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アンリ先輩から一番に祝福メッセージが届く!“福島の絶対王者”尚志が12大会連続で夏の全国切符

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尚志が12大会連続のインターハイ本戦出場を決めた

[6.5 インターハイ福島県予選決勝 尚志3-0帝京安積 Jヴィレッジ]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」サッカー競技(徳島)の福島県大会決勝が5日に行われ、尚志高帝京安積高を3-0で下し、12大会連続14回目のインターハイ出場を決めた。

 福島県の絶対王者が、今年も全国行きのチケットを手にした。立ち上がりは互角の展開を思わせた両チームだが、ペースは徐々に自力に勝る尚志に傾き出す。特にセットプレーで脅威を生み出すと、迎えた前半30分、10番MF岡野楽央(3年=鹿島JY)の蹴った右CKに、ニアに走り込んだFW鈴木虎太郎(3年=モンテ村山)が頭に当ててコースを変える。これが左ポストを叩くと、そのままゴール方向に。GK水谷泰之にキャッチされたが、その時点でゴールラインを越えており、得点が認められた。

「得点の前にも同じような場面があって、次に来れば行けるなと思っていた。いいボールが楽央から来たので、合わせるだけでした。セットプレーは自分たちの武器。決められて良かったです」(鈴木)

 この先制点で精神的にも優位に立った尚志は、後半はさらにボール保持率を高めて相手ゴールに迫り続けていく。右サイドを効果的に駆け上がるDF鈴木大翔(3年=FC古河)がクロスからチャンスを生み出すと、後半15分のMF吉満迅(3年=FC FERVOR愛知)が迎えた決定機は決めきることが出来なかったが、ゲームの主導権を握り続ける。

 すると後半32分、尚志は途中出場のFW網代陽勇(2年=1FC川越水上公園)がゴールキックを力強いヘディングで跳ね返すと、これで裏を取ったFW桜松駿(2年=湘南U-15)がGKとの1対1を制して、追加点を決める。さらに直後の同33分には鈴木大の右クロスを岡野がスルー。ファーサイドにいた桜松がワントラップから落ち着いて蹴り込んで、ダメを押した。

 試合前には昨年度のチームの中心で、現在飛び級でU-21日本代表に招集されているDFチェイス・アンリ(シュツットガルト)からのアドバイスも貰っていた。主将DF山田一景(3年=伊丹FC)のところには直接、「お前が緊張したらダメだぞ」とLINEが送られてきたという。

 さらに試合後にもすぐに仲村監督の携帯に、現在ウズベキスタンにいるアンリからお祝いの連絡が入った。「『おめでとうございます!』と一番早くメッセージが来ていました。ああいうところが可愛いんですよ」。日本のために戦う愛弟子の変わらない姿がたまらなく嬉しい様子だ。

 今年はよりチーム力での勝負を求めている。さらにチームが成長するためには力のある選手の多い2年生に加えて、3年生部員の奮起が必要になってくるという。この日の決勝では、あえて3年生8人をスタメンで起用。仲村監督は「2年生は練習試合でアンダーの日本代表に勝ったりしている代。3年生には踏ん張らないと、ポジションを取られちゃうぞというメッセージを込めました」と素直に明かす。

 しかし交代選手として2年生の5人を投入。終盤は7人の2年生がピッチに立っていた。「GK鮎澤太陽やDF鈴木大翔のような経験値のある選手はいるし、個の能力はみんな高いけど、サッカーだとコンビネーションが合わなかったりする。その辺、3年生はもう少し危機感を持ってやってほしい」。基準はあくまでも全国レベル。高い要求は続けていくつもりだ。

 選手たちも全国で勝ち上がるのは、もうひと段階のレベルアップが必要だということは分かっている。10番MF岡野が「シュートは多かったと思うけど、そこを決めきれるように。守備のところでもセカンドボールを拾えていなかったので、練習からやっていきたい」と気を引き締めれば、山田主将も「今日上手く出来なかったパス回しの精度を上げていきたい」と課題の克服を誓っていた。

(取材・文 児玉幸洋)
●【特設】高校総体2022

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