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「俺らの代で歴史を変えてやろうぜ」花巻東イレブンは先輩の涙に団結、岩手2冠

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FW中村翔大(3年)は決勝で2ゴールを決める活躍だった

[5.30 インターハイ岩手県予選決勝 花巻東5-0専大北上 遠野運動公園陸上競技場]

 先輩、僕たち歴史を変えました!インターハイ予選を制し、初の全国大会出場を決めた花巻東高。準々決勝の水沢高戦でハットトリックの活躍、大会を通じて7得点を記録し、決勝でも2ゴールを決めたFW中村翔大(3年=ヴェルディSS岩手)は、「チームのみんなのおかげで取れた点数なので、チームみんなで喜びたいです」と笑みをこぼした。

 花巻東高のスタメンをみると、全員が3年生というほかに、前所属チームの欄に目が行く。ヴェルディSS岩手出身の選手が、この日は実に7人並んでいた。

 それもそのはず。現3年生の代は、示し合わせて花巻東に進学してきていた。そこにはある一人の先輩の存在が大きくあった。

 先輩の名前はヴェルディSS岩手出身の鈴木拓さん。昨年度のキャプテンを務めていた人物で、学校でも生徒会長、さらに成績も学年1位という「完璧な人」だった。

 中学時代から多くの後輩が憧れていたという。「自分たちが歴史を変えるからついてこい」。進路選択の際に掛けられた言葉。誘いに乗らないわけがなかった。

 しかし鈴木さんがキャプテンを務めた昨年度は、インターハイ予選で8強敗退。冬の選手権予選でもまさかの3回戦敗退に終わっていた。

「俺らの代で歴史を変えてやろうぜ」

 憧れの人が目の前で流した涙は、後輩たちの団結を生んでいた。

 昨年11月の新人戦で初の岩手県制覇を果たしたイレブンだが、「歴史を変える」とは、全国大会に出場することだった。

 そして新人戦の東北大会でもベスト4に進出するなど急成長を遂げたイレブンは、インターハイ出場という悲願をも、勢いのままに成し遂げた。

「やっと歴史を変えたと先輩に言えます」

 中村は充実の表情で胸を張った。

(取材・文 児玉幸洋)
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