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新たな“トミイチらしさ”を存分に発揮!! 高岡一にリベンジの富山一、2大会ぶり29回目の全国へ

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全国行きを決めて歓喜を爆発させる富山一高イレブン

[6.5 インターハイ富山県予選決勝 富山一 4-0 高岡一 会場非公開]

 令和4年度全国高校総体(インターハイ)「躍動の青い力 四国総体 2022」男子サッカー競技の富山県予選決勝が5日に行われた。MF多賀滉人(2年)の先制点を皮切りにゴールを重ねた富山一高高岡一高を4-0で下し、2大会ぶり29回目の全国行きを掴んだ。

 富山一は2013年度の選手権で日本一に導いた大塚一朗前監督が昨年度限りで退任し、モンゴル代表監督に就任。長年コーチとしてチームを支えてきた柳野年秀監督による新体制を切った。大塚前監督が積み上げてきた“トミイチらしさ”を継続しながらも、目指すのはよりアグレッシブにゴールを目指して行く攻撃的なサッカーだ。「今日の試合ではやってきたサッカーが出せました」。試合後、柳野監督が選手を称えたように高岡一との決勝は、新たな“トミイチらしさ”を存分に発揮出来た試合と言えるだろう。

 終わってみれば大差が付いたが、序盤は決勝のプレッシャーと向かい風に苦しんだ。失点のリスクを避けるためロングボールを相手エリアに入れたが、高岡一のMF谷内一景(3年)、MF上久大来未(3年)のダブルボランチにセカンドボールを拾われ、二次攻撃に持ち込めない。前半8分には右サイドから上がったクロスから、FW横田真冴斗(3年)にヘディングシュートを打たれたが、GK辰島尚悟(3年)の好セーブで凌いだ。

 苦しい時間を耐えると、時間の経過と共に「選手個人の技術は富山県レベル、北信越レベルで見るとある方だと思う。相手をいなす所は、みんなが自信を持ってやっている」(辰島)という富山一らしさを発揮し始めた。後方で落ち着いてボールを動かしながら、「自分の長所は、スピードを活かした縦突破」と話す右SBのDF深井仁(3年)と左SBのDF大居優汰(2年)が積極的に上がって、サイドを崩す場面が増えていく。

 前半29分には自陣からのロングボールが、相手DF裏へ。反応したFW水島雄之介(3年)より先に相手DFが触ったが、処理にもたついた所を水島が奪って、後方に展開。最後はフリーで受けた多賀が決めて、富山一が先制した。「先制点は大きかった。先制点が獲れたら雰囲気が良くなって、みんなの声が出るようになる。そういった部分でも、試合がやりやすくなった」(辰島)。

 後半8分には、低い位置から入れた深井のクロスから、ゴール前の水島がヘディングシュート。このシュートはGK片山蒼大(3年)の好セーブに弾かれたが、流れの中から奪った右CKがオウンゴールを誘い、富山一のリードは2点差に。以降は「後半は2点差だとまだ何が起きるか分からない。とにかく後ろが集中力切らさずカウンターに注意するよう伝えていました」(柳野監督)とDF湯川信治(3年)とDF高木克徳(3年)がリスク管理をしながら、更なる追加点を狙った。終盤にはMF大矢悠太郎(3年)、FW森川直哉(3年)もゴールネットを揺らし、4-0でタイムアップ。点差、内容共に満足の行くゲームで、全国に向けて弾みのつく試合となったのは間違いない。

 昨年のインターハイ予選は準々決勝で高岡一にPK負けを許し、涙を飲んだ。当時は感染症対策のため、無観客での開催。今年のメンバーの多くは先輩たちを見守る事すらできず、学校のグラウンドで速報を見るしかなかった。「高岡第一相手にPK負けして、とても悔しい想いをした。その借りを返した意味でも、今日の勝ちはデカかった」(辰島)。

 今年はメンバーから外れた仲間が、スタンドから見守る中での開催。試合後に喜びを分かち合う姿が印象的で、辰島は「試合後はメンバーに入っていなかった選手も一緒に笑える場。勝った時は喜びを分かち合えるので、いつも楽しんでいます」と口にする。徳島の地でも、チーム全員で笑みを浮かべるためにも、一つでも多くの白星を手にするつもりだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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