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「和衷協同」。チームのため「後ろは守る、前は決める」に集中する神戸弘陵が延長戦制す

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延長後半9分、神戸弘陵高が交代出場FW北藤朔のゴールを全員で喜ぶ

[6.3 インターハイ兵庫県予選準決勝 神戸弘陵高 2-0(延長)神戸星城高 アスパ五色メインG]

「70分でも、90分でも、100出せる力で。70分で出し切ったらスタンドの方を見て。『和衷協同(わちゅうきょうどう)』というのを掲げているので、全員で戦うということをミーティングでいつも話している」

 神戸弘陵高のMF村井陸斗主将(3年=神戸FC出身)は、チームの和を何よりも重視。そして、試合に登録された20名は100人を超える部員の「代表だと思っている」。その思いを胸に、3試合連続となる90分間を走り抜いた。

「僕が周りに言っているのは、シンドくなったらスタンドを見ろということをしっかりと言っています」。無失点を続けているものの、神戸弘陵は今大会、決めきることができずに苦しい戦いが続いている。この日もPKのチャンスを逸して延長戦へ。だが、それぞれが役割を果たすことに集中し、勝ち切った。

 背中で神戸弘陵を引っ張る村井は新チーム発足当初からの変化を実感している。技術力の高い選手が並ぶ神戸弘陵だが、新人戦は神戸市8強で敗退。そこから甘さを排除し、ラントレなどのメニューも学年問わず支え合って取り組んできた。

「去年はシンドい時に何人かサボったり、自分が決めなアカンと(利己的になって)チームがバラバラになったところを、後ろは守る、前は決めると変えたら全然変わりましたね」。CB木津周馬(3年)も「失点せんかったら負けることはないので、守備の4枚には点獲れとかアシストするとかそういう考えはいらんと言っている」。もちろん各選手に攻守両面の役割があるが、それぞれの優先順位をはっきりとしたことが結果にも繋がっているようだ。

 それぞれが役割を全うし、ゴール、勝利を全員で喜べば良い。これまでは内容で上回っていても、一発に泣くことも多かった神戸弘陵。だが、上手く行かなくて焦れずに戦い、相手を上回る強さを持つ世代が、インターハイ予選を制して目標の県3冠に一歩前進する。

(取材・文 吉田太郎)
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