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「我慢」でつかんだ全国行きの切符…立正大淞南、大社から逃げ切って2大会連続15回目の総体出場!!

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立正大淞南高大社高を2-1で下した

[6.4 インターハイ島根県予選決勝 立正大淞南高 2-1 大社高 島根県立サッカー場]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」サッカー競技(徳島)島根県決勝が4日に行われ、立正大淞南高大社高を2-1で下し、2大会連続15回目の出場を決めた。

 5大会連続で同じ顔合わせとなった決勝は、立ち上がりから各エリアで激しいボールの奪い合いが続く展開。そこから、より多くゴール前までボールを運んだのは大社だった。前半3分(35分ハーフ)、FW神手プラナヤマ晃明(3年)がエリア内右サイドへのパスに反応してシュートを放ったが、左に外れる。同7分にはMF有富達哉(3年)が相手のミスパスを拾ってドリブルで運び、約25メートルの距離からミドルシュートを狙うも、わずかにゴール右に外れた。

 立正大淞南は昨年度U-17高校選抜のエース、FW香西銀二郎(3年)に良い形でボールが入る場面が少なく、前半20分過ぎには南健司監督が「我慢しろ!」とピッチ内に声を掛けたように、守備の時間が長い戦いを強いられる。CKやゴール近くでのFK、大社DF井上陽登(3年)のロングスローなど相手のセットプレーも多かったが、GK塚田喜心(2年)、DF三輪陽斗(3年)とDF坂井悠飛(3年)のCBコンビなど守備陣が的確に対応し、決定機は作らせなかった。

 スコアレスで迎えた後半、立正大淞南はセットプレーからビッグチャンスを作り出す。後半1分、左CKをファーサイドでフリーとなっていたDF坂井がヘッドで合わせたが、大社GK原田塁(2年)のファインセーブに防がれた。

 だが、この試合最初の決定機で勢いに乗った立正大淞南は後半9分、ついに均衡を破る。ゴール正面約25メートルの距離でFKを得ると、DF三輪がゴール前に送ると見せかけて、横にいたMF進海翔(3年)にパス。進がワントラップから右足を振り抜いたシュートが、右ポストに当たりながらもネットを揺らした。

 鮮やかなスーパーミドルで先制した立正大淞南は、さらにたたみかけるようにゴールを目指す。後半11分には先制点と同じような位置から、DF長根悠仁(3年)が今度はゴール前へ。ボールはゴール方向に向かったが左ポストに当たって外れ、追加点とはならない。

 その後も前への圧力を強めるものの、粘る大社も懸命に押し返して相手ゴールを目指す。後半27分には右CKから交代出場のDF大菅快(3年)がヘディングシュートを放ったが、右に外れて決まらなかった。

 しのいだ立正大淞南は後半30分、貴重な追加点を奪う。ゴール前で複数の選手が絡むコンビネーションから、FW香西がエリアにいた交代出場のFW永澤叶太(2年)へ。永澤が鋭いターンで相手選手を振り切り、左足で蹴り込んだ。

 残り5分で2点差となったが、ここから大社も粘った。68分に自陣左サイドでFKを得ると、DF児玉晴(2年)が左足でゴール前に鋭いボールを送る。これを飛び込んだDF妹尾将史(3年)がヘッドで合わせて1点を返す。

 さらに大社は同点を狙うが、立正大淞南はバタバタすることなく、奪ったボールをコーナースポット付近に運ぶなどして時計の針を進める。4分と表示されたアディショナルタイムもチャンスは作らせず、1点差で逃げ切って試合終了のホイッスルを聞いた。

 試合後、応援団も含めた全部員に「チーム全員で『我慢大会』に勝ったのはよかった」と語りかけた立正大淞南の南監督は、「我慢すれば後半に流れは来ると分かっていた。やっていることはできなかったけれど、今年のチームの特徴である、戦いになったら負けないというところは出せたと思う」とコメント。一方で内容については「ボールを奪ってからのクリエイティブさが、もっと出ない限り全国で勝ち上がることは不可能。そのレベルを上げていきたい」と課題を指摘した。
 
 キャプテンのMF肥塚秀斗(3年)も試合中、ピッチ内で「我慢しよう、じれるなと声を掛けていた」という。全国大会では「もっと自分たちの長所を伸ばさなければいけない」という成長の成果を見せるとともに、1年前の教訓も生かすつもりだ。昨年度は初戦を突破して迎えた2回戦で徳島市立高(徳島)と対戦し、後半に先制しながら、アディショナルタイムの2失点で1-2の逆転負け。その試合にフル出場していた肥塚は「全国大会は一つのミスが失点につながる。ミスを減らすようにやっていきたい」と今後のレベルアップを誓っていた。

(取材・文 石倉利英)
●【特設】高校総体2022

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