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[MOM3883]富山一FW水島雄之介(3年)_「元気があり過ぎる」159センチの小兵が躍動!! 思い描く自分なりのゼロトップ像

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2ゴールを“演出”した富山一高FW水島雄之介(3年)

[高校サッカー・マン・オブ・ザ・マッチ]
[6.5 インターハイ富山県予選決勝 富山一 4-0 高岡一 会場非公開]

 全国行きがかかった大一番とあり、序盤は選手の堅さが見られた富山一高。試合に慣れ始めてからは相手エリアに迫る場面が増えたが、思うようにゴールが奪えない。難しい流れを断ち切ったのは、前半29分に生まれたMF多賀滉人(2年)の先制点。得点者とはならなかったが、泥臭いプレーでアシストしたFW水島雄之介(3年)の貢献度も見逃せない。

「昨年のインターハイは高岡第一に負けたので、その借りはインターハイで返すしかないと思っていました」と振り返ったように、この試合にかける水島の想いは強かった。3トップの中央に入った彼は、後方からのボールに対し、積極的にスペースで反応。相手の状況に応じて、シャドーの位置に入る多賀と入れ替わる動きも、相手DFにとって厄介だったのは間違いない。「水島は元気がある。ちょっとあり過ぎるぐらい」と柳野年秀監督が笑うのも分かるエネルギッシュさだった。

 そうした彼の働きが活きたのは、前半29分の先制点。自陣右からDF裏に落ちたボールに反応するも、相手DFに先に触られたが、もたついたのを見逃さずプレス。ゴール前で奪って、多賀のゴールをアシストした。後半8分に生まれたオウンゴールも彼がきっかけ。低い位置から上がったDF深井仁(3年)のクロスから、ヘディングシュート。ゴールの隅に襲い掛かる良いシュートが、GKに弾かれて、得た右CKからの得点だった。

 今大会の初戦では8ゴールをマーク。続く3回戦でも2ゴールを奪ったが、準々決勝以降は無得点。本人は悔しさを見せつつも、「自分が決められない時こそ、みんなで声を出して盛り上げる事でチームが勝てば良いと思っていた」と話す通り、声を出して雰囲気を作れるのも彼の魅力。今年の富山一における貢献度は高い。

 登録されている159cmという身長は、メンバーの中で誰よりも低い。小学校から中学1年生までFWとしてプレーしたが、以降の主戦場は中盤で、いわゆるセンターフォワードタイプではない。だが、今年の新チームが立ち上がってから転向を打診された。最初はFWの動きが分からず戸惑ったが、プリンスリーグ北信越で県外のチームと対戦するうちにFWとして様になってきた。イメージするのはリバプールのFWロベルト・フィルミーノ。「裏に抜けるタイミングとか、どうしたらボールをおさめられるか動画を見て学びました」と話す水島は、自分なりのゼロトップ像を作っている最中だ。

 危なげない勝ち上がりを見せた今大会とは違い、全国の強豪が待ち受ける総体本戦では苦しい戦いが予想されるため、彼のプレーが勝敗の鍵をより握る。「前からプレスをかけたり、チームに貢献して、絶対に日本一になりたい。個人としては得点を狙うつもりでいる」。そう意気込む水島なら準々決勝以降の悔しさを晴らす活躍を全国の舞台でしてくれるはずだ。

(取材・文 森田将義)
●【特設】高校総体2022

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