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ラストプレーで追いついた鶴崎工!! 強敵・大分高をPK戦の末退け決勝進出

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歓喜を爆発させる鶴崎工高イレブン

[6.5 インターハイ大分県予選準決勝 鶴崎工 1-1(PK4-3) 大分高]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体2022」男子サッカー競技の大分県予選準決勝が5日に行われ、第一試合では鶴崎工高が新人戦王者の大分高をPK戦の末退け、決勝へと名乗りを上げた。

 ベスト4進出校がいずれも無失点で勝ち上がるという、堅守が目立つ大会を象徴するように、この試合も雨の中、両校一歩も譲らない激しい肉弾戦が展開された。

 鶴崎工は新人戦の準決勝で大分に0-3で完敗を喫したが、今年度から赴任した中津留正三監督の掲げる守備の整備に加え、選手たちの自主性をさらに強調した新機軸でリベンジに挑む。

 大分高はワントップのFW佐藤翼(3年)が前線の起点となり、技術に優れるMF青山京志郎(3年)らゴールを狙うが、鶴崎工はキャプテンのDF倉見颯(3年)を中心とした守備陣がしっかりと対応し、ペースを大分高に渡さない。

 それでも大分高は前半9分、左右に揺さぶりをかけ、FW今田昂輝(3年)のクロスを佐藤が胸でトラップし強烈なシュートを放つが、わずかにゴールを外れる。

 守勢に回る場面が目立った鶴崎工も反撃に出る。前半26分、CKからのこぼれ球に反応した澤井優翔(2年)が鋭いボレーを放つが枠を捉えられず、前半は互いに無得点のまま勝敗の行方は後半へ持ち越された。

 鶴崎工の守りに攻めの形が十分に作れない大分高は、後半からスピードあるFW小原優斗(3年)を投入。よりサイドからの攻撃に厚みを加え、これが先制点へとつながっていく。

 後半14分、DF今田倖聖(3年)とのワンツーから抜け出した小原のクロスが鶴崎工ディフェンスのハンドを誘発し先制のチャンスを迎える。このPKを佐藤が確実に決め、待望の先制点。

 ここから大分高が前線での強度をさらに強め、後半25分にはCKから佐藤が高い打点から放ったヘディングシュートのこぼれ球を押し込み、追加点かと思われたがこれはオフサイドの判定でノーゴール。

 反撃に出たい鶴崎工は長身DF後藤吏温(3年)を前線へ上げ、組織化された大分高守備陣に対し、高さの脅威で勝負に出る。

 そしてラストワンプレー。土壇場で鶴崎工は好位置でのFKのチャンス。蹴るのは後藤。後藤にはこのままでは終われない理由があった。「僕のファウルが失点につながってしまったので絶対に決めるという気持ちで蹴った」鋭い弾道のシュートは大分高の壁をすり抜け、ゴール左隅に決まり、鮮やかな同点劇。ゲームの行方は延長戦にもつれ込むこととなった。

 延長戦でもお互いが好機を迎えるも決定的な場面は作れずタイムアップ。決勝戦への切符はPK戦の結果に委ねられた。

 追いついた者の強みか、鶴崎工GK鳥羽侑真(3年)が大分高の一番手を見事にストップ。流れを一気に引き寄せる。そして優位を保った鶴崎工は5番手のFW萱島飛瑠(3年)が確実に決め決勝進出を決めた。

 決してあきらめず最後まで闘志あふれる戦いを見せた選手たちに対し、中津留監督は「相手の強力な攻撃に対しての対応も彼らが自主性を持って方針を打ち出した。決勝戦も集中を切らさずしっかりと戦いたい」と労った。

 殊勲の同点弾を決めた後藤は「大分高には新人戦で負けていたので、何としてでも勝ちたかった。ディフェンダーとしての役割を果たすことはもちろんだが、チームのためになれば前線でも体を張りたい」と決勝戦への意欲を語った。

 心身ともに充実し、一戦ごとに力をつけた鶴崎工。念願の戴冠まであと一勝だ。

(取材・文 安倍令文)
●【特設】高校総体2022

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