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名将の「じいじ」から学んだ力を静学相手に発揮。磐田東右SB鈴木彩斗が無失点勝利に貢献

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磐田東高の右SB鈴木彩斗(左)は静岡学園高MF寺裏剣相手に健闘。無失点での勝利に貢献した

[5.29 インターハイ静岡県予選準決勝 静岡学園高 0-0(PK1-3)磐田東高 愛鷹広域公園多目的競技場]

 対峙した静岡学園高MF寺裏剣(3年)は、プレミアリーグWESTで7戦5発、得点ランキング3位タイの強力サイドアタッカーだった。磐田東高の右SB鈴木彩斗(3年=ジュビロSS磐田出身)は序盤、その相手との距離感を掴むことができなかったという。

 静岡学園は両ワイドへボールを集め、寺裏もキープ力を発揮。個人技でDFの背後を取るシーンもあった。その一方、脅威にこそなっていたものの、どこか行き切れない時間が続く。距離を取って守ることを選択した鈴木彩に縦へのドリブルコースを切られ、なかなか振り切ることができなかった。

 鈴木彩はJクラブユースのSBを翻弄していた寺裏にステップを意識しながら食い下がり、MF谷野暁希(3年)のサポートも受ける形で幾度かボールを奪い取っていた。「自分の中ではできたかなと思います」と鈴木。特に後半は、突破される回数がゼロではなかったものの、より対応の質が向上し、自信を持って守り続けていた。

 結果、寺裏は後半30分すぎに交代。鈴木も足を攣らせて後半終了間際に交代したが、チームの勝利に貢献したことを喜んだ。その鈴木の祖父は前・磐田監督の鈴木政一氏だ。「普段はずっとテレビを見たりしているじぃじです」と鈴木彩は微笑むが、その「じぃじ」は磐田にJ1タイトルをもたらし、U-19日本代表監督などを経て、昨年も磐田をJ1昇格へ導いている名将。鈴木彩がこの日見せた対人守備の強さもその指導によって引き出されたもののようだ。

「普段は自分から、『1対1の対応が苦手なのでどうしたら良い?』と聞いたりしています。(ドリブラーの対策としては)ちょっと引いて距離を取って、一歩出る瞬間に詰めて取るとか教えてもらいました。教え方が上手くて、磐東に一回教えに来てくれた時もみんな楽しく理解できていた」。準々決勝は祖父が見守る中で奮闘し、「良かった」と讃えてくれたという。この日は不在だったが、また活躍する姿を見せる意気込みだ。

 元々はSH。だが、そのキック精度の高さや、体力を右SBのポジションで発揮している。「ジュビロだったら大森晃太郎選手や金子翔太選手のように、体力を活かして走って活躍したい。今日の試合で自信もついたので、決勝でも良い活躍ができるように頑張ります」と鈴木彩。落ち着いてプレーし、全国切符を獲得して家族やスタッフ、仲間に恩返しする。

(取材・文 吉田太郎)
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