで、上の世代に入っていけないと思うので、結果にこだわっていきたい。同年代だったらもっと圧倒していきたいです。鹿児島県民ってガッツがあるじゃないですか。(自分の原点でもある)それを忘れず、たくさんのアイディアをまた付けていけたらと思います」

 理想とする姿は遥か先にあるようだ。本人にとっては、1年365日あっても「足りない」くらい。少しでも課題を潰し、外国人相手でも負けないフィジカルや馬力、技術力、そして何よりもこだわる決定力を身に着けなければならないと考えている。

 すでに同年代の選手たちがプロデビュー。いち早く上の年代の代表チームに個人昇格している福田だが、怪我が長引いたこともあってライバルたちに先を行かれている感覚を持っている。「(焦りが)結構あります」。プロの中で揉まれ、成長を続ける同期たちに追い付くためにも、立ち止まってはいられない。

 怪我が続いてプレーが限られた中、成長できた面もある。怪我をしない体作りの大切さに気づき、よりケアに時間を掛けるようになった。ボールを蹴れない期間も徹底した体幹トレーニング。この日もより強度、鋭さを増した肉体でゴールへ迫り続けていた。

 高校選抜の活動などによってチームから離れていたため、コンビネーションの構築はこれから。恵まれたというチームメートとともに日本一を目指すインターハイへ向けて福田は、「結果残さないと、代表とかも残っていけない」。鹿児島のプレーも、意識も、“半端ない”ストライカーは自身の成長とゴール、勝利を重ね続ける。

福田はゴールを決めると、“ムバッペポーズ”のゴールパフォーマンス

(取材・文 吉田太郎)
●【特設】高校総体2022

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